ミッドナイトスワンのレビュー・感想・評価
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マイノリティには生きずらい現実
2020年。監督・脚本は内田英治。
第44回アカデミー賞の最優秀作品賞。草なぎ剛は最優秀主演男優賞を受賞。
トランスジェンダーの凪沙。
バレリーナに憧れる少女・一果(いちか)。
2人の境遇が交差する時・・・
生きる希望と、生き甲斐と、愛と悲しみと、人生の全てが詰まった至高の愛の物語。
観終わって嗚咽が止まらない・・・2人の人生を共に生きた・・・そんな時間でした。
新宿のニューハーフクラブのステージで踊る、トランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)
年齢も年増になって、裏寂しさが表情にも浮かぶ。
ある日、遠い親戚の少女・一果(服部樹咲)を養育費目当てで預かることになります。
一果は育児放棄により母親(水川あさみ)から酷い虐待を受けて、心を閉ざす傷ついた少女でした。
いやいや預かった凪沙でしたが、トランスジェンダーとして狭い世界で孤独に生きてきた凪沙と、愛も礼儀も知らない一果の間に擬似親子のような感情が生まれていきます。
反抗的で突っ張ってて、しつけのなってない一果を、次第にイジらしい護ってあげなければ・・・そう思う凪沙でした。
この映画のもう一つの見どころは、一果のクラシックバレーのダンスシーン。
一果は近所にあるバレースタジオを覗いたとき、踊りたい衝動に突き動かされます。
一果は、片平先生(真飛聖)の教室の生徒となり次第に才能を開花させて行きます。
この映画、一果のバレーシーンが、素晴らしいんです。
一つ一つのポジション取りが完璧で、一果の踊る姿を見るだけで、芸術の持つチカラって凄いなぁ、と心から感動します。
一果のバレーコンテスト出場を応援する凪沙でしたが、経済的にも精神的にも
次第に追い詰められて行くのでした。
本物の「母親になりたい!!本物の女性として認められたい!!」
凪沙はある重い決断をします。
ここからは、もう辛いし悲しいしで胸が引き裂かれる想いでした。
そして怒涛の衝撃のラストへと雪崩れ込んで行きます。
一果役の服部樹咲は15歳になったばかり。
幼い頃からクラシックバレーを習い、数々の賞に輝くバレリーナの卵です。
尖って突っ張った表情と、果実のようなみずみずしさ。
一果を演じるために生まれてきたような少女です。
凪沙役の草なぎ剛は、もう最高のトランスジェンダーの誇り高き女性でした。
草なぎも彼以外に凪沙を演じる役者はいないと思いました。
2人とも、この映画で過ごした瞬間は
「一生に一度の巡り合い」・・「一期一会」
私にとっても、忘れられない宝物になりました。
過去鑑賞
草彅剛がトランスジェンダーを演じ話題になった作品。 主人公だけでは...
今まで見た邦画の中で、一番許せない映画
ちなみに私は、草彅くんの演技が好きです。ただ、トランスジェンダーの女性を演じる上では、少し演技過剰・逆に不足を感じました。髪を切った直後の表情ははっとさせられましたが。
主人公の女の子も、個別撮影で椅子を投げつけた後の叫ぶ演技(これはやらされただけで、彼女のせいではないと思います)以外は、概ねすてきな演技だったと思いました。
とにかくこの映画は、人物の掘り下げがなさすぎる。起承転結だけで話を回していくので、感情のつながりが一切ない。その浅さを、グロさや刺激的なシーンで誤魔化そうとしているのが透けて見えました。
なぎさといちかが心を通わせる、ハニージンジャーステーキ?のシーンは、おそらく母性の芽生えを表現したかったのでしょうが、それまでの過程が浅すぎて、え?なんでいきなり母性?となりました。
親友の子の死、レズビアンを示唆するシーン、諸々が蛇足に感じられたのは、あれだけ重要っぽかった子が自殺したのにそれに対するアンサーがなかったからだと思います。無駄死……。
何より何より許さないのは、トランスジェンダーへの偏見の強さ。
いつの時代?と言いたくなるような言葉遣い、容姿。苦しみを描こうとしてるのはわかりますが、その苦しみが一方的で、日常を描かないので完全に御涙頂戴の道具になってます。
なぎさが、胸をハダけて母親に叱責?されるシーンでは、嫌悪感が込み上げてきて、これ以上見られないと思いました。
あまりにもひどいです。本当の苦しみは、体を曝け出さなくても描けたと思います。
衝撃的な絵面をいれておけば苦しさわかるやろ、というのは、あまりにも、性的マイノリティの人及び観客を侮辱してると思います。
とにかく演出も脚本も、何から何まで最悪でした。
終始、どゆこと?と独り言を言っていました。
私は、自分自身をすごく映画が好き!と胸を張るほどのものではないと思っていますが、それでも、この映画は映画を侮辱しているなと思いました。
これが日本アカデミー賞ということは、日本映画界は業界全体で邦画を壊しにかかってるなと思いました。
命の淵にいる人むきの映画。
監督はエンタメとして、誇張した表現を多用下意図を公表しているが、全ては本質であり、真実だった、涙無くして見られない映画です。ワーキングプアの私達は、保険が受けられない、介護保険が受けられない、休めば給料が減る、紙オムツは、介助してもらわないと、本当に現場は悲惨です。ばい菌も入り化膿します。毎回洗浄も大変なんです。これは現実の話です。助けてほしい、現実の私達の映画です。そして、魂の救いのエンディングこそ、本当の幸せだと再認識する映画でした。
闇
私は創り手ではなく一視聴者なので、死ぬ必要があって死なせたというよりは、人はそういう運命を辿ることもあるでしょうと思って違和感なく受け止められた。
全体的なストーリーはLGBTがどうというよりは、単純に孤独な2人が互いの絆で明るい希望を持ち始め、それでもやっぱり一度暗いところにいた人っていろんな闇から綺麗さっぱり離れることが難しいっていう社会風刺的なメッセージを感じた作品で、ハッピーエンドでちゃんちゃんと終わるよりよかったなと思う。
途中のシーンにもあったけど、LGBTという言葉が共通語になり、言葉だけが身近でまだその実は全然身近になんてなっていないし、そういった方々の生きづらさの解決はまだまだこれから。でも人の生きづらさって社会レベルでなくても抱えている人はたくさんいて、毒親に育てられる子供もまたその1人。一つ一つの言葉や表現が心に闇を落としていくのを感じられた。
劇中の踊りは美しければ美しいほど、儚く悲しいもの連想してしまう。一度目はお母さんを思い浮かべていたけれど、二度目は凪さんだった、というところはある意味ハッピーエンドだったのかな。
あと一果ちゃんかわいかったな。
うーん……
2人の少女の屋上シーン
壮絶に愛と夢を貫く人間ドラマ
凄いという言葉では物足りない。とんでもない衝撃作である。傑作である。不遇な環境のなかで、極めてリアルな人生を生きながら絆を深めていく母娘の物語と、彼女達のバレエへの夢追い物語が見事にシンクロした悲哀溢れる人間ドラマである。
主人公を始めとして登場人物達の人生を容赦なく赤裸々に表現している。人生の壮絶さが心に突き刺さってくる。それでもなお、それでもなお、愛と夢を貫く物語に圧倒される。涙が溢れて止まらない。
本作の主人公は、新宿のニューハーフクラブで働く、トランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)。彼は、育児放棄された親戚の少女・一果(服部樹咲)を預かることになる。最初は反目していた二人だったが、次第に心が通うようになり、凪沙は一果への母性が芽生えてくる。そして、凪沙は、バレリーナになるという一果の夢を支えていくが・・・。
主人公を演じる草なぎ剛と少女役の服部樹咲が本作のキーパーソンである。様々な想いを内に秘めながら弱みを見せず気丈に生きようとする凪沙を草なぎ剛が完璧に演じている。凪沙になり切っている。一果との絆が深まるプロセスを、時に粗野に、時に母性を感じさせる演技で、巧みに演じている。今まで色々な役柄を演じてきた草なぎ剛だが、凪沙役は彼の最適役である。本作は彼の代表作になるだろう。
少女役を演じる服部樹咲は、親に見放され自暴自棄になった時の近寄りがたい雰囲気、凪沙との不器用な交流、バレエに打ち込む時の懸命さ、バレエを踊る時の艶やかさ等、不遇で多感な夢を追いかける少女という難役を見事に熟している。特に、有り触れた場所で地味な普段着でバレエを踊るシーンは、それまでの彼女の想いが体現され美しく切ない。熱いものが込み上げてくる。
ラストは希望を未来に託して終わる。壮絶な愛と夢の物語は希望で結実する。観終わって充足感で心が満たされる。
本作は、愛すること、夢を追いかけることの意味と壮絶さを我々に強烈に提示している。
演技はいいが脚本が残念
草彅剛の演技はとてもよかったです。ニューハーフを演じるのに話し方は(きのう何食べたの内野聖陽のように)無理に作った感じもないし、佇まいや所作もとても自然で役になりきってたように思います。
そこが本当に素晴らしかったので手放しに賞賛してしまいがちですが、冷静にふりかえると映画の出来としてはエンタメ映画の域を出ないレベルだなと。
まず全編を通しLGBTである事に皆とても苦しんでるような表現をしていてなんだかなーって思いました。
例えば周囲もLGBTへ気遣いはあるんだけど、どこかで誰かの何気ない発言や行動で人知れず少し心を痛めるといった表現であれば「あ、ほんとは孤独なんだな」と伝わるのですが、そういう悪気の無い不理解ではなくわざとらしい悪意が多くて、露骨にセンセーショナルによせすぎていました。
イチカの前で泣き崩れ「私気持ちわるい?」「なんで私だけ…私だけ」と言って大泣きするシーンも説明すぎというか無理やりねじ込んだ感が強かったです。その世界で生きてる人ってこういつまでも割り切れずに発作的に感情が高ぶるものなのでしょうか?
どこかノンケの人間が共通して抱きそうなテンプレ的なLGBT像をなぞっている気がしてリアリティに欠けてる印象です。気づきがないんですよね。あ、実はそう感じていたんだ。って言う。
化け物だとか気持ち悪いなんて100万回言われたろうし、その感情に折り合いをつけて自分をさらけ出して長年生きて来たんだろうから、もっとその先の感情を見せて欲しかった気がします。
そういう意味で脚本が浅い気がしました。
あと、ケガをしてバレエが出来なくなったリンが他人の披露宴の最中に踊り狂ったあげくに飛び降りてしまいましたが、障害を負った人達があまりに人生に絶望し悲壮感を持ちすぎた表現をし過ぎている気がします。
まだ人生始まったばかりの中学生がケガをして、バレエが出来なくなったから死ななければいけないって程彼女はバレエに盲目に生きていたのでしょうか?あの歳で地下アイドルまがいの事をして男を金づるにする事もいとわなかったし、イチカとキスをするほど性に対しては奔放で、他人に嫉妬して成功を妨害しようするほど自分がかわいいのに、あんなに綺麗な死に方をするでしょうか?もっと柔軟性をもって泥臭く生きていけそうな子だと思いましたが。
終盤からエンディングにかけての凪沙に対する身内の不理解さや身体の悪化もそうだし、イチカの成功を際立たせるために他の事象を悲運に描きすぎてわざとらしさやあざとさを感じました。
脚本の稚拙さを特に感じたのは母親3名(イチカの実母、リンの母、ナギサの母)で、露骨な不理解さや失礼な態度がほんと漫画的というか、この作品の薄っぺらさを象徴する存在であったと思います。
原作をそのまま映像化した素晴らしい作品
苦手なバージョンの草彅くんでした
貧困×ネグレクト×LGBTのトリプルパンチ
9本目。主人公はネグレクトを受ける女の子のいちか、いちかの親戚で自分を女性と認識しているが身体が男性であるなぎさの2人。いちかは救いようのない生活を送ってきて精神的にもすさんでいたが、なぎさとバレエとの出会いをきっかけに彼女の生活に一筋の光が差し込む。だがしかし、バレエを続けるための障壁が多すぎて2人は苦難の連続を強いられる。特になぎさの就職面接、性的サービスを行う職に付いた時の性的被害、いちかの実家でのやり取りのシーンは見るに耐え難い。犯罪に手を染めそうなくらい危険な少女がバレエとなぎさとの出会いを通じて成長し、最終的には海外で活躍することができたのでハッピーエンド好きの私としては安心した。見るのがキツいシーンは多かったが、未だ解決できずにいる社会問題に改めて一石を投じる作品だった。
追記
バレエをテーマにした作品なのでクラシック音楽が使用されていてとても良い。しかし、途中にバレエ友達とするキスシーンや深夜2人でバレエを踊った後に絡んでくるおじさんのシーンなど、原作小説では自然に描かれるのかもしれないが違和感のあるシーンは少し目立った。やはり脚本家と原作者の折り合いを付けるのは難しいのだろうか。
草彅くん演じてくれてありがとう
脚本がイマイチ
演技はとても良かった。
残念ながら脚本がイマイチ。
前半はまだマシだったけど後半は酷い。
綿密に練って作り上げたストーリーというよりあれも入れたいこれも入れたいと箇条書きにしたものを無理矢理一つにつなげた様な安っぽい脚本だった。
2人の時間をもっと時間を掛けて丁寧に撮って徐々に一果と凪沙が心を開いていく様子を見たかった。
前半は2人の生活にたっぷり使って後半は母親が迎えに来る、でも一果は凪沙と一緒にいたい、凪沙も一緒にいたいけど母親の元に帰る様に諭す、卒業後凪沙の元に戻るっていうシンプルな話で良かったのでは。
異常なやさぐれ方をする一果の友人やあんなに友人想いで優しく強く生きてきた凪沙が一気に落ちぶれてしまう姿は登場人物を深く掘り下げてないから違和感しかなかった。
設定とキャスティングは良かっただけにただただ残念。
あとLGBTを強く意識し過ぎたのかどうかは分からないけど監督自身がLGBTを強い色眼鏡で見てる感じがして気持ち良いものでは無かったです。
生を性を姓を全うするということ
流行りのトランスジェンダーとか多様性とかカラフルな自分って何?そんなの世界規模で指標にされてすることなの?それに疑問も持たず、ただ従うだけ?
授かった生を性を姓を大切にする。当たり前なことが当たり前でなくなっている昨今。
終始主人公が悲しかった。
ありのままの自分を表現することが許されず来たような健二。
ありのままでいいんよ、ありのままの性でありのままの姿で。
ありのままが歪め、縮こまされて、切り刻まれて行く悲しさを終始見せさせられた。
愚かとしか良いようのない性転換も自らを否定する悲しさを感じた。
私の知り合いに先天的に男性器を持っていながら、後天的に女性器も発達した世界的にも希な人がいる。
彼はどうも表面上(服装や格好)は女性を選んでお水の世界にも入った。
今は足を洗ったらしいが相変わらず女装。どちらの性も持っているのだけれど。
男性の彼が好きだったなぁ。女装しだしてから彼は閉鎖的になって遠ざかってしまった。
自分の身体を大切にして欲しい。ありのままの自分を愛してあげて欲しい。
結局はそこに行きつく。
それは私自身にも言えること。昔は女性であることを否定して男になりたかったなぁ。それって、自己否定。
ありのままの自分を愛するんよ。愛でるんよ。
それを自分にしてあげることが人には出来るんよ。
服部樹咲の顔面力
美少女だが何だろう?迫力がある。
一昔前の蒼井優とかに通じる雰囲気だ。
こっから化けたら凄い子になるかもしれない。
ストーリー上、LGBTの世界が当たり前のように拡がるのだが主演草なぎ剛の演じようがちょいとお母さんになってる。
恐ろしい演技力だ。
トランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛)と姪っ子一果のコンビの不器用さに不安を感じるけど、二人に幸せになってほしいと願いながら観てしまう。
バレエが物語を彩るため、バレエのシーンが多いが素人目にも服部樹咲の舞に見入らされる。
友人役上野鈴華との友情を越えた関係を見せられても、違和感に感じないほど役に入り込んでいるようだった。
親に恵まれなかった一果と金持ちの両親に何もかも決められていくリンの友情は切ない。
母親に代わる繋がりを見せた凪沙(けんじ)とDQNな母親を見比べると何でこっち選ぶんだ?と…感じる程の母性を見せた草なぎ剛に驚きを禁じ得ない。
実の母親のあばずれっぷりが目を背けるレベルで対比すると「さすがにこの母親はない」と思うが 凪沙(草なぎ剛)だって理解者なしでは好奇の目を避けられないから仕方ないのか…
ラスト間際のオムツ交換シーンはツラい。
身体の手術はあんな結果もあるのがトランスジェンダーの厳しさをいっそう感じる。
ラストは美しく終わり心にのこるが、何かモヤモヤする。
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