「狭苦しい白黒映像の圧力に目が釘付け。」ライトハウス 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
狭苦しい白黒映像の圧力に目が釘付け。
古い白黒映画を観ていて、ただただ画に夢中になることがある。もう、ストーリーが面白かろうがなんだろうが(もちろん面白いに越したことはないが)、モノクロームが醸し出す美しさに魅入られて、目が離せなくなってしまう。そんな体験を、21世紀の新作映画でたっぷりと味わえるとは予想もしていなかった。
汚い狭い空間で、男ふたりがいがみ合い怒鳴り合い時たま仲良くなってまたいがみ合う。最初から最後まで、もうその繰り返しでしかないはずなのに、なんでこんなに美しいのか。もちろん役者VS役者の演技のせめぎ合いにも、シュールで隠喩に満ちた語り口にも惹き込まれるのだが、すべては二の次、三の次となって、画と音の奔流に脳内が満たされる。
気分が悪くなってもおかしくないほどグロテスクな映画だとも思うのだが、圧倒的な美術品を前にして、ただ惚れ惚れする時間を過ごして、なんだか幸せだった。レビューというには抽象的かつ主観的に過ぎますが、幸せな映像体験という表現が自分にはピッタリでした。
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