のぼる小寺さんのレビュー・感想・評価
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「のぼる小寺さん」を見つめる人たちの物語
山っ気がない、というと褒め言葉にも悪口にもなりそうだが、古厩監督の演出には本当に山っ気がない。例えば小寺さんが、夏が好きだという話をする時に、「音が消える」感覚を得る瞬間がある。ベタな演出なら、一瞬露出を飛ばし気味にして、目をつぶった小寺さんをアップにして、一瞬だけ環境音をさぁーっとフェイドアウトさせる、みたいなことをやりがちな場面だと思う(原作の描写はどちらかというとそっちに近いと思う)。
しかし古厩監督は、あえて何もしない。小寺さんはそこに立っていて、しばらくして「音が消えた」と言うだけ。伊藤健太郎演じる近藤と同様に、観客は「よくわからないけど小寺さんはそうなんだ」と思うしかない。つまり、観客を安易にわかった気にさせたりはしない。そして、観客の目線は近藤たち、「小寺さんを見つめる側」であり続ける。この物語は、小寺さんの物語ではなく、小寺さんの姿に触発される周りの人間たちのものだから。
とはいえこれは映画であるから、ただストイックなだけではない。クライマックスで起きる、本当にささいな奇跡の瞬間。『灼熱のドッヂボール』の蒸発する汗よりも遥かにほのかだが、あの背中合わせはやはり奇跡だったと思うのだ。
目線が自ずと高まっていく。ひたむきな青春が実に眩しく清々しい
実に清々しい映画だ。「ガンバ」という言葉を久々に聞いた気がする。社会に出るとあまり使わなくなる言葉だが、でも小寺さんたちが互いにエールを送り合うように、疲れている時、もうちょっとで手が届きそうな時、この言葉をかけられると元気が出る。少なくとも青春時代には有効な魔法の言葉だったなと懐かしく思う。そしてもう一つ印象的なのが「じゃ、また学校で」というセリフ。なるほど、学校とは様々な人たちが集う場であり、またそれ自体が集まる理由にもなりうる特別な場所。かくもごった煮のように人生が交わるからこそ、主人公は自ずと誰かの姿に感化され、自らもひたむきになることで誰かを感化させる存在となるのだろう。群像劇風に描かれるみずみずしい目線の交錯、互いに成長していく姿が輝かしい。古厩監督作『ロボコン』の主要キャストたちは今や日本を代表する俳優となったが、この映画も似た香りの“ひたむきな青春”がぎゅっと詰まっている。
雰囲気が好き
ボルダリングに打ち込む小寺を見つめる近藤。何に対しても真剣に打ち込めない卓球部の近藤は小寺に影響を受けていき…。
同名漫画の実写化作品。原作未読。練習のラリーっぽい卓球の試合に違和感があるが、1人の真剣な人間に周囲が影響を受けていく物語は結構好きです。
夢中になれるものがあるってすてきだね。
小寺さんはただ好きなことに熱中しているだけなのに、周りの人たちも巻き込んでいってしまう。それだけの力があるっていうこと。すごいなぁ。やる気がない近藤君も変えちゃうんだから。恐るべし。それから、進路志望も先生の助言に怯まず、自分の意思を通すところがカッコよかった。小寺さん以外は歯がゆい思いを抱えていて、観ているこちらもウジウジしてしまうが、あの頃の甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれる青春映画の佳品。
眩いヒカリが降りそそぐ夏の青春!!
元園芸部が作られた校庭の片隅にある草木。
クライマーになる将来を夢見て
ボルダリングの岩に手を伸ばす1人の女の子小寺さん。手に残る傷あと。
飲みかけのスポーツドリンク。
淡い恋心が感じられました。
ガンバ!!と応援する仲間。
応援したくなる気持ちの伝わる青春なストーリーでした。
ボルダリングが好きだった。2年くらい前に見た。今回が二度目の鑑賞。...
ボルダリングが好きだった。2年くらい前に見た。今回が二度目の鑑賞。
現代の高校生の等身大な恋愛映画だと思う。
僕の時代は、いきなりロッククライミングをやる以外方法が無く、一人で山へ行くのが好きだった僕は、地元の山岳会に入ろうとした。所が、学閥があり!僕の学歴てはそのグループには入れなかった。
現在はその保守的な体質は残しつつも、ボルダリングとかフリークライミングとか新たな分野が登場して、若者はアナクロな山岳哲学を語らなくとも、別の道で登山を楽しむ機会が作れるようになった。さて、本当にそれで良いのだろうか?
僕は頑張るのもいやで、徒党を組んで山を楽しむのも嫌だ。
ボルダリングもオートビレイもましてやビレイも飽きてしまった。かな?
閑話休題、
若いうちは何度でもやり直せる。駄目なら、もう一度挑戦しよう!二位でも良いじゃないか!
但し、気をつけようね。オートビレイで怪我をした人を僕は知っている。
モトクロスとかヘリコプターとかライトプレーンとかハンググライダーやって、無難にこなして来た人が、ケアレスミスでオートビレイで事故を起こした。別に舐めていた訳では無い。
そう、人間の運命ってそんなものかなぁ。
ゆるキャンにハマって、アウトドアショップの店員になったナデシコの生き方が、僕は一番共感する。夢ないか!?
美しい
リアルかどうかは置いといて、一心不乱に打ち込むことの尊さというか
自分にしっかり向き合うことの大切さを描いた傑作だと思う。
とくに10代前半の青少年にはぜひ見てもらいたい内容で、
自分の現在地とこれから先って部分に、眩い光が当たる気持ちになるんじゃなかろうか。
ボルダリングの壁と、校舎の裏庭。特にこの2つのシーンは美しくって
その映像で映し出されるラストシーンの、なんと美しいことか。
はかなくてもしっかり実在する一瞬一瞬の尊さ、得難さをしっかり切り出していたと思う。
小寺さんはとても魅力的で
ただひたすら、自分のやりたいことを一生懸命にやっているだけなのに、みんなを感化していく。
自分の近くに小寺さんみたいな人がいたら、自分も影響されるのかな?(それとも、何にも気づかない?)
みんな小寺さんに夢中…そう、観ている私も…ガンバ!と
『アルプススタンドのはしの方』と時を同じくして、青春の新たなマスターピースに名を挙げた今作。また違った光り方をしていて、とても良かった。
まず、丁寧に登場人物をフォーカスする「起」に驚かされる。101分と比較的短い作品ながら、彼・彼女が今どこに立っているのかを丁寧に描く。それは、小寺さんでも近藤でも四条でも皆隔てなく。よって、誰もが輝きだし、優しい雰囲気を造っていく。
脚本は『聲の形』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』といった、重厚で人間ドラマをアニメで描く吉田玲子さん。初めての実写映画の脚本ながら、さすがの執筆力でキャラクターを引き立ててゆく。だから、出てくる人みんなが愛しい。
また、キャストも厚い。小寺さんの工藤遥は初主演ながら、個性的で気になるあの子を体現。伊藤健太郎や小野花梨、鈴木仁、吉川愛といった実力派が脇を固め、見逃せない空気をつくる。
そうした中で、ボルダリングから「一生懸命」を肯定し、それぞれが輝きだす様はグッとくる。頑張ることを自然と出来る小寺さん、不思議なエナジーが心をポカポカにしてくる。
ガンバ!とつい、手に汗を握ってみてしまった。そう、私も小寺さんに夢中だったのだ。
何も無さそうで❓全てが此処に有る❓‼️
取り立てて凄いエピソードがあるわけではない、けど、それがリアルな高校生活。
セリフや行動がリアリティの塊り。
観てると、退屈なようで、引き込まれて、同化して、小寺さんに、そして皆んなに共感、ああ、そうだよな、そんな感じです。
結末も、キュン、あれ、彼に同化しちゃう。
なんだか、高校生活思い出して、泣けてきそうだ、まじか、おい。
僕も誰かにとっての小寺さんになりたいよ。
今できることを一生懸命しようと思った映画です。
一生懸命は伝染するんだなって思いましたね。面白かったー。本当に青春映画の傑作だと思います。
ストーリーは王道。何にでもまっすぐな小寺さんに出会って変わっていく人々を描いています。小さい青春です。小寺さんは不治の病でもないし近藤君は学校一のイケメンでもない。だからこそ共感できるんです。この地味なおかげでラストシーンがすっごく映える。いいなー。男なら誰しも一度はあんなん憧れるでしょ。良かったとしか言えない。
キャストも全員キャラに合っていましたし演技も上手かったです。伊藤健太郎、逃げさえしなければな〜。工藤遥さんも良かった。すごくキュートです。
ただこの映画を見てるとポカポカする。私もみんなにポカポカしてほしい。伊藤健太郎と工藤遥を見て、ポカポカして欲しいと、思う。
爽やか
自分にも
こんな時代があったなーと。
思春期だから当然恋もしたし
自分が何者かも分からず不安に感じたこともあったし
目の前のことに一生懸命がんばったこともあった。
友達がいるのに、
どこかさみしさを感じることもあり
それでも学校に行けばいろんな人が周りにいて楽しかったなーと。
自分にも確かにあった時代を振り返り
サイダーを飲んだ後の
清涼感をいただけるような映画でした。
伊藤健太郎君、
「アシガール」の頃から注目していたのですが
またスクリーンで観られる日を待っています。
甘えの無いクールな仕上がり
群れるな個であれ、か。
お蝶夫人に勝つでも力石を葬るでもなく、夫々が静かに自分と向き合うに至るだけ。
気付けば青春は終わり始めている。
甘えの無いクールな仕上がり。
新味と評す。
女は恋に見切りをつけたか、恋心を秘めるのは男。
私的年テン入り。
地味なのが良い。
地味だし、盛り上がらねーなぁと思いながら見てたけど、
見終わると地味なのが良かったなと思えました。
派手でスクールカーストの上にいる奴だけが青春を
送ってるわけではない。
みんな青春を送ってるし、
一つの出会いで少しずつ人生が好転して行くのが
リアルで良かった。
学生時代、頑張ろうと思ってもサボっちゃうし、
親に頑張れと言われても全く身に入らない。
だけど、好きな人が頑張ってる、
その姿を見て自分も頑張ってみよう!と思うのは
とてもリアリティがあるし、
自分に自信を持つのに、特にモテたりしないのも
とても良かった。
地味なんだけど、みんなキャラも立ってたし、
キラキラしてた青春だったし、
地味に思たのは、自分の青春時代を美化し過ぎてるだけで
リアリティと言う事かもしれない。
こうやって感想描いてるうちに、
色んな場面が良い思い出のように頭の中を
駆け巡っている。
小寺さんは凄いのですが、、、
ボルダリングを頑張る女子高生小寺さん。
触発され自分の事も頑張ろうとする周りの同級生達。
マジでボルダリングしている小寺さん役の工藤遥さんは凄い✨
ただし、他が、、、
主役級の伊藤健太郎へ誉める所が無いし、所属卓球部の試合は中学レベルだし。
文化祭だの色々やるのは良いが、それもまた緩い💧
前向き応援映画。
ボルダリング部へだけの評価点
以上。
いいじゃない!「ひたむき」
長く生きてると、物分かり良くなるし、先読めるし、効率考えちゃうし
やらない理由探し始めちゃうし・・・
なぁんて思っている人にこそ見て欲しい映画です。
原作漫画は読んでないけど、きっと面白いはず。
小寺さんを見守る周辺の方々のお話なんですが、
その彼らのエピソードを見ていると
世の中斜めから見るよりは、まず真正面に向き合って見てはどーですか?
まずは取り組んでみてはどーですか?
と画面から言われている気が・・・。
最後はきっと画面に向かって応援している、小寺さんに魅せられている
自分に気付きます。
小寺さんと一緒に私ものぼる
第一波に乗り遅れた本作をやっと鑑賞。
評判通り、いえ評判以上の良い映画でした!
見逃さなくて良かった〜
ボルダリング女子高生・小寺さん。
ほんわかした天然キャラの外見からは想像できないほど、キリッとした目に変化する壁面シーン。
のぼる姿をみるとハートを掴まれて、なぜか涙が出ました。
みている私の淀んだ心が浄化されていく感覚の心地よさ。
ゆるっと過ごす高校生活。
ただ、ひたすらに壁面をのぼる小寺さんを見て変化していく周りの高校生たち。
伊藤健太郎さん、小野花梨さん、吉川愛さんなどなど…若手演技派俳優さんたち一人ひとりが輝いて愛おしい。
というか…主人公はこの人たちです。
真っ直ぐでひたむきな小寺さんを見て変化していく周りの高校生一人ひとりが主人公なんです。
そして、小寺さんを演じた工藤遥さんの不思議な魅力。
私はすっかりファンになりました。
のぼる小寺さんの姿を見て、周りの人や観客も一緒にのぼりたくなる。
どんどん上を目指してのぼりたくなる。心がのぼっていくのです。
工藤遥さんと伊藤健太郎さんのラストからのエンドロールが本当にステキ。
愛おしい青春映画の傑作誕生に拍手でーす!
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