「何の変哲も無い家族の話」ステップ サカモトさんの映画レビュー(感想・評価)
何の変哲も無い家族の話
重松清さんの作品の良さは、「ありきたり」を描く巧さにあると私は思っています。それが如実に表れた作品でした。
妻を亡くし、男手1つで子を育てる主人公。そこにはあらゆる困難がありました。でも、それは言ってしまえば世にありふれた苦難です。
主人公と娘は、色々な人と出会い、成長していきます。そこに聖人も極悪人もいません。いたのは普通の良い人と普通に嫌な人です。
驚天動地の奇跡もドラマチックな演出も、この映画にはありません。普通の家族が普通に生きていく様を描いた映画でした。
だからこそ、本当に心を揺さぶられました。映画館でこんなに泣いたのは久しぶり、そう思ったくらいです。普通であるが故に嫌味も押し付けがましさもない、爽やかな感動映画でした。
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