ロニートとエスティ 彼女たちの選択のレビュー・感想・評価
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選択の自由
May you live a long life!
長く生きていれば、いろんなことがある。
そして、自分で乗り越えなくてはならない困難や課題もある。
自ら課してようが、課してまいが。
このストーリーは、ユダヤ教の戒律の厳しい家庭や環境に生まれたというところを除けば、割とありそうな同性愛の物語のような気もする。
しかし、僕達に問うているのは、ユダヤ教が窮屈な宗教だとか、戒律が厳しいとか、そんな中で同性愛は大変だとか、新しい価値観が認められ辛いとか……、実は、そういうことは副題で、選択の自由とは、どういうことなのかということを示したかったのではないか。
ここからネタバレ
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妊娠の分かったエスティは、ドヴイッドと別れる決心すると同時に、ロニートに依存するのではなく、「自立」して生きていくという選択をするのだ。
そして、生まれてくる子供に、本当の意味での選択の自由を与えようと考える。
選択の自由は決して二択ではない。
しかし、責任とか自立とかが伴う。
そして、ロニートは、これまで孤独でも一人で頑張ってきたという自分のヒストリーから、エスティの決意を理解し、尊重する。
これも、きっと一つの愛の形なのだろう。
再会して、再び求め合う場面は、なんか美しいように感じた。
二人が幸せであれば良いとも思った。
しかし、そんな願いを更に超えるようなストーリーだと思った。
ついでに、言わせてもらえれば、ユダヤ教徒も自らのコミュニティが迫害にあっても自立してやっていけるよう努力を重ねたのではなかったのか。
色々考えさせられるメッセージがあるストーリーだ。
保守的な価値観の中で傷ついていく人々を見つめる色褪せた人間ドラマ
ニューヨークで写真家として活躍しているロニットはロンドン近郊な敬虔なユダヤ教徒の家に生まれ育ったがユダヤ教徒コミュニティの重鎮である父ラブと仲違いし家を出た過去があった。ある日父の訃報が届き葬儀に参列するために故郷に戻ったロニットは幼馴染で父のもとで修行をしていたドヴィッドに会う。ドヴィッドはロニットの友人だったエスティと結婚して幸せに暮らしていたが、ロニットとエスティは昔コミュニティでは許されない関係にあった。ドヴィッドの勧めで数日家に泊めてもらうことにしたロニットに対して故郷の人々は冷たく、エスティもどこかよそよそしい態度だったが、父の遺品を見に実家を二人で訪れた時にエスティは思いがけない言葉を告げる。
トランスジェンダーの女性が愛人の死をきっかけに様々な試練に打ちのめされるチリ映画『ナチュラルウーマン』が絶賛された監督セバスティアン・レリオの本作もまた保守的な価値観の中で傷ついていく人間のドラマ。ほとんどモノクロームに近い冷たく色褪せた映像の中で許されぬ想いに身を焦がすレイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムスがとてつもなく美しい。特にレイチェル・マクアダムスはついこないだ観た『Game Night』で魅せたブッ飛んだコメディエンヌとは完全に真逆のキャラクターを透明感たっぷりに演じていて驚異的。『ナチュラル〜』ではアレサ・フランクリンでしたが、本作ではザ・キュアーの”Lovesong”が印象的に使われていて、二人の心情を当て書きしたかのような歌詞が胸に突き刺さります。
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