「正直者と信念と尊厳と」リチャード・ジュエル 柳澤博さんの映画レビュー(感想・評価)
正直者と信念と尊厳と
リチャード・ジュエルを観てきました。
今回も、事前情報一切なし。
何の話で、誰が出てくるのかも一切分かりません。
最初、ぽっちゃりした方が出てきて、さぁ、何の話なんだろうと観ていきます。
出会いがあり、別れがあり、平凡な毎日があり、あれ? これは本当に何の映画なんだろう?
と思ってみていたら、話が急展開。
しっかり伏線を回収しつつ、ハラハラドキドキ。
憤慨しつつも、他人ごとではない、はたして自分がこの状況に置かれたときに、このような対応ができるのか、信頼にこたえることはできるのか。
正直者が馬鹿をみない
途中、あまりにも耐えられない仕打ちをうけて、主人公の本音がようやく出たときには、本当、やるせないなぁと心から共感しました。
そこまで追い込まれていながら、最後のセリフがさらに心に響きます。
根っからの正直者が本当にいるんだなと、びっくりしました。
もちろん、聖人君主の物語ではなく、ごく普通の、ただ、少しだけ正義感の強い凡人が、当たり前のことを当たり前にやろうとした結果、あやうく全てが台無しに、まさか、このまま報われないことがあってはいけないと思いながら、画面を食い入るようにみている自分がいました。
欲を言えば、相手側がなぜ、そうしてしまったのかの、心理描写もしっかり描かれていると、さらに良かったかなぁと思いました。
お母さんの演技が俊逸です。
もちろん、主人公と相棒は完璧。
相棒のパートナーもいい味出しています。
登場人物自体は少ないですが、瞬きするのを忘れるくらいに、丁寧に描かれている美しい映画です。
もう一度見てみたいと思う、心温まる作品だと思います。
素晴らしい映画をありがとうございます。