「罪悪感とともに生きてゆく」弥生、三月 君を愛した30年 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
罪悪感とともに生きてゆく
成田凌と波瑠が高校生から45歳ぐらいまでの三十年間を断続的に演じるのだが、年齢的な違和感をさほど感じさせないのはふたりの持つ清潔感と演技力なんだと思う。いつまでたっても高校生らしい真っ直ぐな杉咲花を加えた三人の関係が歯痒くもいとおしい。
弥生(波瑠)の凛とした佇まいと正義感に溢れた行動力&決断力はチャチャ入れる余地がないほど。 いたなぁ。 小学校高学年の頃。 ああゆう女子。 幼い男子からは総すかん食っていたけど、個人的にはいいなぁと思っていた娘。 もちろん、そんなこと言い出せなかったけど。 男子同士の喧嘩に割って入って、結局自分が泣いてしまうまで頑張る娘とか。 いじめッ子をぎゃふんと言わせる啖呵切る娘とか。 だいたい早熟気味のスラッと背が高い娘だった。 そんな昔のことなんかが頭をかすめながら見るもんだから、切なくて、切なくて。だんだん弥生(波瑠)をじわりじわりと好きになっていくのだった。太郎の子供、歩と太郎に何回もサッカーボールのパスをさせる弥生。もう一回。もう一回。もう一回。もう一回。
カセットテープのウォークマンは時の流れを感じさせる小道具のひとつに過ぎないと、ピッチ、初期の携帯あたりまでは思っていたが・・・・「出たかったなぁ、二人の結婚式。弥生と親友になれたのが私の誇りです。年をとってゆくってとてもうらやましい。よかったね弥生。」
あの時、弥生と太郎が感じた気持ちと行動は本物であると信じる。太郎が弥生を抱きしめ、高校の頃からずっとこうしたいと思ってたんだという言葉は生半可な気持ちではなく、うそはないと思う。男は若いうちは照れて道化を演じて逃げてしまうものなのだ。なにもかも失くして、自分に正直になった太郎に、弥生も堰をきったように気持ちを抑えられなくなった夜。朝になって、学校の仕事はきっちりする弥生が、出ていくときに太郎が「もう、弥生と離れたくないんだ。ずっと一緒に居たい。」 に、罪悪感が重くのしかかる弥生が言う言葉は「私、結婚しているのよ。そんなの無理よ、もう会わない。」そして、日めくりカレンダーが2011年3月11日を示す。
太郎のお母さん役の黒木瞳の「弥生ちゃん見つかったよ」の電話。遺体安置所の光景。弥生は生きていたが、「やっぱり、バチがあたったんだ」と。 タイミングが悪すぎる。そして、罪悪感で過ぎてゆく年月。喪失感や罪悪感が癒えるには年月が必要なのだ。太郎がさくらの墓の前で、「弥生が心配なんだよ」というの聞いて、弥生が婚約者を連れてきたときの太郎のように隠れる弥生。
転んだことより、立ち上がることが大事と生徒にいう弥生だったが、
自分のこととなると簡単ではない。
映画だとわかっていても泣かされてしまう。
映画館のロビーで、中島みゆきの糸が流れている。予告編でも糸が流れる。
余計、泣けるじゃないか!
ブレッド&バターの「あのころのまま」を思い出す
ダスティン・ホフマンになれなっかたよ(大塚博堂)も
高田馬場で弥生を探す太郎の場面。
古本屋で奇跡の人を見つけ、引き抜くとそこに弥生の顔が。
飛び出して、逃げる弥生。
びっこをひきながら、追いかける太郎。
あれ、高田馬場と景色が違うと思ったら、大森ベルポートだった。
キネカ大森のそばにあるいすゞのビルだ。
懐かしかった。でも理由はいわない。
🎵僕をわすれたころに~
君をわすれられなぁ~い
くもりぃガラスのぉ窓を⤵️たたいて⤴️
君の時計を止めてみたい
あ~ ぼくの涙はあのときのまま
広い河原の土手の上を
振り返りながら走った
あ~ あれは 春だったね🎵
カールさん
ノスタルジーいっぱいの曲目リストですねぇ・・
春は卒業と旅立ち、そして別れの季節。
青くさくて胸がチクチクする吉田拓郎が、FMからしょっちゅう流れています。
ブレバタの「あの頃のまま」はユーミンの傑作。「いちご白書」と対を成す唯一無二の世界だと思ってます。
大森のいすゞですか?切なくて、行きたいのか行きたくないのか、足が向かないけど心にふとよみがえる街って、あります。
せめて美味しいもの食べてコロナに打ち勝って下さい。
カールⅢ世さん、お邪魔します。
>高田馬場と景色が違うと思ったら、大森ベルポート
カセットテープを高田馬場で受け取った弥生。
次の場面が駅のホーム。
聴こうか、やめようか。 置いて立ち去ろうか…
と、悩むシーン。
このホーム、よく見ると仙台市地下鉄南北線。
直前まで高田馬場にいたはずなのに …うーん。
この作品、撮影場所に意味があるような、無いような。
なまじ、分かる場所が多かっただけに
「なんで次がこの場所なの?」
と本筋とは関係のないところで気になってしまい
ストーリーに集中仕切れなかった気もします。
弥生のような背の高い凛とした、男子に立ち向かっていく女子が小学校の頃いました。その子に憧れながらも、そうはなれなかった大人しめ女子だったのでちょっとほろ苦いような、懐かしいような、なんとも言えない気分になりました😊😊