「描かれている傷には覚えがないけど懐かしい」永遠が通り過ぎていく デブリさんの映画レビュー(感想・評価)
描かれている傷には覚えがないけど懐かしい
ストーリーを追うっていうよりは、眺めるように見て、音楽を聴くようにセリフを聞いて楽しむ映画かなと思った。
昔、HTMLタグを書いてホームページを作っていた頃に、フリーの写真素材サイトをたくさん訪ねては好きな雰囲気のサイトをブックマークしていたんだけど、この映画はそういうサイトをのぞいている感じがして懐かしかった。「女の子」「街」とかカテゴリーに分けてあって、微笑む女の子の鼻から下が斜めに写ってたり、電線が意味ありげに延びてたりするやつね。■が並んでてクリックすると別カラムに写真が表示される、ああいうやつ。監督が普段から撮りためている風景なども編集して使われているそうだ。
セリフで誰かが誰かに訴えかけている内容は、自分の傷を分かってよ分かってよと言ってるみたいで、そこは同じ傷があるかないかその傷が深いか浅いかでどれぐらい味わえるか変わるだろうなと思う。私はとりあえず文語調だったり詩的だったりするセリフに挑んでいる俳優さんたちの姿のほうに感銘を受けたかもしれない。
戸田真琴監督、キャストの中尾有伽さん、中尾さんの他の出演作の監督で阿部はりかさん。三人が登壇する回に行った。司会なしで女三人しゃべる。中尾さん、出役なのにまるで前に出ようとしないで優しいまなざしで監督を見ていたのが印象的。
男性客がやっぱり多かったけど、上映中も舞台挨拶中もみんな静かにしていてマナーのいい人たちだった(ペットボトルをどすんとホルダーに置く人がいて、それは嫌だったかな)。出かける前、偏見に満ちて(劇場が妙な雰囲気かもと)覚悟を内心していてすみませんでしたという気持ち。
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