「あまりにも残酷で…余韻半端ない。だからプラスに考えてみた」すばらしき世界 みんごりらさんの映画レビュー(感想・評価)
あまりにも残酷で…余韻半端ない。だからプラスに考えてみた
映画評論家でもなく、なんなら読書感想文が大の苦手だった自分がいうのもなんだが、胸が苦しいほど残酷な結末だと思ってしまった…
観終わって丸一日経った今でも、思い出しては苦しく、ずっとモヤモヤしていた。
こうして、レビューを書くことで精神保とうとしているのかもしれない。
色んな箇所で感情移入。数えきれない。
施設で涙する三上にも、背中を流すシーンも。
喧嘩して動揺して逃げてしまった津乃田にも。
他にも色々と。
とにかく純粋でまっすぐな性格で。
就職祝いで皆に言われた“受け流す、聞かない、逃げる”などの掟を、己を殺して守り抜いた真面目さ。皆の顔に泥を塗るような事は本当にしなかった三上。
どんどん成長していく。
同じアパートの外国人とも挨拶交わしてうまくやっており、仕事も順調、教習所でも実技が上達していき、元嫁から連絡が来たり食事の約束も。
順風満帆になってきた矢先に…
スタート地点に立ち、ようやく“普通”になってきたというのに。
嵐の中、洗濯物を混んで姿が見えなくなって「えっ、やだまじかーーーーーーーーつらーーーー」と、つい声を出してしまった。
そもそも持病ありながらチャリ通勤も心配だったが、階段急いで駆け上がって血圧上がってしまったのかな。(そうであって欲しい)
こういう結末だから面白いとか、ありきたりじゃないから評価が良いのかもしれないが。
ハッピーエンドが好きな自分としては、もうありきたりでもいいから、マジであのタイミングで死なないで欲しかったわ〜。辛すぎる。
お花持ち帰って部屋に飾って欲しかった。
阿部ともう一度お話しするシーンも欲しかった。
免許も無事に取得して、送迎の仕事もやって欲しかった。
津乃田も小説を書き終えて出版して欲しかった。
三上の母親、見つかって欲しかった。
リリーのように息子を迎えに行く、というようにせめて三上の母親も本当は迎えに行く予定だったがその前に病気で他界…みたいな展開であって欲しかった。
最後、アパートの外で全員が落胆していて、カメラは空を向ける…
えっこれでおしまい?!呆気ない!
観てるこちらも落胆よ。
せめてさ、置き手紙とか日記が見つかったりとかさ、その後のみんなのストーリーがあってもよくない?!津乃田と三上の思い出シーンとかさ。
まぁその後はご想像にお任せします、ってのが、映画鑑賞プロの方たちにはたまらないのかもしれないけど、素人(笑)の自分には、ちょいときつすぎました。
えっと、とにかく辛すぎるので、
考え方を少し変えてみようと思います。
(映画鑑賞プロはこれが簡単にできるのかとしれない…だとしたら尊敬でしかない)
あの場で息を引き取ったおかげで、誰の顔にも泥を塗らずにすんだ。
もし、三上が次の日に出勤してから、また同じような虐めの現場を見てしまったら、今度こそ本当にモップで殴りかかってしまっていたかもしれない。
ある意味、美しく息を引き取る良いタイミングだったのだと思う。
再び刑務所の中や、ヤクザとして死ぬのではなく、優しさで摘まれた花の香りをかぎ、最後に愛する人の声を聞いて空に旅立ったのだから、三上にとってこれ以上の幸せは他ないであろう。
実際は、残酷な現実・世界だが、三上は純粋でまっすぐな心を持っているからこそ、純粋に、“すばらしき世界”と想いながら、最期を迎えることができた。
そう感じて、悔いはないと息を引き取ったのであろう。
みんな、まっすぐ生きよう。
組には絶対入っちゃだめだよ。
世の中色んな人がいるから、まだまだ諦めないで。
まだまだ這い上がれるよ、大丈夫!
と、伝えてくれているのかもなあ。
最後に一つ言えることは、
仲野太賀さん演技うますぎるし、
役所広司さんが、とにかく凄い!!!!!
素晴らし過ぎる演技力。
世界の役所広司さんなだけある!
あ〜、文章化して気持ちがだいぶ落ち着いたわぁ(笑)
こういう映画観たあと、テレビとかでその俳優さん(役で死んじゃったとか)見ると安心するのは自分だけ?(笑)