劇場公開日 2021年2月11日

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「北川景子、中村倫也、芳根京子、それぞれの演技が見もの。シリアスなストーリー仕立てが堤監督らしい」ファーストラヴ ニンフィア好きさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0北川景子、中村倫也、芳根京子、それぞれの演技が見もの。シリアスなストーリー仕立てが堤監督らしい

2021年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

原作の小説を読んだうえで鑑賞に行きました。本では文字で書かれている物語を頭の中で映像化しながら読んでいたので、全てのあらすじは把握できていました。それを実際に映画で観ると、よりリアルな映像での描き方に引き込まれました。

父親を殺した容疑で逮捕された女子大生。彼女を担当する弁護士。事件の真相を知るために逮捕された彼女とコンタクトをとる公認心理士。この3人を軸に、過去と現在を複雑に絡ませながら物語が進んでいきます。芳根京子演じる女子大生が父親を殺した理由について、彼女の語ることが世間を騒がせる。「22年目の告白ー私が殺人犯ですー」のような世界観に似ているようにも感じました。ファーストラヴとタイトルにはありますが純愛とは程遠い、主要人物の2人の間には、なんとも黒い愛があります。中村倫也の、女性と無理やりな恋人関係を持とうとする演技が衝撃でした。

プロのレビュアーの方もおっしゃっている通り、芳根京子の演技が特に目に付く2時間でした。普段テレビで見せるかわいらしい一面とは打って変わって、完全に殺人を犯した一人の女にのめり込んでいました。面会のシーンでは、ころころと意見や主張を変えて相手が戸惑うように仕向けたり、突然パニックを起こして泣き叫んだり、裁判のシーンでは自分の語るべきことを悲痛な叫びとともに語る。北川景子にも負けない女優としての情熱が入った演技でした。もちろん、北川さんもずっと変わらず綺麗で、辛く悲しい過去を持つ女性を演じきっていました。

ストーリーとしてはかなり重たいです。「十二人の死にたい子どもたち」でも堤監督は未成年の自殺願望を、原作に忠実かつシリアスに描き出していて、子どもが抱える心の奥底の闇が溢れていました。この映画でも同様、なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか。そんな闇深い一つの疑問が物語をより深刻に、かつ感動的にしています。個人的にはかなり好きな物語の展開だったと思います。

ニンフィア好き