「自然に学ぶ農園づくり」ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
自然に学ぶ農園づくり
保護した愛犬トッドが吼えるので都会暮らしをあきらめて田舎に引っ越すという愛犬家によくある話かと思ったら本格的な農場経営とはすごい飛躍ですね。
LAから北へ64km、ムーアパークの農園アプリコットレーンファームズの創設と発展までの8年間を追ったドキュメンタリー。土地勘が無いのでピンとこないが東京で言えば奥多摩当たりの遠さでしょうか。
広さ200エーカーはマザー牧場の1/3位だからリトル・ファーム。そこに家畜850頭、果樹1万本のほか花、野菜、ハーブなどをバイオダイナミック農法で育て地元やネットで販売、観光ツァーも営なんでいる。
農場主のジョン・チェスターさんはテレビの動物番組で世界を取材したドキュメンタリーの本職なので農園・牧場を拓く経緯を撮り溜めていたようです、自らキャストを務める手法はムーア監督流ですね。
メインは農業の素人のチェスター夫妻がメルボルン大学のアランヨーク名誉教授にバイオダイナミック農法の手ほどきを受けながら軌道に乗せるまでの失敗と復興の記録です。
バイオダイナミック農法というのは有機農法を更に純化、土壌づくり、肥料から害虫駆除まで農場の生態系の自然な営み、循環で行うと言うもの、百聞は一見にしかずではないがミミズを培養して肥料を作ったり果樹の下草を食べて刈るのは山羊さんたち、アブラムシの天敵がテントウムシ、野ねずみはフクロウ、葉を荒らすかたつむりはアヒルがついばむところなどつぶさに見せてくれています。17頭も出産するお母さん豚や孤独な鶏との絆、親を亡くした子ヤギの乳母探し、コヨーテから家畜を守るわんちゃんなど流石に動物を撮るのが本職なので見いってしまいました。
幸いに山火事の被害も無くホッとしましたが自然頼みの生き方というのは薄氷を踏む思い、おいしくて安全な食材を作ってくださる農家さんには感謝ですが理想の暮らし、憧れには至りませんでした。