「悪くはない、悪くはないのだけれど…」劇場版 DEEMO サクラノオト あなたの奏でた音が、今も響く 細雪さんの映画レビュー(感想・評価)
悪くはない、悪くはないのだけれど…
アニメーション作品としての質はとても残念なレベルではある。ただDEEMOという作品の性質上ストーリーやアニメーションというのはそこまで重視されていない感じはする。元のデザインもものすごく素晴らしい作品なのでそこもとにかく残念だけど、アニメにするとなるとその辺は相当な予算と技術が必要なので仕方ない面はある。
その点で言うと音楽の作り込みや全体的な音の演出、雰囲気作りはとても素晴らしく、映像ではなく音楽を味わうために映画館で観るのは正解だった作品だったかもしれない。
ただその点においてもとても残念なのがキャラクターボイスである。キャラクターの造形や動作の質の悪さは上記した通りで全体的な絵の構造以外は脚本的にも本当に"ただ作りました"感が酷い作品で。
これに加えて問題なのが声優のキャスティング。
"音"が重視される作品なのに声優のミスマッチ感や不快と感じるレベルの半端さが聞いていて辛い。
挿入歌の"春の空へと"の酷さも全体的な良質な音楽に全く合わない…。
DEEMOという元の作品が全体的にクオリティの高い音楽の結集のような作品なので、視聴側もそこに意識が行きがちで歌も声もやはり半端なものを混ぜると"ノイズ"に近い不快感になってしまう…
ディズニーや話題の子供向け映画作品のように話題の声優、そこそこ実力と話題性のある芸人を集めて万人向けにしたかったんだろうけど…。
梶浦さんはともかくとして、こういった半端な"音"により作品としてとても素晴らしかった"音"の評価自体も下がってしまったのはとても残念である。
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