ミッドナイトスワンのレビュー・感想・評価
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凪沙の生き苦しさ
今でこそトランスジェンダーなどということは、言葉としてはポピュラーになったと言えるのかも知れませんけれども。
しかし、社会的な理解ということでは、なかなか言葉として知られ始めたことに追いついていないのかなぁ、と思います。評論子は。本作のような作品を観ると。
画面からは、何とかして自分が認識するとおりに「女」として生きようと、地べたを這い回るかのようにもがき、苦しむ凪沙の生き苦しさが伝わってくるようで、いたたまれない気持ちにもなりました。
自分の気持ちに素直に生きたいと願うことで、どうしてこんなに切ない、苦しい思いをしなければならないのか。
その「苦しさ」、現実の「厳しさ」そして「むごさ」は、筆舌に尽くし難いものがあるのだろうとも思いました。草彅剛の渾身の演技を観て。
本来は優美このうえないはずの鳥(白鳥)なのですけれども。真夜中に、ひっそりと生きづくそれらは、優美さのかけらどころか、いたたまれないような物悲しさを禁じ得ません。
本作で、凪沙が一果を引き取ることにしたのは、彼女についてくる養育費目当てということですけれども。
しかし案外、言葉では「子どもは嫌い」と言いつつも、内心、一果と良好な母娘関係を築くことがもしできれば、それは「女」(母親)としての自分の試金石になると、凪沙は考えたのではないかと思われました。評論子には。(独断の深読みのし過ぎかも知れませんけれども。)
一果を取り戻すべく押しかけた実家で、揉み合った末に、突き飛ばされ、転んでしまった拍子に露わになった凪沙の胸元を見た早織に「そんなこと(乳房の形成)までして、このバケモノが」と罵られたときの凪沙の、いわく言い難いあの表情…。
草彅剛の俳優としての、まさに鬼気迫る迫真の演技といえたと思います。
そのことが、評論子には、いちばん印象に残った作品になりました。
秀作としての評価に値する一本と思います。
幸せになってほしい
公開から3年を迎えて尚ロングランを続けていると知り映画館に足を運びました。
草彅剛さんが男性の身体をもって生まれてきた女性の苦悩を実に見事に演じていました。
他人を、自分を認められず受け入れられなかった二人が出会いふれ合うことで人を、そして自分を受け入れていく様子が丁寧に描かれていました。
もがき苦しみ、それでも前向きに生きようとするすべての人に幸せになってほしい、そう願わずにはいられません。
映画館という集中して観られる環境でみてよかった!と思える作品です。
高評価の嵐の中で、確かに涙を流した感動作品なんだけどちょっと気にな...
高評価の嵐の中で、確かに涙を流した感動作品なんだけどちょっと気になった部分が多かったのでまとめていきたい。
【一果について】
まず一果は劇中で凪咲も言っていたように「何を考えているか分からない」
これは我々視聴者も同じであり、寡黙で感情をうまく表現できない彼女だからこそ、
我々も思うままにかの次女の気持ちを感受できるんだけど、裏を返せば都合よく解釈しちゃうんじゃないかなと思ったのよね。
原作が小説ということもあって映画ではカットしないといけないシーンが多かったようだから、登場人物の心情に確かな正解はあるんだろうけど、映画と言う媒体では雰囲気を掴むぐらいしかできなくて置いてきぼりを喰らった気分になってた。
【リンとの関係について】
リンちゃんと一果の関係性は百合的だとか結構この作品の中ではノイズだと思ったから私はあえて彼女たちを究極の友情、真の理解者だと思いたい。
バレエの体験に来た時に一目ぼれしたとかはあるかもだけど、どちらかと言うとあの不器用な様を面白がっていい玩具で暇つぶしにしたかったっていう動機もあると思うな。最初はね。
リンは一果が好きだったんじゃなくて、自分と似た毒親を持つ彼女と共依存でいたかったんじゃないかな。そんな中一果がメキメキ成長していけば嫉妬もするし痛い目を見させたいと思うでしょ。同じ場所で苦しんでいてほしかったと言いますか…
キスの解釈としては興味だと思うんだよな…
個撮で男の卑劣で下品な部分を知っている以上、同年代の男子学生に恋するわけもないし。
親に対する逃避と反抗のための違法の撮影会やタバコ、同性とのキスもある種の社会への反撃と捉えたんだよね。
【雑記】
・ラストの解釈は難しいけど敢えての胸糞エンドと捉える
彼女たちは生きずらい存在であり、一果はあんな世界で時分のため踊れるような肝はないと思ったから
・田中俊介さんの女装も演技も最高でした
・結局何が言いたかったのかが分からなかった
間や余白のせいか捉えきれない「街の上で。」のような雰囲気映画っぽさ
・後半は何が起こるのか大体分かる演出がちょっと臭くて残念
別に嫌いじゃなかったんだけど、間の多い作品はちょっと苦手で
それにしてもキャラクターの個が強くて雰囲気を楽しむ感じでもなくて…
でもきっと小説版だったら好きだと思うので呼んでみたいな。
しょっぱい街のしょっぱい人々
主にキャストの力でもたらされている煌めき、素晴らしい。二人ともとてもいい。
だから物凄くもったいないと感じてしまった。
ノッキングをおこしてしまうポイントが多く、手放しに劇中に連れていってもらえなかった。影だけが存在して、光が希薄なため人物造形の彫りが食い足りない。
良さげな場面は羅列しているがぶつ切りの印象であり、脳内で色々なことを補足しながら観ていた。抑揚の問題だろうか、実にもったいない。
タイトルなし
社会派の皮を被ったコメディ映画。不幸のオンパレード作品で落としては少し上げ、また落とすの繰り返し。取って付けたように不幸なシーンを詰め込んでいるからだろうけど、人の感情が前後で繋がっていないようなチグハグさをズッと感じて観ていた。
草彅剛さん、服部樹咲さんの演技は演出が少し足を引っ張っていている所も有ったが素晴らしい。
バレイの事に関して言えば不満は無く、もう少しバレイ寄りの軽い作品にしてくれてもいいんじゃないかと思った。特に砂浜でのバレイシーンは本当に綺麗で一枚絵にして飾りたくなる。
多少詰め込み過ぎかなあ
LGBTをテーマに親子関係やら貧困問題などが絡み合って、物語がテンポ良く進んでいくのは、結構、重いテーマ、重い描写の連続でもスルスルと消化できるのは素晴らしいと思いましたが、イベントごとが多すぎて、半ば説明、話の行方が不透明になり、多々気になったのが残念ですが、良作ではあります。
多分、主人公凪沙役は草彅剛でないと成立しないし、一果役の服部さんもバレエはもとより、バレエが上手くなっていくさまはとても難しかったと思います、一果の成長や変化も適切に演技で素晴らしかったです。
ただ、全体構成はテレビの長尺ドラマそのもので、映画館で観なければならない作品かと言えばノーで、映像も音響も凡庸そのものでした。万引き家族に近いかもしれませんね。
白鳥とオデット
ちょっとずつ分けて観ようかな、と思っていたけれど
始まると止めるタイミングがなく、一気見した。
オデットと凪沙は夜になると本来の自分の姿に戻り、
物語の中でオーバーラップになっているのが良かった。
後遺症で苦しむ凪沙を、1番見られたくないであろう一果に見られたシーンは居た堪れなくなって本当に見ていられなかった。
草彅剛さんの演技、やはり他の方とは違う。どこか突き抜けて良い。とんでもない存在感だった。
場所とかシーンを大事にしてる映画で良かった。
(同じ場所で心が成長したのがわかるみたいな)
バレエの描写が美しくて、りんも一果も素敵だった…
面白かったと一言で片付けられない映画でした。
食わず嫌いでした
かなり話題になってたのと、アカデミー主演男優賞とったのと
色々あり、余計に見るのが遅くなりましたが
今更ですが、見始めからぐっと引き込まれて
最後まで一気に観れました。
私もヒエラルキーの最下層の1人ですが
ジェンダー云々なしにしても貧困問題はぐぐっとくるものがあり
その中で優雅なバレエがただ一つの希望でした
そんな夢や希望があれば最下層でも強く生きれるんだなと。
ま、実際はお金続かんけどね。
草なぎ君が、収入のために、髪の毛切って戸籍上の名前で働く姿は鳥肌が立つほど感慨深い物がありました。
女として産まれて生きて子供も産めたのに母親を放棄する女と
身体は男であるがゆえに子供も産めない矛盾に生きてる女。
前者の私には辛い
当たり前のことすらできない。
女ってだけで甘えてる自分に深く刺さった。
あのシーンはえぐい破壊力あるけど
それなしで語れなかったのかな?
ただの衝撃的だけで終わるには惜しい。
最初にあれほど実家にバラすと云々言ってたのに
女性としていちかを迎えに行くシーンも
だって隠す隠さないじゃなく女なんだもの
執念のように感じるほどに体と心が違う苦しみなんて
理解してるようで、わかった気になってるだけなのか。
誰にも理解されない心の傷
草彅剛扮するトランスジェンダーの武田健二は凪沙と 名乗っていた。男に消費されたら負けだと言う世界で生きていた。そんな折健二のいとこの中学生の娘服部樹咲扮する育児放棄された桜田一果を健二が預かる事になった。
トランスジェンダーを理解しようと思わないが、保護者として健二の風体で現れたら当然荒れるだろうね。一果も気の毒だ。でも愛想もなく荒れてる一果がバレエをやりたいのも意外だな。なんで私だけ…と泣く健二。そんな健二にもバレエ繋がりで愛情が芽生えるなんてね。心の傷は誰にも理解されないかもしれないが、ひとり頑張っていると理解者が出て来る可能性もあるよね。人は寄り添って生きないと。草彅剛はそれなりに役作りしてたけど、服部樹咲はなかなか存在感あったね。最初の気味悪さを通り過ぎて、それぞれの人生に望む姿に期待したいものだ。悲しい話だったね。
いろいろ考えさせられたが
見たいなと思いつつ忘れていたんですがやっと見ました。
最後まで飽きることなく見れたことは高評価。草薙さんも目線が美しかった。改めて草薙さんっていい役者だなーと感嘆したんですが、前評判で期待しすぎた分、思ったより男に見えてしまったのが残念。そこが引っかかって物語に入れ込めない部分があった。
脚本や演出も今見ると古い感じがしてしまう。リアルタイムで見てたらまた感想が違ったんでしょうけど。
自分にはトランスジェンダーやLGBTのことより貧困とその連鎖、家庭環境や教育がいかに大事かの問題の方が心にグッとささった。LGBTは絡めずにそんな親子をテーマにした作品を草薙さん主演で見たくなった。
愛に満ち溢れている!涙が止まらない!
トランスジェンダーの女性と育児放棄にあった少女の愛の物語。
孤独な心が共鳴し、いつしか凪沙は、母親としての心が生まれていく。バレエのコンクールで、髪をとかす姿はまさに母親。バレエの講師から「お母さん」と呼ばれ、嬉しくて破顔する姿…渚のバレエの才能の芽を摘まないように、懸命にバレエの費用を工面する姿…夜中二人で踊る姿…愛に満ち溢れている!
最後の服部樹崎の踊る白鳥の舞は自身に満ち溢れ力強く、とても美しかった。
残酷な世界で最も美しい物語
これほど素晴らしい作品だったとは。公開時スクリーンで見なかった事を心の底から後悔した。
草彅剛演じるトランスジェンダーの凪沙がとにかく魅力的。美しく気高く見えて、実は優しく本当は脆く儚い。そんな多面的な女性が少女・一果に自分の夢を重ねて託し、母になろうとする様の美しさ。音楽の素晴らしさも相まって魅了された。
最悪の出会いから始まった一果と凪沙の出会いが、こんなにも美しいドラマに繋がっていくとは。
2時間という短い尺の中に織り込まれた様々な人間模様。残酷な現実と温かな希望。そのどちらも描かれていた。誰が悪いでも良いでもなくゆっくり時間が過ぎていく感覚が心地良く、それでいてフェアに感じられた。
何度も繰り返し見てドラマに浸っていたいと思えた名作だ。
白鳥さん
2023年5月23日
映画 #ミッドナイトスワン (2020年)鑑賞
#草彅剛 さんの演技に話題が集まった映画ですけど、一果役の #服部樹咲 の踊りと演技もこの映画のすばらしさの要因
ストーリーは、気をてらった内容は一切なく、1人のトランスジェンダーがもがきながらも懸命に生きる姿を丁寧に描いています
久しぶりにがっかりな映画
日本アカデミー賞を取ったとのこと。
期待して観たけど、
観ていて始終怒りさえ感じた。
なぜこんなに評価が高いのか?
人物の描き方が、本当に雑で説得力がない。
ストーリーも中途半端。
脚本が本当に最悪だと思う。
評価する人がいてもいいけど、アカデミー賞に選ぶのはどうなの?
草薙さんの演技素晴らしい
なんとなく観たら、世界観というか、草薙さんの顔面はともかく、女性にしかみえないたたずまいと、葛藤や苦しみの演技と、映画の暗い雰囲気が凄く魅入ってしまうお話だった。イチカ役の女の子も、新人には思えない演技。好きなジャンルではないけど、これは素晴らしいと思った。
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