「選択の自由」ロニートとエスティ 彼女たちの選択 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
選択の自由
May you live a long life!
長く生きていれば、いろんなことがある。
そして、自分で乗り越えなくてはならない困難や課題もある。
自ら課してようが、課してまいが。
このストーリーは、ユダヤ教の戒律の厳しい家庭や環境に生まれたというところを除けば、割とありそうな同性愛の物語のような気もする。
しかし、僕達に問うているのは、ユダヤ教が窮屈な宗教だとか、戒律が厳しいとか、そんな中で同性愛は大変だとか、新しい価値観が認められ辛いとか……、実は、そういうことは副題で、選択の自由とは、どういうことなのかということを示したかったのではないか。
ここからネタバレ
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妊娠の分かったエスティは、ドヴイッドと別れる決心すると同時に、ロニートに依存するのではなく、「自立」して生きていくという選択をするのだ。
そして、生まれてくる子供に、本当の意味での選択の自由を与えようと考える。
選択の自由は決して二択ではない。
しかし、責任とか自立とかが伴う。
そして、ロニートは、これまで孤独でも一人で頑張ってきたという自分のヒストリーから、エスティの決意を理解し、尊重する。
これも、きっと一つの愛の形なのだろう。
再会して、再び求め合う場面は、なんか美しいように感じた。
二人が幸せであれば良いとも思った。
しかし、そんな願いを更に超えるようなストーリーだと思った。
ついでに、言わせてもらえれば、ユダヤ教徒も自らのコミュニティが迫害にあっても自立してやっていけるよう努力を重ねたのではなかったのか。
色々考えさせられるメッセージがあるストーリーだ。
レビューを拝見して感じることがありました。そういえば、ユダヤの人々はディアスポラ・離散の歴史の中で、金融や知的活動で、つまり土地のような固定資産の所有が不自由な中で(農業や工場を持てない)何とか自立して生きていく術を身につけてきたのでした。
自由の選択と自立(精神面、経済面ともに)は不可分な関係にあるのですね。