「絶対すばらしき世界などならないが願望を混めて3点」すばらしき世界 優一さんの映画レビュー(感想・評価)
絶対すばらしき世界などならないが願望を混めて3点
役所広司は相変わらず演技が上手く、
脇を固める俳優陣も素晴らしい演技を披露する
そこまで涙を頂戴するベタな展開ではなく、
ギリ現実にありそうな物語が進行していくが、
どうしても山場がないので個人的にはインパクトに欠けて
鑑賞者を圧倒する何かが足りない
老いた刑務所あがりの元ヤクザが
生活保護を受けながらも世間と関わり合い
知り合う人々と交流を繋ぎながらも
途中で元ヤクザの血が騒ぐというのが
大きな流れだが、
だからどうしたの? という感じだ
なぜなら、この映画を絶賛する人に問いたいが、
あなたは刑期を終えた人殺しと親密に付き合う事は出来るか?
少しの意見食い違いで激高する男と
俺は腹を割って定期的に付き合うのは絶対に無理だ
で、そのような現実・事実がありながらも
なぜかこの映画に登場する一般人は皆、
妙に親切で温かい
そして半グレや現役ヤクザや半端者には
やけに現実の残酷さを突き付ける
タイトル・すばらしき世界とはまるで
こんな悪者を排除した世界こそが理想のように
語っているように思えてならないが、
でも違うだろ
そんなヤクザがいるからこそ、こんな作品が
誕生したのではないのか?
ラストシーンも含めて、どうも小市民が求める
安心安全な世界を作ろう作ろうとする気持ちが
強すぎる
腑に落ちないシーンはいくつもあり、例えば
生活保護を受給するのは良いが
だからといって今時あんなボロアパートに住む
保護者はまずいない
家賃補助があるのだからいくら東京でも
風呂付のもっと良い物件がいくらでもある
それをしないのは橋爪演じる弁護士の怠慢
免許証失効で役所広司が警察署?の受付で文句を言う
シーンなどはその典型で、
長年ムショぐらしの男がこんな常識を知らない訳がない
なぜなら囚人同士の会話で免許失効は鉄板中の鉄板だからだ
白竜演じるヤクザが立ち上がるまで片足切断に
役所が気付かないのも強引過ぎて辟易
そして極め付けは生活保護のケースワーカーが
役所アパートに何度も足を運ぶ点で、
現実的には精々半年に一度ぐらいで
それも元ヤクザのムショ上がりに進んで訪問するなど有り得ない
これらを無視して絶賛するほど素晴らしい映画とは言えず
ただただ役所広司が頑張る映画で完成している
最後に俺なら
カップラーメンではなくマルちゃん正麺を叩きつける