「容疑者に「プロ」はいない」リチャード・ジュエル N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
容疑者に「プロ」はいない
事実がベースとなっているため、誰が犯人であるのかということはすでに明らかだ。
知っていてもなお見ていられるサスペンス要素とは何なのか。
つまり、物語は逮捕したいFBIと記事を売りたいメディアと容疑者サイドの三つ巴で、
唯一「プロフェッショナル」でないのは容疑者だけだということだ。
そもそも容疑者に「プロフェッショナル」なんて存在しない。
そして捜査に司法はなかなかに専門職、「プロの世界」だ。
なら同じ舞台に立った時、一番不利なのは誰なのか。
幸いにも容疑者サイドには有能な弁護士が「プロフェッショナル」としてついてくれていた。紙一重の戦いだったのだろうと感じざるを得ない。
そして同時に自分も、この映画を見る人の半数以上が素人にちがいなく、
他人事にはできないと立場をすり替えてみてしまう。
なら考えずにおれないのは、ツギハワガミ? の恐ろしさだろう。
着眼点の良さはやはりイーストウッドレーベル、と思える1本だった。
ほかにもキャシーベイツの演技が絶妙。面倒見のいい弁護士さんでよかった。リチャードのFBIを前にふるう最後の熱弁もかっこよかったな。
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