「揺れる。燭台の炎も人の心も。」ロニートとエスティ 彼女たちの選択 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
揺れる。燭台の炎も人の心も。
ユダヤ人は子供の頃は集団で過ごすと聞いたことがある。
エスティ、ロニート、ドヴィッドの三人は幼なじみ。ただ、神父のひとり娘のロニートは自由人で、他の二人とはちょっと立ち位置が違う。
冒頭、NYで父親の死を知らされたロニートが半ばヤケぎみに公共のトイレのなかで、男性と交わるシーンがある。バイセクシャルなんだとここで理解した。エスティは基本レズビアンだが、ロニートが突然村を去ってしまったので、精神的に不安定になり、心の穴を埋めるためもあり、幼なじみの聖職に就くドヴィッドと結婚した。
ドヴィッドはロニートの父親の神父に付いて宣教活動に精進するまじめな男。
ロニートに父親の突然の死を知らせたのは、だが、エスティだったと、観客もドヴィツドもあとから知ることになる。
ひとり帰って来たロニートを見かけた村人は冷ややかな反応。ドヴィツドはロニートとエスティを再会させたくなかったが、来てしまった以上、仕方なく、ロニートにホテルがわりに泊まることを勧めてしまう。心根がうんと優しいのだ。
ロニートの実家に一緒に行くエスティ。
ロニートは父親の遺品を整理して、家は売り払うと宣言。ユダヤ教徒は代々燭台を受け継ぐ習わしがあるらしい。エスティがロニートの見ていないところで、実家の燭台を自分の大きなキャリーバックのなかに入れるシーンは、燭台を隠したら、ロニートは暫くニューヨークに帰らないで自分の傍にいてくれるだろうと願ってとった行動だと思った。
最後のほうで、ニューヨークに旅立つロニートがホテルの部屋で荷造りをする場面がある。最後にひとりで燭台をボストンバックにしまうのだ。あぁ、エスティはロニートに燭台を泣く泣く渡したんだなと思った。
エスティの妊娠発覚は三人の心を激しく揺さぶる。どうなるのか?エスティとロニートが手に手をとって、ニューヨークに行くのか?二人で子育てか?それではドヴィツドがあまりに不憫ではないか(男目線)❗
舵を握っているのはロニートなのか、やっぱり。
ドヴィツドは前神父の葬儀をとり行い、みずからが教会の神父を引き継ぐ式典を前にして、千々に心が乱れてしまう。自信を失い、神父になるには修行がまだまだ足りないと、降りてしまうのだ。
違うよ❗足りないのは修行じゃなくて、女性経験だよと言ってあげたくなる。かわいそうなドヴィツド❗
しかし、エスティはロニートとニューヨークには行かず、そこで結婚生活を続けることを決断する。
見ているこちらもあっちにこっちに引っ張られたり、戻されたりして、主人公たちと一緒に動揺する疑似体験をする。
どちらにしてもドヴィツドはかわいそうな気がする。神が与えて下さった試練だと思って、聖職を全うせんと生きてゆくのか?
ユダヤ教の燭台は非常に特徴があるが、一対の普通の燭台だった。物語に普遍性を持たせる意図を強く感じた。
追記
私は記憶に自信がめっぽうないので、違うよと思われたら、コメントしてくださいm(._.)m
カールⅢ世さん、こんばんは。
俺も燭台のエピソードは知りませんでした。なぜ燭台だけを?と、疑問には思ってたのに、そのまま流してしまいました・・・単に高価なものか?とかで。
やっぱり色んな方のレビュー読むのが楽しいです。知識も増えるし(忘れるけど)。
ユダヤ教の燭台の話、まったく知りませんでした。
それでよくこの映画について語れるよな、と自分に呆れてしまいました。
それから、ついつい美女2人に心奪われ、ドヴィッド目線はまったく考えていなかったことにも、自分に対して、なんだかなぁ、な気分です😅😂😃
やっぱり映画について他の方の意見を聞けるのは楽しいですね。
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。