「スピーチ大好きアメリカ人」リチャード・ジュエル Bacchusさんの映画レビュー(感想・評価)
スピーチ大好きアメリカ人
1996年アトランタ五輪の裏で起きた爆破テロで容疑者としてスッパ抜かれ吊し上げられた無実の男の話、
当時日本でも報道されたのかも知れないが、少なく共、現在この事件の記憶はなく鑑賞。
イベント会場となっていたアトランタの公園で警備員をしていた33歳の男が爆弾を発見。
来場者を避難させている最中に爆弾が爆発するも沢山のひとを救ったと英雄として祭り上げられる中で、FBIから容疑者の一人とされていることが報道され巻き起こっていく。
人の良さと優しさは感じるけれど、それが故にうだつの上がらなさも感じる主人公。
それでいて俺が俺がとアピールするのはある意味アメリカ人らしい感じ。
いやーアメリカ人てホント雄弁というか語るの大好きだよね。
さっさと片づけたいのがみえみえで決めたストーリーに乗せるべく捜査や証拠をつくろうとしていくFBIに、スッパ抜いてナンボ売れてナンボの無責任なマスコミに、考えなしで鵜呑みにし流される民衆にと、悍ましさを感じる。
自分もそんな民衆の一人な訳だが…。
仕事だからという面もあるだろうけど、知人でもある弁護士のブレない姿勢と主人公に対する態度は救いだし英雄だし、無罪を勝ち取る為の戦いは、尚積み上げられる不快感と共に、熱さと心地良さがあり非常に面白かった。
クロと断言した訳ではないとはいえ、ここまで騒いで間違いに気づいても詫びの一つもないマスコミに、最後まで間違いを認めず都合良く記憶の上書きや解釈をしているFBIに、憤りと恐ろしさを感じた。
マスコミやそれに扇動された民衆から糾弾されてもブレないワトソン弁護士は頼もしかったです。
熱さの中にも冷静さがあって、新聞社に乗り込んでいくところはかっこよかった。