「監督の記憶や想いが音楽や字幕や映像の結晶として再構築されている」永遠が通り過ぎていく Naokisky2さんの映画レビュー(感想・評価)
監督の記憶や想いが音楽や字幕や映像の結晶として再構築されている
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とても情報量の多い短篇集だった。鳥籠のような温室植物園での二人劇が強く印象に残った。
傷ついた皮膚を覆う瘡蓋のように日本語とフランス語の字幕が貼られていき、二人の台詞が流れてきて、音楽がそれを包み込む。幾重にも連なる表現は過度に捉えられるかもしれないが、それらの重なりから生まれた滲んでくるものに純度の高い禍々しさを感じた。
二人の関係は親子であるように見えて、友達のようでもあって、人間ではないように見えた。植物の化身のようでもあるけども、監督の想いを語る記号のような役目を担っていたのだろう。その温室内で良くも悪くも一定の保護下に置かれて育ち、やがて温室の外へ出荷されていくであろう植物たちに、監督は自分がある一定の環境の中で護られて反発しながらも今に至る自分を表現したのかもしれない。字幕、音楽、多彩な色彩が弾幕のようにスクリーンを覆い守りたかったものは、監督と親との物理的に切ることのできない記憶の糸だったのかと思った。
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