劇場公開日 2020年9月11日

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「タツノコプロの「決断」をこのCGでリメイクしたら・・・」ミッドウェイ N Motoさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5タツノコプロの「決断」をこのCGでリメイクしたら・・・

2020年9月13日
iPhoneアプリから投稿

基本的に1970年台の同名作品の焼き直し。
完全なドキュメンタリー映像にならないよう脚色(フィクション)が加えられているのはどちらも同じです。どのような脚色かは監督や世相を反映されて興行成績が上がるような物が選ばれるんでしょうが、前回は米パイロットの婚約者が日系人の女性で強制収容所に収監されてしまうお話でしたが、今回はチャイナマネーが入っているので、そちらの意向が入っていて嘘ではないけど今回の映画に取り入れるまでもないシナリオが目立ちましたので見ていて冷めてしまいました。
急降下爆撃機の搭乗員が主役的なので零戦が目立って仕方ないですが、真珠湾攻撃のシーンで脇役のはずの護衛任務の零戦の機銃照射ばかりの攻撃シーンはやり過ぎ感がありありで、これは零戦イコール残酷を植え付け、のちの急降下爆撃機の搭乗員が後部機銃で零戦にお返した際の爽快感を煽るためとしか思えなかった。
前作より多くメインの役柄に日本の役者を配置したのは良かったですが、司令官がちょこちょこ動きすぎだし喋り過ぎ。作戦立案、対処案提案は参謀の仕事で司令官は参謀が提案したものに一言二言程度、ここだけは間違えるなよ的に質問したり念を押したりして意思決定がされる過程が全く省かれており、司令官が一人で独断で決めている様に見えます。
まあ、アメリカ人の思考からすれば、参謀は子飼の軍人で司令官の好む戦術をいうものばかり集めてるんだから、そんな茶番的な意思決定の場面は省略!となったのであれば真相をついているのでむしろあっぱれ。
日本側の脇役の士官の服装、特に正帽のかぶり方が若者がかぶるキャップのようにおでこを見せてめちゃくちゃなのは明らかに手抜指導で気になって集中できない。
タツノコプロが1970年台に作成したドキュメンタリーアニメ「決断」のミッドウェイ海戦(確か前編後編構成)の方が先の大戦の転換点となったミッドウェイ海戦を純粋に描いていると思うし、山口二航戦司令官が飛龍艦長と一緒に船と共に沈む際の描写は好み。映画では前作の描写や、役所さんが演じた映画山本五十六の中で阿部寛さんが演じた山口司令官のほうが秀逸で泣けたんだけど今回の映画では、同じエピソードなのに全く泣けない描写でした。
タツノコプロのアニメは今のアニメ描写からすれば紙芝居みたいなもので、現代の若い人には見られたもんじゃないと思うので、今回のCG技術で「決断」をリメイクしたらいい映画になるなるかもと思いながら映画館を後にしました。

N Moto