すばらしき世界のレビュー・感想・評価
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気がつけは涙が出ていた
つらい映画でした。正直に生きただけなのに。西川監督の「ゆれる」でも胸が痛かったのを覚えてます。もう一度見る勇気無い、最初から号泣するような気がするから。心に響く映画でした。
ささやかな、希望と再生の物語
良い作品でした。
ちょっとキツイ話だったけど、観てよかった。
ただシリアスというだけではなく、おかしみを感じるところもあり、ダレることがなかった。
根は悪い人じゃないのだけれど、感情を制御できず、すぐに爆発させてしまう元ヤクザの三上(おそらく人格障害なのでしょう)。
世間の多くは、彼のようなニンゲンにはあまり関わりたくないだろう。
そんな三上にあえて関わって支えていく人々。えらいなぁ。やさしいなぁ。
けれど、大きく脱線した車輪を再びレールに乗せるのは、並大抵のことではない。
言うまでもなく、はみ出し者には、世間の風は冷たく厳しい。
僕自身もある意味カタギではないので、まったくの他人ごとというふうには観ていられませんでした。
けっきょくは、母と子、家族からはじまるのだなぁ、と思ったり。
観終わったときは、少しだけ物足りないかも、と感じたけれど、それを補うようにあとからじんわりときました。
家に帰るあいだも、いろんな思いが胸に去来した。
先ほどのシーンがよみがえってきて、また涙がにじんだ。
とにかく、三上は生きた。
不器用だが、懸命に。
この「すばらしき世界」の中で。
追記
それにしても、役所広司は素晴らしい。
あれほど凄みの出せる役者はそうはいないでしょう。
日本の宝だ、と思いましたね。
助演の仲野太賀も好演だったし、脇をかためる俳優陣もいい味だしてました。
世の中捨てたもんじゃない
ヤクザでもこちらのヤクザはカタギとして真っ当に生きようともがいている。
長い間、極道と刑務所の中で生きてきた三上には、こちら側の世界は本当に生きづらい。世の中は13年前とはまるで変わっているのに、古い考えで何をやろうとしても壁にぶち当たる。
それでも、周囲の温かい人達に支えられ、何とか少しずつでも軌道修正してもらいながら、就職もできたのだ。
彼は根は真っ直ぐで優しい男だ、正義感も強く、曲がってることをしてる奴を放ってはおけない、でもその加減ができずにやり過ぎてしまうという不器用さがある。
罪を犯した人が娑婆で、人並みに生活できるようになるには並大抵の努力が必要だろう。これは、以前から社会問題としても取り上げられているが、こんなに周囲の人々に恵まれたことは奇跡に近いのではないか。
ケースワーカーの北村さん、橋本さん、梶さんの弁護士夫婦、スーパーの店長の六角さん、そしてプロデューサーの仲野太賀さん。
中でもお風呂でのシーンの仲野さんの台詞と眼差しには優しさが溢れていて、胸に打たれた。
また、三上が介護施設で共に働く、知的障害の仲間に自分の生きづらさを重ねて涙するのには世間一般ではマイナスと捉えられるコンプレックスを抱えた者の辛さを痛いほど感じた。
そして、西川監督の笑いの要素を絶妙にいれてくるあたり、なかなか素敵でした。
三上、きっと思ったんじゃない。俺はこんな生き方してきたけど、別れた奥さんとも話もできたし、就職もできた、こんなに自分のことを必死に考えてくれる人達にも出会えて、意外とすばらしいんじゃないかと、この世界も捨てたもんじゃないって。
“すばらしき世界”
役所広司×西川美和、これは観るしかないではないか。
“今回はカタイぞ”これは堅い=まともな人間になるということ、その決心が固いということ。
予告の時からかなり印象的でした。
誰に言うでもない短い台詞だけど、とても重みがあり、簡単に発することができない言葉だと感じました。
人が本当の幸せを掴むには“心の豊かさ・余裕”が必要なんですね。
その手段は様々でお金なんかはその内の一つ。
三上にとっては“社会で普通に生きること”と、そして“愛”だった。
ディレクターの津乃田に身元引受人の庄司夫婦、スーパーの店長・松本、ケースワーカーの井口、みんな自分のできる範囲で三上を助けてくれる。
誰も全く恩着せがましくなく、まさにそれは“愛”だった。
“人は1人では行けていけない”という言葉の意味について考えてみた。
それはただ“助け合わないと生きて行けないから”ということだけではなく、“その人たちがいるから=自分の為だけに生きることはできない”ということなのだと感じた。
仲野太賀くんは本当に素晴らしい役者さんですね。
何でしょうね、怖いけどビビリながらも答えを模索して行動している感じ?“情けないと勇敢が入り混じっている”のがとても魅力的でした。
もちろん他三上を囲むキャスト陣も良かったです。
それぞれ三上とタイマンでの繋がりだったのが、就職祝いで一同が集まるシーンはとても温かい気持ちになりました。
波風を立てないことが最善とされつつある現代。
三上のような“0か100”の人間にはとても苦しいですよね。
非常なこと、どうしようもないだらけで嫌になることばかり。
それでもこの映画に“すばらしき世界”という題名が付けられました。
歩道橋で一番星を見つけた時の三上の顔が忘れられません。
さよなら絶望
タイトルから皮肉モリモリな作品でした。
希望が見えたと思ったら絶望が始まり、希望が見えたら絶望が始まるという繰り返し続ける簡単に言ってしまえば地獄映画でした。世間が悪と見る暴力は、守らなければならないといけないと思う正義感が先走った結果の行動で、必ずしも悪ではないし、かといって悪事を見過ごすことは自分を守るためであり、こっちも悪ではないなと思います。見事に善と悪を突きつけられました。
少しでも優しくされたら、自分も優しくされたように感じるのも痛い気持ちになりました。
死亡フラグを高速建築し、ラストまでも絶望に満ちてしまっていたのはスッキリしなかったので惜しかったです。
良い作品でした。
鑑賞日 2/17
鑑賞時間 12:35〜14:50
座席 K-20
感想
この作品を見終えて感じたことは、
人の人間性の根本的なところは、幼少期に育った環境や経験が根深く関係していて、
子供にとっての母の存在の大きさ、母親の子に対する責任の重さを思い知るような、そんな映画でした。
役所さん演じる主人公は、根は真っ直ぐな善人だと思います。
だけど不器用で、一般社会での生き方を知らないから、想いを伝える手段はいつも(暴力)に頼り、自分の感情を上手くコントロール出来ずに苦しんでいる。
彼が最期にしてしまった事は、
彼があまりに純粋で、それ故の生きづらさに対する葛藤の表れなのかなぁと強く思いました。
現代が抱える様々な社会問題を集約した、
切ない映画でした。
男をネチネチ、不自然さ、そして高倉健じゃなくて・・・
西川監督作品は「ゆれる」と「ディア・ドクター」しか知らないが、男が観ても全く違和感がないほど“男を描く”ことに長けているだけでなく、“男を描く”ことにネチネチと執着している印象がある。
この作品でも全く同じで、女優(梶・キムラ・安田・長澤)は、切れ味鋭く脇を固めているにすぎない。
西川監督にとっては、女性は自明の存在で、事細かに描く必要性がないのかもしれない。
西川監督の作家性というか、“性(さが)”を強く感じる。
本作で不自然に感じるのは、三上が自分のやくざな生き方に疑問を抱いていないにもかかわらず、なぜ多くの“娑婆”の人間が、三上に親切なのかということ。
前科者の“疎外”や“不寛容”がテーマのはずなのに、それを緩和する登場人物が多いという矛盾がある。
そもそも佐木隆三の原作にも、「周囲の人が善人ばかりで不自然だ」という批判があり、西川監督も「悩んだ」という。
リアルを少し捨てて、「小さな関わり」を徹底して描くことで、三上のキャラクターを生き生きと浮かび上がらせると同時に、ハートウォーミングな作品に仕上げたのだ。
「中年の男が刑務所から出てきて、ただ単に何でもない日常が続くだけでドラマがあるわけでもない」映画が、ここまで面白いのは、自分も役所広司の素晴らしさだと思う。
しかし、役所広司の力だけではない。
西川監督の演出は、驚くほど“ベタ”だ。スローテンポで、じっくりと主人公を輝かせている。
山田洋次監督が高倉健なら、西川監督には役所広司だということなのだろう。
面白かった。この映画は映画館で観ましょう。
不器用。まっすぐ。普通になりたい。母への憧憬。それぞれのせめぎ合い。
あらゆるエピソードがこれを表現しているのだと思います。
タイトルから終わるまで惹きつけられました。
役所さんと太賀さんの演技か冴えてます。この映画は映画館で観ましょう。集中して観る映画考えて観る映画だと思います。
西川監督、期待通りの映画でした。次は期待の上を期待して?しまいます。
不思議な映画だった・・・
28年と人生の大半を刑務所で過ごした男が出所し、「今度ばっかりは、カタギぞ」 と普通の人生を送ることに取り組む話。なにも起こらない。
自分は役所さんの鬼気迫る演技にももちろん感心だったが、この映画では、さまざまなシーンでクリエイターと呼ばれる人たちの矜持を感じていた。
主人公のケンカを撮っていたが、その狂気に怖くなって逃げだすディレクターに、長澤さんがかける言葉。「撮らないのなら、ケンカに割って入ってとめなさいよ! 止めないのなら、撮って、伝えなさいよ! (撮らずに逃げるなんて)お前みたいなのがいちばん何も救わないんだよ!」
いやあ、強烈。これが、「撮って伝える」 というTVマンの矜持か。俺も怖くなって逃げちゃうだろうなあ。
「カメラは、もう、ないです。でも俺、三上さんのことを書きますよ。普通になるんですよ、三上さんは。それでも書けます。僕は、書けます」 作家になりたい仲野さんのセリフ。「書いて、伝える。たとえそれが、ただの普通な人生であっても」 これがライターの矜持か。
そして、この映画自体、何も起きず、主人公がもがき、周囲が見守るだけ。それを撮って伝えるのは、映画監督の矜持か。
と考えながら観ている俺の前で、そんな素直に終わってはくれないこの映画。主人公にこらえることを心から伝えたのは、同じように生きているアベくんだったのかなあ。嵐の中のコスモスだった・・・
かすんだ青空に、「すばらしき世界」 と浮かぶエンディング。主人公にとって、観ている我々にとって、なにがいったい 「すばらしき世界」 だったのか? 何もすばらしくない世界だからこそ、逆説的な言い方をしたのだろうか。 いや、自分はそうは思わなかった。カタギになろうとした主人公、そのもがき続け、あがき続けた姿が 「生きる」 ということ。それこそが、すばらしき世界なのだろう。
かって所属していた組のあねさんが、別れ際に主人公に言ったセリフ 「今はヤクザじゃ稼げない。シャバは、我慢の連続ですよ。でも、"空が広い" と言いますよ」 ・・・
レビューは以上なのだが、何回も身につまされる思いをした映画でもあった。
その代表的なシーンをひとつ。TV取材を受けようとする主人公に、「食い物にされるだけだ。TV番組ひとつで世界が変わるとは思えない」 と進言し、主人公に口汚く罵られた際に、「きょうの三上さんは、虫の居所が悪いんだね。また日を改めて話そう」 と語るスーパーの店主。このセリフ、言えるか、俺は? 普通ということ凄さを思い知らされる。
おまけ
本編とさほど関係ないのだが、裁判所でのシーンでは、検察や弁護士と、被告や証人とのやりとりというのは、誘導尋問のオンパレードだなあ、と必要悪を痛感した。
好きと嫌いの両方がある作品
殺人の刑期を満了し出所した三上は次こそ真っ当な人生を過ごすため職を探し始めるが…。
西川美和監督作。見たくないものから目を逸らすことこそが現代社会の生き方と言う皮肉の込められたヒューマンドラマ。メッセージは好きだが、一方で嫌いな部分も多い作品でした。
「すばらしき世界」とは?
この映画も本当に余韻が凄くてしばらく引きずりました。いろいろ考えてしまったなぁ。
根は優しいけど“瞬間湯沸かし器”で凶暴にもなる主人公の極端なニ面性を見事に演じている役所広司さん!もう三上は役所さんしか考えられないですね。
もし自分の近辺に三上のような人がいたらどう接するでしょう?私は…関わりを避けてしまうと思います、残念ながら。
だから、弁護士夫妻はもちろんのこと、ケースワーカーもスーパーの店長も立派すぎて。津乃田も変わったものね。
あ、そうか、あの人たちが「すばらしき世界」なのか!!
(でもおそらく皮肉もこめられていますよね)
仲野太賀さんイイねー。北村有起哉さんは「ヤクザと家族」とは真逆の役をやったのが大正解でしたね!
でもやっぱりこの映画は役所さんの演技あってこそ、でしょうね。複雑な生い立ちの三上が発する言葉は全く台詞には聞こえず三上そのものの声でした。
結末は…
この結末の感触も「ヤクザと家族」と比べてみると面白いかも。
作家性の強い監督さんの作品だから好みは分かれるのでしょうね。
スーパーの店長のような人間になりたい
悪いものを見ても我慢して、生きていった方が良いのかなー? いま、現実でもすごい悩んでます。
青臭くても、正義をもとめて、ぶつかって生きてきたけど。
本当にどうなんだろう。
いや〜良かった!
刑を終えた人の半数が
また犯罪を犯し
所に戻る
この事実が表しているのは?
そして思う
就職祝いの部屋での梶さんの歌うシーン
介護施設の畑のやり取りのシーン
仲野が役所の背中を流すシーン
終盤の花を貰って帰りの自転車で泣いてる途中にかかってくる電話のシーン
など(他にもたくさん)…
もっと人との触れ合いや
交流があればと
どんなに悪とうなヤツでも
感動には勝てない
人は感動には勝てないのだ
絶対に
そしてそれは
人との触れ合いを意味する
この映画の
「すばらしき」とは
皮肉ってるようにも
思えてきます
みんな自分が生きていくのに
精一杯で
他人の事なんか
気にしてられない
増してや
反社となると
それはそれは
冷たいどころか
残酷だと思います
その中で
どうやって人と関わっていくか?
はたまた
住み慣れた環境の
元巣に戻るか?
劇中セリフ(記憶曖昧)で
「真っ直ぐすぎて自分を曲げられないのよ〜」
「逃げる事も大事。そして次の戦いに備える」
って。
わかるわかる
そーなんだよなぁ〜
不器用すぎて
直行してしまう
今は見過ごす時代でして
自分の考え方と違ってるからと言って
1つ1つ全部に構ってたら
バカをみる時代
とにかく
この映画は凄く良かった
役所さん、六角さん、橋爪さん、北村さん、梶さん…
皆んな好き過ぎて(涙)
今年の初っ端から
すばらしき邦画に
感謝です
兎角この世は生きにくい
一種の社会福祉的映画である。社会福祉的作品といえば、某局ドラマ『健康で福祉的な最低限度の生活』が思い浮かぶがドラマが教科書的なオモテとすれば、こちらは殺人をおかしたヤクザが社会復帰を目指す“ウラ”的な存在。
三上(役所広司)が身元引受人の弁護士庄司(橋爪功)と生活保護を求めて役所に行った際、北村有起哉扮するケースワーカーが「反社には生活保護はおりない」と言うが庄司に説得され応じるシーンが象徴的だった。
景気の低迷が長く続き一般人でも行きにくい昨今。政治家は再チャレンジなどと言うが一度踏み外したら生きにくいこの社会、殺人をおかしたヤクザなら、さぞかし社会復帰は難しかろう。映画では三上に対して共感を示すテレビカメラマン津乃田(仲野太賀)やスーパーの店長・松本(六角精児)が登場し、三上を温かい目で見守るが、現実は更に厳しい。兎角、この世は生きにくい。この映画、役所広司の“目”が印象的で、大いなるリアルを感じた。
普通って何だろう?
今の時代だから、こそ、つきつけられる話に感じます。やくざのように、世間から、はみ出した、人間が生きる難しさ。
を集約した感じですね。
普通に生きている人も善悪では、なくて保身で見て見ぬフリをしている。
なかなかシビアな糾弾にキモを冷やします。
すばらしき人間力
映画を観ながら「何処がすばらしき世界や」と思いつつ、すばらしい映画ではありました。
西川美和監督作品なので、今回はどういった捻りを見せてくれるのかと観ていましたが、本作は監督初の原作モノらしく、物語上では最後まで捻りはなくド直球の人間ドラマになっていました。敢えて捻りを探すとこのタイトルだったのかも知れません。
本作を観て、西川美和監督の監督としての成長というより人間としての成長まで感じられ、役所広司も言わずもがなのベストアクトでした。
で本作の詳しい内容は、私よりもずっと丁寧に深く書かれたレビューが世間には溢れているのでそういう人達にお任せして、私はいつも通り私が気になった部分だけにスポットを当ててのお話をして行きます。
本作を観終わって、少し前に書いた『岬の兄妹』の私の感想を思い出していました。
私はその感想の中で
****
本来この物語の様なケースの人達を具体的に援助できるのはそういうお役所の人達なのですが、近隣・縁者・友人等々の助けがない場合は決して其処までには届かないというのが現状であり、我々一般庶民である隣人達は、極力この様な人種との関りを避けたいというのが本音であって、無責任に「そこまで堕ちる前にもっと頭を使え」などと上から馬鹿にするのが現実社会であり、そこにこそ問題の深刻さがあるのでしょう。
****
と書いていて、あの作品の兄妹達には他者からの助けという助けが殆どなかったこと対して、本作の主人公の三上に対しては幸運にも何人かの助けがあり、一体何処にこの差が出来るのか?という事が無性に気になりました。
社会には重度の社会適応が出来ない人々が一定数います。本作の様な反社・ヤクザ・チンピラ・前科者と呼ばれる人達もいれば、障害者やニートと呼ばれる人達もいる中で、一般人からすると、そういう社会不適応者と呼ばれている人達とは(面倒ごとに巻き込まれたくないという理由から)出来れば関わらずに済ませたいと思うのは極自然だとも思います。しかし、人間って不思議な生き物でそういう人達を助けたいという気持ちも何処かにあります。
でも、現実には上記のような差が出来てしまいます。
多くの人々は『岬の兄妹』の主人公には助けたいという気持ちが湧かず、本作の三上には助けたいという気持ちが湧く、これって実に不公平ですよね。というか、元々人間は不公平な生き物なんだという事をこの2作品は語っていた様な気もしました。
人間が心動かされるのは、結局その人間に備わっている人間的魅力であり、本作の三上という男は今の社会に適応しなかったというだけで、元々そうした人間力を備えていたのかも知れません。この人に関わることによって自分自身も救われるという気持ちにさせるようなキャラクターだったような気がします。
更に言うと、人間には善性と悪性とが共存し、特に人と接することがスイッチとなりそのどちらかが出てくるのですが、基本的に人は自分の善性が出ることに喜びを感じ、(例外もいますが…)自分の悪性が出てしまうような人と敢えて接したいとは普通は考えません。恐らく三上は、人の持つ善性の方を引き出せるタイプだったのかも知れません。
しかし、世の中には元々攻撃的な人間も存在しますが、そうでなくても攻撃したくなるようなタイプの人間がいることも確かであり『岬の兄妹』は多くの人が感じるこちらのタイプに属していたような気がします。
しかし、だからと言って『岬の兄妹』の二人が救われないのは、やはり不公平であることは間違いなく、政治(役所)が本来やるべきことは、そうした非常に人間的な不公平をなくした援助が出来る体制を作らなければならないという事だと思います。
と、ちょっと本作のテーマから逸れた話になってしまいました。三上という男の人生が幸福であったのか不幸であったのかは本人の判断次第ですが、最低でも5人以上のそうした人間の心を動かせる力を備えて(産まれた)いたという事への感謝が、母親への思慕(拘り)に繋がっていた様に感じられました。
役所さんの凄さにただ脱帽・・・
auマンデーは『すばらしき世界』
この監督さんの作品は、地味に刺さる。
先日観た『ヤクザと家族』が良かっただけに、超える事はないだろうと思いましたが・・・
こちらのキャストも皆さん素晴らしいし、ハナ差かわして来た。
どちらの作品も、出所した元ヤクザの苦悩と葛藤を描いてますが、自業自得と言えど虚しい・・・
綾野剛の凄みを、さらりと経験で凌駕する役所さん又、主演男優賞獲りそうな感じです。
ヤクザと家族からの北村有起哉さんの振り幅はツボで、チョイ役の長澤まさみちゃんの存在感にニヤけてしまう。
しかし〜今回は、仲野太賀に尽きる。
助演男優賞ノミネートは間違いない!
☆分かる人は分かるネタ↓
お父さんは、ショッカーだけど、彼は仮面ライダーになる日も近い☆彡
*2021年からインスタにもこのレビューと同じHN『eigatama41』で、投稿開始( ^ω^ )!
映画好きの皆様〜作品談義等はそちらに宜しくお願いします。
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