「圧倒的役所広司」すばらしき世界 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的役所広司
「偏見」という表現が「悪」であることを知りながら、我々はあえて「レッテルを貼る」ことによって対人の不安を解消していたりもする。
学歴・人種・肌の色・職業・経歴・宗派・支持政党…
そのどれもが、その人物の本質を何ら表さないと知っていてもなお。
普遍的な善人などというものはいない。
悪人も同様に。
役所広司扮する三上は、正しいと思うが故にルールをはみ出してしまう。
ルールを侵すモノが一律「悪」ではない。
ルールを守るのがいつも「善」でもない。
長澤まさみ扮するディレクターは言う。
「撮らないなら割って入って止めろ。撮るなら伝えろ。その場から逃げ出すのは最低だ。」
橋爪功扮する後見人弁護士は言う。
「その場から逃げ出したっていい。」
梶芽衣子扮するその妻は言う
「世の中は我慢の連続だ。耐えられなくなりそうなら私達を思い出せ。」
正解なんてない。
ただ、自分の居場所がほしい。
2時間ずっと、私は三上を好きになったり嫌いになったりしながら進んでいった。
でも、やっぱり彼ら社会的弱者が幸せになれる社会がいい。
俳優達の素晴らしい演技に拍手。
心の中に様々な種類の「ああ…」が溢れ続ける映画だった。
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