「自分ごとの範囲」すばらしき世界 ひろみちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
自分ごとの範囲
2日連続で役所広司作品を鑑賞。役所広司凄いわ...
作品の所々で綴られている現代社会についての解釈がメッセージ性を強く帯びて自分の中に取り込まれてく。
世の中の大半のことには目を瞑り、他人事だと決めつけてやり過ごす。結局は自分ごとのなかで生きている。ここからは自分には関係ない。悪いと分かっていても巻き込まれたくない。今ある社会の枠組みから外れたくないから。だから一度外れたものを許せないし、哀れみの目で見ることしか出来ない。
自分が普段生きていると忘れている、というか、気にも留めてなかったこと、今の社会に蔓延る根深い闇を描いてくれた作品。
作中に出てきた人々が語っているこの現代の社会の視点は、
別にこの作品を観たからと言って、何か自分の行動が、意識が変わるわけではないけれど、そういう視点があり、そこでもがく人々がいて、その人に手を差し伸べたいと思う人がいるということを、頭の片隅に置いていきたい。
三上さんみたいに自分ごとの範囲が広く、色んなところに目を瞑らないとこの社会で生きていくことが難しい人もるし、社会から外れたくない想いが強くそういう自分に真っ直ぐな人を少し羨ましがる角田みたいな人もいる。どちらにとっても生きづらい世の中だけど、そういう人が繋がったとき、そんな世界がすばらしい世界になるんだと思う。
役所広司の演技力が半端じゃない...
この人の凄さを体感する作品と言っても過言ではないくらい、この人の世界には引き込まれる。