無垢なる証人のレビュー・感想・評価
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弁護士は10年後に消える職業??
元人権弁護士だったヤン・スノは、父親が作った借金返済のために大手弁護士事務所に移籍する。所長に認められたヤン・スノは、80歳の老人キム・ウンテクが家政婦オ・ミランによって殺された事件の弁護を担当することになったが、彼女はウンテクがビニール袋で自殺を図ろうとしていたのを救護しようとしたと無罪を主張した。有罪の唯一の決め手は、15歳の自閉症の少女イム・ジウの目撃証言だけだったのだが・・・
時折、福山雅治に見えてしまうチョン・ウソン。46歳独身弁護士、父親はパーキンソン病を患っていて、本人は全く結婚する気がないが、同じく人権弁護士でシングルマザーのキム・スインとは気が合っていた。新しい弁護事務所はキム・スインが訴訟を起こした発がん性物質を含んだナプキンの会社と闘っているという、ややこしい関係になってしまった。
殺人事件の公判は新人検事イ・ヒジュン。彼の弟がジウと同じく自閉症患者だということもあり、ジウからの目撃証言を巧みに得ていたのだが、15歳ということもあり、証言台に立たなくても証拠となるとされていた。ジウを証言台に立たせれば弁護側が有利になるので、スノは何とかジウの心を開かせようと努力を重ねるという展開だ。
いい人?グサッとくるようなジウの言葉。世間の垢にまみれろと所長に言われ、金満タイプのシステムにうんざりしつつも、被害者の息子の会計事務所と顧問契約を結んでしまう。ここで「おやっ?」となるのですが、終わってみれば納得のひとこと。オ・ミランに騙されそうになってしまった・・・まだまだ表情を読み取れない自分を恥じてしまう。
とにかく自閉症役のキム・ヒャンギの演技力が素晴らしい。パズルやクイズが好きで、青いグミも大好き。他人の表情から喜怒哀楽を読み解く能力は低いものの、小さな音でも聴こえる能力、計算能力、記憶力が尋常じゃない。一審では無罪となり、信じていたスノにも「障がい者」だと言われショックを受ける。が、ここからの展開は面白かった。
日本と韓国はどのくらい裁判の差があるのかわからないけど、控訴審の裁判はちょっと違うような気がした。しかも、立場逆転という予想外の展開!こりゃ解雇は間違いないな!などと思ったけど、ようやくジウとオモニが理解してくれて、ちょっと泣けた。ジウも自立に向けて頑張ってるなぁ・・・うるうる。ただ、今後も毎日5時に電話がかかるかと思うと大変だ。
最後のシーンは初雪が降っていた。ジウは窓を開け手のひらに落ちる雪の感触を確かめる。序盤、授業中に「雪は冷たい」と主張していたジウだったけど、雪の温かさを感じ取ったに違いない。いい伏線でした。
【”自閉症スペクトラムの人と信頼関係を持つには、その世界に入る事・・” ある事件を目撃した自閉症の少女と”世間の垢”に塗れそうになっていた弁護士との交流が暴き出した真実。】
ーある晩、自閉症障害を持つイム・ジウ(キム・ヒャンギ)は向かいの家のある光景を”目撃”してしまう。金持ちのキム・ウンソクがビニール袋を頭に被せられ、窒息死してしまった事件だった。家政婦のオ・ミランは”ご主人様を助けようとした・・”と証言するが、被告となる。
元人権団体を支援していた弁護士スノ(チョン・ウソン)は父が多数の人の保証人になって多額の借金を抱えていたため、今は”世間の垢に塗れた”弁護士事務所に所属し、オ・ミランを弁護することになる・・。ー
■今作の魅力
・弁護士スノが、検察側証人イム・ジウと交流を深めていく過程で、彼女の哀しさとそれでも前向きに人を信じて生きる姿に触発され、一度は”世間の垢”に塗れそうになっていた自分の立つべき場所を思い出す過程。
及び、第3回公判でのスノの見事な<まさかの>弁論である。
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・スノがイム・ジウから証言を得ようとアプローチを図るが、序盤は上手く行かない。検察官のイ検事は弟が自閉症であるからか、イム・ジウとその母から信頼を得ている。
・イ検事から”自閉症スペクトラムの人と信頼関係を持つには、その世界に入る事”とアドバイスを受けたスノはイム・ジウと徐々に距離を縮めて行く。
-その過程で、自閉症スペクトラムの人が抱える困難、特性を学んでいくスノ。イム・ジウの親友だと思っていた少女が実は、彼女を苛めていたり、自閉症の一部の人の聴力が人並外れている事を知ったり・・。
そして、イム・ジウが”高機能自閉症スペクトラム”であることが徐々に明らかにされる。ー
・第2回公判にイム・ジウは出席するが、スノは彼女を”精神病患者”と言ってしまう・・。
第一審判決は、イム・ジウの証言に疑問符が打たれ、オ・ミランは無実となる。その際、オ・ミランの表情と彼女が振り返ってみた”ある男”の表情。
■イム・ジウが母親の反対を押し切って、第3回公判に出るシーン。”お母さん、私は証人になりたい・・。みんなに真実を教えてあげたい・・”
-公判に出れば、再び傷つく可能性があるのに・・。-
父からの愛が溢れる手紙で、本来の自分を取り戻したスノは、自閉症スペクトラムの人の証言の有効性を様々な事例で裁判長に訴える。
ースノが父の血を引いている事が良く分かるシーン:心に響く・・。ー
驚く”世間の垢に塗れた”弁護士事務所の所長。
そして、イム・ジウの驚異的な聴力が
”事件当日のキム・ウンソクと家政婦のオ・ミランとのやり取りを法廷で再現する・・”
<途中から成り行きは読めてしまったのだが、法廷劇の面白さ、スノが検察側の証人の自閉症の少女から触発され、且つての自らの理念を思い出していく過程など、面白く鑑賞した作品。
チョン・ウソンは格好良くて”良い人です・・”>
■蛇足
「神と共に 第一章、第二章」を面白く鑑賞し、尚且つチョン・ウソンが主役である、今作品の存在自体を知らなかった・・。
私の居住区では公開されなかったのであろうか・・。韓国映画のハイレベルさには今更ながら恐れ入る。
劇場で鑑賞していたら、もっと高評価になったであろう作品である。
良作なのに上映館が少なすぎ!!
韓国人俳優には疎いので
あまり知らなかった主演のチョン・ウソンが
だんだん福山雅治に見えてきちゃって(笑)
また話が、福山でリメイクしたらハマりそうな話。
事件の真相に迫るサスペンスと
自閉症、障がいのある人と社会の関わり方や
本当の正義ってなんだろう?と言った問いかけ等
とっても深い内容が盛り込まれた
良質な映画です。
人の心を信じたい、文句なく良いものが観たい!
でも重いのは苦手!というそんな方には絶対おすすめです。
自閉症といっても女子高生らしいゆるい日々という
可愛らしい描写もたくさんありますよ〜
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
この映画も、同じ日に観た
「エクストリーム・ジョブ」も
今、大ヒット中の「パラサイト」も
昨今の韓国映画は脚本が本当に上手い!!
エンタメとして面白く観せながら、大事なこと、
人としての正義のあり方や
世間のシステムへの警鐘などが
うまく盛り込まれて
観ていて、
今の世の中の問題がストレートに
心に迫って来る。
日本に来る韓国映画にほぼハズレ無し!!
注目俳優としては
自閉症の少女を演じているキム・ヒャンギ!
「神と共に」の二部作で前編では明るくコミカルに、
後編ではとても健気な少女を見事に演じてました。
この子の名前だけでも覚えて帰ってください!
「パラサイト」が米のアカデミー賞を総ナメしたので
(2020年2月14日に書いてます。)
今後韓国映画への国際的な注目が格段に上がるでしょう。
この子、今に出てきそうな気がします。
に、してもこんな良作の上映が
大阪と東京と全国でたった2館だけって!
ちょっとありえないんですけど!!!!
@お勧めの鑑賞方法は?
映画館で!と言いたいけど
上映館が少なすぎて本当に気の毒!
ネットでもレンタルでも良いから是非観てくださいね
予想外の面白さ
飛行機内でたまには韓国映画もいいかと軽い気持ちでみてみたら意外と面白かったです。もともと話についていけなくなったら映画を変えようと思っていたのですが、ぜんぜん最後までみることができました。
高機能自閉症のJCが証人
韓国動員230万人突破しているのに日本での扱いは小さいのね。
〜心が近づいたとき、真実が見えてくる〜
彼らの問題というより、我々の理解が足りない方が問題だと気付かされる。
やはりチョン・ウソンはいい人が似合う。金の為、家族の為に理想を捨て現実を見始めるのが46歳になってから、という設定がまたいい人っぽくてイイ。あんな男前が垢をつけずに50年近くも生きてこれるものなのか、てのはまあおいといて。
光の演出が優しさを増幅させてる。
キムヒャンギが難しい役どころを好演。
オードリーの若林みたいな新米検事も良かった。
ロッテエンターテイメントて初めてみた。
第5回ロッテシナリオ公募展で大賞を獲得した脚本らしい。
良心を持ち続けて生きることの難しさ。
あなたはいい人ですか?と聞かれて即答出来ないシーンに共感。
カップラーメンにグミ
青いグミは信用出来る
特別支援学校では健常者のフリをしないでいいので楽、という台詞は考えさせられる。
自閉症スペクトラム
言葉の遅れ、対人関係の障害、独特のこだわり・感覚過敏
アスペルガー症候群
言葉の遅れがない、むしろ言語能力が高いためにIQが高いこともある、対人関係の障害、独特のこだわり・感覚過敏
ジウはこっちの方か。
顔の表情を見る部位や、人の気持ちを理解する部位、さらに自分の感情をコントロールする部位などで、機能の低下がみられるのが自閉症スペクトラム
ギフテッド、サヴァン症候群と云われる常人を超えた能力を持っている人も
公開を楽しみにしていた 「無垢なる証人」を先々週の土曜日に鑑賞...
公開を楽しみにしていた
「無垢なる証人」を先々週の土曜日に鑑賞
殺人容疑者の弁護士スノと
事件の目撃者である自閉症の少女ジウ。
2人の相反する立場から生まれる
心のふれあいを描く
笑いあり、涙ありの129分間で、
観た後は心温まりそして心が晴れやかになるとても素敵な作品でした。
少女ジウ役のキムヒャンギちゃん。
ヒョンギンちゃんがとにかく素晴らしくて繊細な部分と心清らかな部分と
法廷でみせる迫真の演技に最後の最後まで彼女に魅力されちゃいました。
ヒョンギンちゃん
「神と共に」に出演してるんですね~
映画館で見逃しちゃったので
レンタルしなくちゃ
弁護士スノ役はチョンウソン
ウソンさん、上手いなぁ。
弁護士、そして人として悩む姿と、
ヒョンギンちゃんとの絡みでみせる
お茶目さの落差が可笑しくて
「アシュラ」とか「ザ・キング」の役とは真逆なウソンさんをみるのも楽しいかも
この二人が心を通わせる過程の
描き方が良かったなぁ。
二人のやりとりが微笑ましくて
電話のやりとりは本当にほっこり。
自閉症の人に世界がどのように映っているのかというところも写し出していて
ここが後半のある部分で活きてくる。
言葉のイントネーション、表情。
日常生活であまり意識することなく
行われていることを、全く違う視点で描いているのもこの作品の深みかもしれないなぁ
この過程からの法廷劇も良かった。
法廷劇の醍醐味だと思う
相手の証言に対する切り返しや
証言の証明に繋がる部分の積み上げ。
ここに信念と正義の感情の部分が加わり、あの行動が通用するかどうかは別にして、とても見応えあった。
恋人、検事、母親、父、それぞれの関係性やところどころにちりばめられている
言葉や物。
それらをひとつひとつ積み上げていて
積み上げただけでは無くて
きちんと落とし込みもされてるところは
脚本のよさなんだと思う
そして少女ジウが教室で読んだ詩に
登場する雪のかけぶとん。
その時ジウは雪のかけぶとんは寒いよと
言っていた。
ジウ自身もあらたな自分を見つけ
空から降る雪を見て
雪のかけぶとんは暖かいと感じているんだろうな。
本当に素敵な作品でした。
垢にまみれる
本作は、元人権派の弁護士スノがお金のために自分の正義を捨て、お金持ち相手の弁護士事務所に所属し垢にまみれていきます。
しかし、担当した事件の目撃者である自閉症のジウと知り合い、まさに「垢にまみれる」とは対照的な無垢なジウに「おじさんはいい人ですか?」と問われ正義側に立つことを決意します。
そして裁判では、良心に立ち返りジウの証言により弁護する側である容疑者の犯罪を暴くというストーリー。
個人的には、途中まで面白く観てましたが、ラストの弁護士が弁護人を擁護しないというのが、荒唐無稽に思えて最終的に乗れませんでした。
また、ジウの友達のシネが傘を置いていくシーンのあとに出てこないのが可哀想だと思いました。ジウを傷つけるという点で主人公と同じであるはずなのに、最後に仲直りするシーンとかないと救われないなーと思いました。
でも、自閉症を演じたキム・ヒャンギの演技は素晴らしいし、ストーリーも世の中(権力者)の不正に対し正義を貫けるかという『トガニ』にも通じる韓国映画っぽいテーマで楽しめました。
短絡的
ネットの評価が高かったので観てきました。
いい映画だと思うのですが、自閉症に関する何の知識も無い人があんな短期間で自閉症の方と接して絆が生まれるとは思えませんでした。
この手のストーリーの映画は大体そうですけどね。
この少女の演技が凄い!
自分の中にある正義を求める気持ちと現実の狭間で、少しずつ自分が変わっていく事への抵抗と葛藤!それに気付いた時に、自分に素直になりたいと思う欲求は、誰にでも経験した事のある想いでしょう。この少女によって、自分を見つめ直した事で、すべてが変わるストーリーは、清々しい気持ちになりました。
そして俳優それぞれの演技が、実にハマっていて脚本、演出もまったく自然で、見ていて素直に引き込まれる…最後にどうやって纏めるのかも興味があったが、上手く話を繋げていたのは、SFXの力よりも脚本、演出力が凄いと思う!
キム ヒャンギ✨
「神と共に」に続き、とても存在感のある女の子
20歳には見えないまだ幼い顔立ちで
無垢という言葉が良く似合う
今回の役は
自閉症だけど、放つ言葉は知識の塊で
その言葉を使って弁護する仕事がしたい、って
かなりしっかりした若者ですよね
自分の置かれてる立場を理解して
証人になりたい、とか健常者のフリしてた、とか
無垢で健気だけど頑固なジウが最後には
自分から弁護士スノに抱きつく所、泣けるわ
韓国映画のいい所
友情や家族愛が所々でアクセントになってて
今回はスノのお父さんにヤられた(*´nn`*)
親と同居して面倒見てて、更に親の借金返してるってだけでもスノは【いい人】でしょ
弁護士辞めて何になるのか、
ジウが将来どんな大人になるのか
いろいろと妄想が膨らみました( ˘͈ ᵕ ˘͈ )
キム・ヒャンギの演技にやられた
殺人の疑いをかけられた家政婦の弁護を請け負った主人公が、裁判の証人となった自閉症の少女と交流していく物語。
序盤に若干の違和感を覚える。少女が検察側の証人だからだ。弁護の依頼人を犯人だと証明するための証人ということになる。彼女と交流し理解していくと弁護に不利になるのでは?と思っていたが、なるほどうまい展開だった。そこに主人公の価値観や立ち位置、父親や思いを寄せている女性との関係も絡んでいく。
ふーーん、なかなか面白いじゃないのと油断していたら最後の方で涙腺を一斉攻撃されてしまった。やられた!
ミステリーとしての驚きは大きくないし、法定に立った少女を尋問するのは主人公ではなく上司だったり(嫌な役割を主人公にはさせない)、たしかに甘さはある。でも十分いい映画だった。とにかく証人になる少女を演じたキム・ヒャンギがいい。
みんな人と違う
殺人事件の唯一の目撃者が、アスペルガー症候群の女子高校生ジウ。
弁護士のスノは彼女の証言が証拠となりえるのか調べるために近づくが…。
アスペルガー症候群の特徴は人によって違い、彼女の世界に入るまで苦労するけど、良い人になりたい、人を助けたいというジウの人となりを知り、自分は『良い人』であるのかを考え悩みながらも進むスノ。父親の介護、借金、独身で結婚できない(あんなにカッコいいのに!)と八方塞がりの中にお父さんからの手紙!
あらすじだけを読むとお涙頂戴物みたいに聞こえるけど、奇をてらわず、ジウとスノ、その二人を取り巻く人々が丁寧に描かれていて、観ていてとても心地良い。
日本もこんな素敵な映画が作れたらいいのに。
イ検事が星野源に似ていると思ったらそうとしか見えなくなった(笑)
キム・ヒャンギが素晴らしい
丁寧に描かれたヒューマンな物語。
予告編で受ける印象と異なり、弁護士がジウの反対陣営なのでいったいどう展開するのだろうと思ったが、なるほどなるほど、着地も納得。
演技巧者ばかりだが、なかでもジウ役のキム・ヒャンギの演技がなんといっても素晴らしい。自閉症を見事に演じていると思わせられた。
「神と共に」の時はいまいちピンとこなかったンだけどね。
良い人であるということ
検察側の証人で発達障害の主人公ジウと、被告弁護人スノの交流や事件の経緯、裁判の進展を見つめながら、良い人間であるという普遍的なテーマを扱った作品だ。
これまで、発達障害がテーマに組み込まれた作品では、
発達障害であってもなんら僕達と変わりない人であること、
発達障害の人にも様々な才能があることが、
物語の中心になっていたように思う。
同じ韓国映画の、「それだけが、僕の世界」では、ピアノの才能に溢れたサバン症候群のジンテと兄ジョハを中心にした家族の物語りだった。
そして、この映画は、
ジウの抜きんでた才能や、少女であるあどけなさ、優しい家族を見せつつ、ジウの正しく…、つまり、良い人であろうと貫かれる姿勢と、それに突き動かされるように、対立する立場にありながら、自身も正義とは何かを考え、今の地位を投げ打ってでも、真犯人を見つけようとするスノの心の動きに、胸が熱くなる。
既存のものの見方から逃れることが出来なかった対比から、良い人であるとは何なのかという問いが、2人を磁石のように結びつけていく。
日本映画、もっと頑張れ!と言いたくなる。
見て良かった。最高に感動しました。
見てきました。いろんな意味で傑作です。韓国映画はこういう凄いのがたまにあるからやめられない。推理劇、親子、恋人、社会の人間ドラマ、全てに満点です。
日本映画でこういう作品が観たかったけど、俳優達の実力的に厳しいそう。
主役の二人だけでなく全てが適役。
しばらくはこの作品を皆に勧めようと思える作品でした^_^
弁護士にはなれなくても
15歳のアスペルガー症候群の少女の目撃情報のみで立件された殺人事件で、自殺か殺人かを争点に、証言の信憑性を問う為に、少女を証言台に立たせ様とする弁護士と少女の話。
被告人と被害者が揉み合い争う姿は、殺そうと襲っていたのか、自殺を止めようとしていたのかという流れから、弁護人が証言を崩す為に少女を法廷に引っ張り出そうと画策していくストーリー。
被告人の無実を証明する為に、目撃者と打ち解けて裁判での証言に導こうとする行動は、弁護士としては紛うことなく正しい行動だけど、いざ、裁判となると人としては嫌悪感を感じる様になっていく。
まあね…上手く行き過ぎではあるし意外性もないしあざといんだけどね…
やっぱり根は良い人な弁護士と、アスペルガー症候群が故の壁はあるものの素直で純粋で優しい少女との交流という構図は、温かいし可愛らしくもあって沁みてくる。
ご都合主義満載だけど、オチへの流れは優しさに溢れていて目頭が熱くなったし、そんな弁護士いるかよ?という思いは皆無ではないけれど、エンタメドラマとして非常に面白かった。
どう答えますか? ”あなたはいい人?”と聞かれて
自閉症をテーマにした作品と聞いて、軽々しく中途半端な描き方で映画にしたら、後味の悪い茶番劇で終わるのではないかとか、自閉症を理由に言葉にできない酷いいじめを見なけれいけないのかとか、その一方では、韓国の映画としてどのように表現をしているのかを見たい気持ちなど観る前から非常に色々と想像をしてしまい、その事で心の中で力こぶをギュ~ッと作ってしまう。仮に、もしこの映画が思わず良い作品なら…考え込んでしまわないか?
映画も8分を過ぎようかとしたときにジウが向かいの家の異変を知ってしまう。その後、その家で起きた殺人事件の容疑者として、家政婦が逮捕されるが、彼女はあくまでも家主の自殺だと主張している。
I have no money to give,
but I'll cook for you if you help me.
孔子の言葉”四十にして惑わず”なんて気の利いた言葉なんて弁護士スノには存在せず、父親の事、結婚の事、立身出世の事、父親から引き継いだ借金の事・・・・・事、事だらけで何一つ解決しているものがなく、更にまたややこしい案件を抱えてしまう。そして気になる人の存在も? …… 本当は、この件を解決してほしい
そのスノは、唯一の目撃者、ジウに証言台に立ってほしくて彼女の証言能力について専門医に相談すると
Do you feel her testimony is admissible?
What if I put her on the stand?
Communication will be tricky.
She lives in her own world.
It'll be tough for you, and for her, too.
ジウにいつも付き添っている友達から
Start with things she likes. She'll talk after a while.
Puzzles and quizzes. That kind of stuff.
というアドバイスをもらったスノ。しかし人間、不思議なもので、人を気遣っている者が、その人をいじめたりしている。「あなたはいい人です。」なんて言われていたのに軽いノイローゼ気味の人間不信的疑心暗鬼に....。
プロットとしては、人の能力というものを最大限に理解し、人として事件の真相を解き明かし、弁護士としての前に人としてどうあるべきかということを真摯にしかもストレートに描いているところが、多くの方が共感する部分かもしれない。
映画も終盤に近づき、父親がスノに送った手紙には
Dear son
I almost forgot your birthday.
Thank you for being born.
You've been the true joy of my life.
When you turned 16, you told me you wanted to be a lawyer.
With your energetic face,
you said "I want to do good things".
......................................................
そして "Yikes, that's just pathetic." という言葉の存在がこの映画の次のプロットポイントとして人の裏の顔と心理を追求するスノの最後の裁判への布石となっている。
最初、金の入る少し嫌なことをする悪徳弁護士か?金のない正義感の弁護士か?シェークスピアか?そう極端に振り子のように迷わなくてもいいようなものだけど....見るからに優しく物腰が柔らかい人、スノを演じているハンサムガイのチョン・ウソンの演技もさることながら多くの方が口をそろえるように、自閉症のジウを演じているキム・ヒャンギの演技の質の高さ。そんな彼女、若干20歳にして芸歴は14年ということで、同年代のエル・ファニングと変わらない経歴だけでなく、彼女の演技力が将来も嘱望されている理由の一つとなっている。
スノの父親役のパク・クニョン。この映画のスノよりも優しさを独り占めにしているし、ジウの母親役のチャン・ヨンナム。韓国時代劇「太陽を抱く月」では巫女のアリを演じていたけれどもその時よりも自然で押し付けがましい演技ではなく、しかも若く見えていたので巫女というより魔女なのあんた?
自閉症を扱うことによる弊害のようにただ批判する声も聞こえてくるけど、映画自体のシナリオや物語の進行具合は納得できるのじゃないかなと思える。
スノさん、あなた、弁護は最高でも恋愛は......フフフ
I don't know what I'll do from now on, but one thing's clear:
I don't think I can do it without you.
なんて甘い言葉で最後は締めくくられ、映画の幕が閉じます。
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