「コメディ&サスペンス&・・・」すばらしき世界 naomayuさんの映画レビュー(感想・評価)
コメディ&サスペンス&・・・
元喧嘩屋のやくざが、カタギの世界になじもうともがく話。特に大きな事件が起こるわけでもない。
ただ、原始的な暮らしをしていた種族が、初めて文明社会に足を踏み入れたギャップで笑わせるコメディ要素と、主人公三上(役所広司さん)が直情的になってどんなことをしでかすかわからないサスペンス要素が混じっていて、飽きさせることなくストーリーが展開していく。
で、私たちはカタギの世界に馴染めない三上を笑いつつハラハラしながら見守るが、実はおかしいのは三上ではなく、この世界ではないか、三上は人として当然のことをしていて私たちのこの世界のほうが歪んでいるではないかと思わせてくる。
そして、津乃田(仲野太賀さん)の成長物語でもあり、風呂場で三上の背中を流すシーンは、あえて三上の顔を入れることなく撮られていて、痺れる切り取り方だった。
自分は100%「歪んだ世界」の住人であることが恥ずかしいと思いつつ、仕方ないと思いつつ・・。
西川美和監督の新たな傑作であることは間違いない。”ヤクザ映画”だからと躊躇うようなら、そんなことはないので是非観てほしい。
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