「山田洋次監督が描けなかった…」すばらしき世界 たま21さんの映画レビュー(感想・評価)
山田洋次監督が描けなかった…
全くだめな映画じゃないと思う。
これ大前提。
ただ、予告などでも言われる現代社会へのメッセージと捉えるのは如何なものかと。
本作の主人公は人を殺めたことへの反省、謝罪、後悔は一切無い。出所後の様々な困難も、言ってみれば自業自得。反社の人間に補償は出ない。出たら納税者が黙ってない。また免許失効も本人次第(確認はしてないけど、何らかの方策あったのでは)。
さらに言えば、反社組織との間をふらふらする有様。その組織と手を切ったのだってたまたま。
だから、あまりこの主人公に共感できない。
正直鑑賞後はしばらくモヤモヤしてた。
スクリーンで見る限り、とても魅力的な主人公(もちろん役所広司の力)。ただ実際周りにいたら迷惑極まりない人物。
そんな主人公に手を焼きながらも見捨てられない優しい人達。
ふと気づいたのは、それって日本人なら多くの人が好きな「男はつらいよ」の車寅次郎ととらやの面々じゃないか!と。
寅さんは本作同様、何処か安い民宿の畳の上であんなふうに…亡くなったんだろうな、などと思いを巡らせてしまう。
山田洋次監督が描けなかった「男はつらいよ」の最終回。
それが私の結論。
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