リチャード・ジュエルのレビュー・感想・評価
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2020年 6本目 ★★★ 「権力は必ず腐敗する」
リチャード・ジュエル見た。まず、松本サリン事件を思い出した。警察やメディアが作り出す冤罪の恐ろしさ。
映画評論家の町山智浩さんの「良い脚本は、必ず主人公が成長する」という言葉を思い出した。リチャード・ジュエルはホント軽くムカつくとあるけど、自分が信じたもの憧れたものに裏切られる事で成長するのが悲しかった。
この映画みてると、イーストウッドは、自分が過去に演じていたマッチョなアメリカを本当に危ないと考えてるのだろうか。権力は必ず腐敗してしまう。
リチャード・ジュエルは、あの悪役をいってに引き受けた女性記者が実際は「お前の記事が冤罪の原因を作った」と責められて自殺してる。
それを知ったら、嘘でもいいから彼女が「新聞に謝罪記事だしましょう」とかで彼の無罪を訴えるとかあっても良かったのになと思った。
現代だからこそ意味のあるメッセージ
明確な偏りを感じる、しかしそれが事実と思わせる表現力
起こった事実を淡々と描きながら、時に音楽などで効果的な劇的表現─。正直、悲しみの涙が止まりませんでした。
表現が過剰にも感じましたが、不思議と違和感を感じることなく、素直に事実として受け入れることができたような気がします。
偏見に満ちた表現も数多く出てきて、嫌悪感もありましたが、それが全て感動に持っていかれて、実に巧みだなぁと思ってしまったので、いやらしさを感じる人が多いかもしれません、自分は単純にボロボロ泣いてしまいましたが…。
役者のパフォーマンスが特に素晴らしく観じたのは、展開がシンプルためだったのか、あるいは役者の演技を生かすためのこの展開だったのか─。とにかく酷すぎるこの事実を単純明快に伝えることだけに注力したようにも感じました。確かにステレオタイプ的な人物像や表現があまりに多いようにも思いましたが、実際にあったこの事実があまりに単純で偏見に満ちた“暴力”であると感じる上では効果的だったようにも思います。
英雄で変わり者のリチャード・ジュエルを最強に肯定的に描き、彼を貶めようとする輩すべてを徹底的に糾弾している─単純なこの視点を受け入れるか否か、それによってこの作品の感じ方が全く違ったものになるような気がします。
個人的には、この一方的で安直な表現が実に爽快に感じたし、それがむしろ意図的であり知的にもところがありました、攻撃している者の力を借りて、徹底的にやり返すような─。
本当のヒーローの名を映画タイトルにする事で永遠に刻む
同監督による「ハドソン河の奇跡」と同様に、本来多数の人命を数ったヒーローとして人々に記憶されるべき人物が歪められ、逆に糾弾される対象に追い込まれてしまった実話を元にした作品。
類似したその他の事件と同様に、マスコミや人々は、糾弾している最中にはエキサイトして騒ぎ立てるが、その後、疑惑晴れたあとの後始末はどうなんだろうか?
この映画の主人公も、後の真犯人の逮捕で完全に疑惑は晴れて復権したとは言え、結果的にその後亡くなっており、早死と言える。
恐らく、世間は「真犯人逮捕」の方には報道も過熱するだろうが、誤認された被害者のその後についての関心度はそれほど高くは無かっただろうと想像できる。
そうした、本来アメリカのヒーローとして永く記憶に刻まれるべき人物だったにも関わらず、人々の記憶が薄れて行きかけている人物に対し、クリント・イーストウッドの眼差しは優しい。
主人公の名前そのものを映画タイトルに冠する事で、彼の名前は人々の記憶に永遠に刻み込まれる事になる。
弁護士役のサム・ロックウェル、すごく良いです。
「ジョジョ・ラビット」でお気に入りとなったことも手伝って、今作鑑賞の動機にも貢献してまス。
キャシー・ベイツの演技もよかったですね。
主人公の彼は、実際のリチャード氏にソックリとか?
正直者と信念と尊厳と
リチャード・ジュエルを観てきました。
今回も、事前情報一切なし。
何の話で、誰が出てくるのかも一切分かりません。
最初、ぽっちゃりした方が出てきて、さぁ、何の話なんだろうと観ていきます。
出会いがあり、別れがあり、平凡な毎日があり、あれ? これは本当に何の映画なんだろう?
と思ってみていたら、話が急展開。
しっかり伏線を回収しつつ、ハラハラドキドキ。
憤慨しつつも、他人ごとではない、はたして自分がこの状況に置かれたときに、このような対応ができるのか、信頼にこたえることはできるのか。
正直者が馬鹿をみない
途中、あまりにも耐えられない仕打ちをうけて、主人公の本音がようやく出たときには、本当、やるせないなぁと心から共感しました。
そこまで追い込まれていながら、最後のセリフがさらに心に響きます。
根っからの正直者が本当にいるんだなと、びっくりしました。
もちろん、聖人君主の物語ではなく、ごく普通の、ただ、少しだけ正義感の強い凡人が、当たり前のことを当たり前にやろうとした結果、あやうく全てが台無しに、まさか、このまま報われないことがあってはいけないと思いながら、画面を食い入るようにみている自分がいました。
欲を言えば、相手側がなぜ、そうしてしまったのかの、心理描写もしっかり描かれていると、さらに良かったかなぁと思いました。
お母さんの演技が俊逸です。
もちろん、主人公と相棒は完璧。
相棒のパートナーもいい味出しています。
登場人物自体は少ないですが、瞬きするのを忘れるくらいに、丁寧に描かれている美しい映画です。
もう一度見てみたいと思う、心温まる作品だと思います。
素晴らしい映画をありがとうございます。
イーストウッドは間違いない
偏見
アトランタオリンピックでの爆発事件の犯人に仕立てあげられた警備員とその弁護士の話。
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このリチャード・ジュエルさん警察になることを夢見る警備員で太っててオタク気質で結構変わり者。だから英雄に憧れる爆弾犯のイメージにぴったりっていう偏見で、すぐにマスコミの餌食に。
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最初こそ爆弾から市民を守った英雄ってもてはやされてたのに、容疑者の1人になった瞬間に態度を変えるマスコミの怖さ。
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クリント・イーストウッドってここ最近『ハドソン川の奇跡』『アメリカンスナイパー』『パリ行き』で英雄と呼ばれた人達の話を結構作ってたけど、今回は英雄から一転して容疑者になった人って言うのが面白かった。
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朝起きたら急に自分が何かの犯人にしたて挙げられてたら、どうしますか。
マスコミの怖さ
ダーティなマグナム
爆弾。怖いですね。学校は、難しい公式や定理より、気に入らないことがあっても、爆弾を作ってはいけないことを、教えて。
疑わしきは、罰せずと云いますが、疑わしきは、サインさせる、音声録音をする。それが、法執行人の正義。
知る権利。概ね憲法で保証されますが、知る為なら、あらゆる手管を用いるのが、マスコミの正義。
弁護人。いかなる同調圧力にも屈しない、鋼のメンタルと、スニッカーズこそ、正義。
正しさ。どんなに不興をかっても、貫くことが、正義。
全米ライフル協会会長たる、イーストウッド御大の放つ、ダーティなマグナムは、御見物のどんな正義を撃ち抜くのか。取り急ぎ、ライフル協会が嫌いで、鹿狩りに興味ある方、及び、そうでない方も、みんな観てね。
前フリ長くて、ご免なさい。さて、本題です。
極東の島で起きた、第一通報者が疑われ、それをマスコミが助長した事件。あるいは、とある大陸で、通報して疑われたくない故に、轢き逃げされた子どもが、路上に放置された防犯カメラの映像。ある程度の年齢の方なら、ご存じですね。イーストウッド御大が、本当に撃ち抜たかった的は、何処なのか?。改めて御考慮願います。
#明日は我が身
母と子の物語
目のまわりが真っ黒メイクが最後まで気になった。
クリント・イーストウッドさすがです。こういう映画を観たいんだよ!
ここでも光るサム・ロックウェル
前日にジョジョ・ラビットを見た中で主人公のジョジョを支える良い味俳優としてサム・ロックウェルが輝いて見えた。
ここでも主役をがっつりサポートする弁護士としてサムが熱演。良い俳優だー
さらに敵役であるFBIのクソ捜査官役にはなんとマッドメンのジョン・ハムじゃん!
そんな素敵なキャストに支えられて本物のリアルヒーローだったといえあまりにアメリカンな容姿のリチャード・ジュエルはマスコミに持ち上げられたかと思ったら、急降下させられるジェットコースター人生を歩む。
捜査段階での情報をリークしたFBIがほぼ全て原因(記事にした記者はそれが仕事っちゃ仕事だし)なんだけど、燃やすも消化するもマスコミのさじ加減というのは20年前も今もアメリカでも日本でも同じだなと思いました。ただアメリカの場合はこれを書籍化することなどで大逆転が図れるというのはアメリカンドリームというアメリカでしかできないワイルドカード。
外見に惑わされるなと云うほどに、外見は重要。
あの弁護士サムロックウェルだったのか… 松澤一之かと思った(うそつけ
人には 出来る事と出来ない事、したい事としたくない事があります。
『外見が重要』という視点なら「自分自身が」心がけるて事ですかね。 でも出来ない事やしたくない事だってあります そっちのが多いかも
で、『人を見た目で判断してはいけない』ですね。
「相手をみる」こちらの教訓がこの映画の話かと思いました
お粗末な先入観、偏見、固定観念をまんまプロファイリング捜査につなげてしまう無自覚な悪を感じます。
プロファイリングを盲信する、という恐怖。
悪意があるとも限りません。 日常でないことが起こると自分や家族を守るため ときには興味本位で または正義感から 人はいとも簡単に “そういう方向” へ飛ばされていきます
そうしてその噂や判断は大抵、力の強いもの、声の大きいものが優位になりがちです、人間てホント困ったもんですね
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権力を持った人間はモンスター
視点
イーストウッドの作品は、普通の監督が作ると極々普通の映画になりそうだが、彼は視点を変える事によって見る者に違った観点で作品を鑑賞させる能力が高い優れた監督です。
今作品も御多分にもれず、普通ならリーク記事を書いた新聞記者をもっと掘り下げるとか、対峙するFBI側の視点に立って物語が展開してもよさそうなものを敢えて主人公のリチャード・ジュエルの視点だけに焦点を当てて、そこから最後までズレることはない。
いつも彼の作品には感心させられる。
最後に裏話を。
『クリント・イーストウッド監督『リチャード・ジュエル』で「悪役」にされている女性記者キャシー・スクラガスがセックスを使ってFBIからスクープを得るシーンは名誉毀損レベルの捏造。また、彼女はジュエルに濡れ衣を着せたと訴えられて自殺している。』(映画評論家 町山智浩氏のTwitterから引用)
アトランタオリンピック どんな大会だったか全く記憶にないんだけど...
アトランタオリンピック
どんな大会だったか全く記憶にないんだけど爆破事件があったことはうっすら覚えてる。
亡くなった方もいらっしゃるし
被害を受けた方が大勢いらっしゃるのに
不謹慎な言い方だけど
リチャードが真っ正直(過ぎる)で
余計なフィルターを掛けない心の持ち主
だったから発見出来たのかなぁなんて。。
そんなリチャードの性格や気質を
見せてゆくくだりの構成が素晴らしかったし作品の主軸となる人達の描き方は
余計なものを削ぎ落とした感じなのに、
それぞれの人物に感情移入できちゃうのは役者さん達の演技の上手さなのかなぁ。
キャシー・ベイツの弱さも強さも見せる
母親役は、早く安心させてあげたいって
思ってしまったし
サム・ロックウェルの抜け感からの信頼感を感じさせてくれた男気が頼もしかったし
そしてリチャード役の
ポール・ウォルター・ハウザーが
とにかく良かった。
終盤の対峙のシーンの真剣な表情にはちょっと感動したし。
「アイ・トーニャ」の時は
マジでムカつく💩野郎でしたけど(笑)
個人的には、本作でオスカーの主演男優賞にノミネートされてもよかったのになぁと思うくらい。
それとサム・ロックウェルの秘書?
事務員?の人。
サムとの絡みになんだかほっこり。
どこまで本当なのかはわからないけど
なんだかんだ言いながら相手を
動かしちゃうところ、
ああいうことを自然と出来ちゃう人
憧れます。
派手さはないけど
一つづつ積み上げてゆく
リチャードの人物描写や
思い込みで産み出してしまう
「冤罪」の恐ろしさ、
登場人物を通して
「差別意識」の怖さを訴えてくるあたりは流石な脚色だなぁと。
時代背景の演出も良かった
マカレナダンスには不意を突かれましたw
ただ、女性記者の人物像を
前半で結構な割合で映し出してたのに、
後半にかけての彼女の心の変化の描写が
乏しくて脚色が雑な感じになったのは残念。
映画を鑑賞した後で女性記者の扱いを
巡って論争が起きてることを
知ったんだけど、女性記者は故人だし
もう事実がどうなのかわからんけど、
死人に口無しの脚色だとしたら
それはそれで怖い
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