劇場公開日 2021年2月11日

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「久しぶりのすばらしき邦画」すばらしき世界 ボブさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5久しぶりのすばらしき邦画

2023年11月26日
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胸がつまる映画だ。どの登場人物も存在感がはっきりしていて過剰な演技をしない。これは現在の邦画ではあまり見られないスタイル(最近の邦画は何事もオーバーで見てられない)。西川監督作品は今回がはじめて。人物描画がブレることなく的確に描くから説得力がある。キャメラも秀逸で人間性を鋭く捉え、時折り幻想的かつ詩的なショットを映す。役所広司さんが今回もまた素晴らしい。元ヤクザが直面する現代社会との苦闘を演じているが、役所さん自身の人間性がそこかしこに滲みでている。PERFECTDAYSでも思ったけど役所さんの笑顔はチャップリンのあのチャーミングな笑顔と似ていてほんとに魅力的だ。ラストショットもしごく秀逸。ここでも余計なことは一切しない。悲嘆にくれる人たちをそのまま撮っているから返って強烈だ。また、キムラ緑子さんという女優の演技が強く印象に残った。貫禄や寛容さが濃くて素晴らしかった。こういう邦画がもっと出てくれたら、と願う。

ボブ