「消せないマジック」リチャード・ジュエル まめこさんの映画レビュー(感想・評価)
消せないマジック
クリックして本文を読む
この作品は、私たち市井の人間に向けられている気がします。
ライブ会場での爆弾テロの犯人に仕立て上げられた第一発見者。題材がセンセーショナルなだけに、ジュエルに肩入れし、メディアや捜査員を敵視する。
けれど大なり小なり私たちの生活には、そういう場面がある。週刊誌の記事ひとつ取ったってそうだ。
前例を盾にもっともらしい設定をつけるとなんだかみんなそんな気がしてくる会議。初歩的な電話ボックスまでの距離の検証さえしないで火をつけるメディア。右向け右でそれを助長するテレビ。
作品では描かれていないけど、きっとそういう情報に左右されて流れを助長するのは、私たち市井の一般市民なんだろーなあ。
押収された生活用品の中のボウルに乱雑に刻まれた消せないマジックの整理番号、それがこの事件を象徴しているんだなあと、少し涙腺がゆるくなっておりました。
事件は、誰も見ていないところで、静かに、突然終わる。そんなところもまた、イーストウッドのシビれる演出を感じました!
コメントする