劇場公開日 2020年3月14日

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「建築を映画にうまく活用している好例」コロンバス マエダさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0建築を映画にうまく活用している好例

2020年3月31日
iPhoneアプリから投稿

シンメトリーを基調とした構図が綺麗。
境遇や性格が対照的な男女のストーリーがやがて交錯していく構造もよく作られている。鬱屈とした境遇からの脱却と偉大な父との確執からの脱却、ストーリーだけで見れば一見よくあるヒューマンドラマだが、それら(ストーリー、風景、キャラクター)にモダン建築という異物(言い方が悪い笑)を投入することによって見事なオリジナリティを獲得している。
その入れ方もわざとらしいところが一切なく、登場人物たちに優しく静かに寄り添う友のような存在に感じられる。
モダン建築たちはそれぞれ非対称や透明建築、箱型建築、橋型など個性と特徴を持っており、立派なキャラクターとして映画の足場を支えている。
音楽も必要なときに必要な音量で映像を支えている程よさ。
全体の塩梅の絶妙さ加減が洗練されていて、わざとらしさや嘘臭さのないある種のスタイリッシュと穏やかさを兼ね備えた作風はまさにモダン建築的、なの、かな?

冥土幽太楼