「地味だが深みのある正統派探偵映画!」マザーレス・ブルックリン 柴左近さんの映画レビュー(感想・評価)
地味だが深みのある正統派探偵映画!
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探偵映画のツボを抑えつつ、それだけには留まらず現代にも深く残る社会の、とりわけアメリカの闇を上質なエンタメとして昇華させた良作。「強さで得た勝利。それは止めることができない」というようなモノローグがあったが、その通りだと思った。
人物描写も丁寧。探偵映画でよくある探偵と美女が惹かれあっていく描写。「現実にこんなことありえないだろ。ま、映画だから気にしない気にしない」と流していた案件だが、この映画ではそういう感情が起こらずすんなりと観れた。
「母が首筋を撫でると発作がおさまった」というモノローグ。ヒロインはそれを知らないが緊張している主人公を宥める時にソッと首に腕を回す。
こういったさりげないシーンから、主人公はヒロインにどういう思いを抱いたかがイメージできる。こういった派手では無いがしっかり人物を掘り下げるシーンが多くて嬉しい。
ノートンの演技もとても説得力のあるものだった。自分はチック症の人には実際に会ったことは無いが、きっと会ったらこういう感情を抱くのだろうな。抱いてしまうのだろうな。とリアルな感覚を味わった。
万人にお薦め!はしないがとても好きな映画だった。
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