劇場公開日 2020年2月14日

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「映画なのに視野狭窄!」1917 命をかけた伝令 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画なのに視野狭窄!

2020年2月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

驚異の長回しスタイル。もちろん「のように見える」というただし書き付きだが。
(見せるために、そらもうトリッキーな撮影や、エラ複雑な画像処理がなされていそうに思えてならない)
おかげで映画がいかに時間を操ること、シーンやカットによって成り立っているかを体験することができたとも感じている。

抜きに仕立てられた本作は、ハデさが記憶に残るようなショットがほとんどない。
ずっと主人公の傍らに付き添い続ける。主人公が見ている景色しか見せてもらえない。
この驚異的な視野狭窄!

もっと全体を見せてくれ!
違和感もあったわけで、最初はじれったくもあった。
だがむしろそれが臨場感を放ち始めたのは中盤あたりからか。
時間も、ここがどこかも、いま目の前で何が起きているのかも、一瞬わからなくなるリアルな「混乱」が、椅子に座っているだけだというのに襲い掛かってくる恐怖。そう、敵もろとも。
固定された視点にフリも挟めないせいで、これがとにかく生々しい。
ひたすら息詰まる。
客観的に見るのではなく、まさに体験する作品だ。ひたすらそう感じる1本だった。

この大いなる実験的試みへは拍手を送りたい。
やり切ったスタッフにも演者のみなさんにも!
でもヘンに体力、もっていかれました。なにげに音楽もいい仕事をしていたと思う。

N.river