「光と闇を強調するモノクロ映像。D・リンチ的シュールさと狂気」ライトハウス 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
光と闇を強調するモノクロ映像。D・リンチ的シュールさと狂気
観る人を選ぶ映画の部類に入るだろう。灯台しかない絶海の孤島に、独裁者のような老灯台守の助手として赴任した青年の話。4対3のスタンダードサイズに閉塞感を覚え、逃げ場がなく精神的に追い詰められていく彼の内面にシンクロする体験をポジティブに味わえればいいが、苦痛な時間になってしまうかも。ブラックな労働環境でこき使われた経験があるなら、つらい記憶がよみがえる可能性大だ。
モノクロの映像は余計な情報をそぎ落とし、神の力を象徴する灯台の光と人間の恐怖や狂気を増幅する闇のコントラストを強調する。妄想とも幻覚とも超現実的事象とも解釈可能なインパクト大のショットの数々は、たとえば「イレイザーヘッド」などに顕著なデヴィッド・リンチの作風を思わせもする。
私自身、初見の際は正直それほど…という印象だったのだが、全体の流れを把握した後でもう一度観ると、面白みがずいぶん増したように感じた。
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