「あまり見かけない「アメリカ視点の恐怖」まで描かれる太平洋戦争映画。まさかのR・エメリッヒ監督作」ミッドウェイ 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
あまり見かけない「アメリカ視点の恐怖」まで描かれる太平洋戦争映画。まさかのR・エメリッヒ監督作
「インデペンデンス・デイ」などで破壊王という異名を持つローランド・エメリッヒ監督の作品は、これまで内容的にトンデモ系が多かったので本作には期待できませんでした。ただ、実際に見てみたら、約20年の徹底したリサーチをし脚本に約2年半も費やしたりしただけあって、ほぼ史実に基づく意外とバランスの良い作品となっていました。
この「ミッドウェイ海戦」によって日本の戦争の風向きが変わるきっかけになりました。
これまでの戦争映画は、なぜか日本だけ悲観的な描き方をしているものが多い印象でしたが、「ミッドウェイ海戦」までは日本はアメリカからも驚異的な存在であったわけです。本作はアメリカ視点で、日本への恐怖もキチンと描かれていて、決して結果ありきの映画ではありませんでした。
そして脚本さえしっかりしていれば、映像は「破壊王」の異名通り迫力が炸裂していて、戦争映画としてのバランス面では出来の良い作品だと思います。
初陣となった戦艦大和の位置付けが見えたりもします。
難点があるとすると以下の2点でしょうか。
1.製作費の出し手が見つからず中国資本に助けられた[アメリカ・中国・香港・カナダ合作]ため、本来は無くても良いシーンが一部入っている点。(ただ、これは本題とは関係ないため目くじらを立てる部分ではないとも思います。あくまで本作のメインは日本とアメリカの関係性です)
2.山本五十六(豊川悦司)率いる山口多聞(浅野忠信)や南雲忠一(國村隼)といった重要な日本人をキチンと日本の俳優陣で固めているところは良いのですが、一部違和感を抱く言葉が出る点。(これは主要3人の言葉でさえもイントネーションがおかしく聞こえる部分があったので日本人パートは日本の助監督とかがいるとクオリティーはさらに上がったはずと残念な部分です。日本人以外のキャストもいたのかもしれないほど言葉の面が少しだけ気になります。とは言え、キチンと日本の代表的な俳優を使っている点などは評価に値するとも思います)
「なぜ日本の戦争の風向きが変わったのか」など様々なことを改めて考える上で示唆に富む、見ておきたい戦争映画だと思います。
どうも、初めまして。!
批判的意見になりますがお許し下さい。
私には、日米公平に描かれていると思いません。
日本側は指揮官のみです。
何かの映画でも「事件は現場でおきている」と言うセリフもある様に、
戦いも現場の兵士を描いてこそと思います。
確かに飛龍の反撃シーンは感情論の
センチメンタル(敵討ち)的な気持ちもあります。
がアメリカ側のみパイロット主体に描かれています。
戦争を美談的に話すは問題なのかもしれませんが日本にもヒーロー(友永大尉)がいた事を広く知ってもらうチャンスだと思っておりました。
わずか10機の雷撃隊で日本より強力な空母に致命傷をおわせたのは脅威的です。
日本にも勇敢な男達がいた事を日本人が知らなかったとしたら本当に残念です。
それが言いたいです。!
失礼しました。
ばるすパパさん、こんにちは。そうなんです、通常のハリウッド映画だと気付かないものだったりしますが、日本が大きく関係していると、より気になりますよね。本作は資金集めにかなり苦労した作品で、見切り発車で決まったことが制作当初ニュースになっていて「R・エミリッヒ監督だから仕方ないのか」と思っていたら、完成した作品は意外とまともでビックリしました(笑)。
そういう背景もあって本作では一部、目をつぶってあげるのも優しさかな、と思ったりしています。