劇場公開日 2021年2月11日

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「山田洋次監督が描けなかった…」すばらしき世界 たま21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0山田洋次監督が描けなかった…

2022年1月26日
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 全くだめな映画じゃないと思う。
 これ大前提。

 ただ、予告などでも言われる現代社会へのメッセージと捉えるのは如何なものかと。
 本作の主人公は人を殺めたことへの反省、謝罪、後悔は一切無い。出所後の様々な困難も、言ってみれば自業自得。反社の人間に補償は出ない。出たら納税者が黙ってない。また免許失効も本人次第(確認はしてないけど、何らかの方策あったのでは)。
 さらに言えば、反社組織との間をふらふらする有様。その組織と手を切ったのだってたまたま。
 だから、あまりこの主人公に共感できない。
 正直鑑賞後はしばらくモヤモヤしてた。
 スクリーンで見る限り、とても魅力的な主人公(もちろん役所広司の力)。ただ実際周りにいたら迷惑極まりない人物。
 そんな主人公に手を焼きながらも見捨てられない優しい人達。
 ふと気づいたのは、それって日本人なら多くの人が好きな「男はつらいよ」の車寅次郎ととらやの面々じゃないか!と。
 寅さんは本作同様、何処か安い民宿の畳の上であんなふうに…亡くなったんだろうな、などと思いを巡らせてしまう。

 山田洋次監督が描けなかった「男はつらいよ」の最終回。
 それが私の結論。

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たま21