劇場公開日 2021年2月11日

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「不器用で、真っ直ぐな前科者」すばらしき世界 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0不器用で、真っ直ぐな前科者

2021年2月20日
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鑑賞方法:映画館

先日鑑賞した、『ヤクザと家族』もそうだが、こうした男の生き様を美化してはいけないとは思う。どちらも、刑務所から娑婆に出てからの社会の仕組みになかなか適応できない生き難さに、フォーカスしている。しかし、刑務所に入るまでは、人の道を外した生き方をしてきたのだから、そのハンディを負う中で生きなければならないのは、仕方ないことなのだろう。それは、ジェンダー問題とは別物だと思う。

とは言え、そうした男・三上を主人公に据えて、不器用で真っ直ぐな心意気の一人の男の生涯を通して、ヤクザあがりの人間にも、生きていくための受け皿と立ち直る権利が行使できる社会の必要性も、訴えかけてくる。また、三上がヤクザとなった根底には、幼い頃に置き去りにした母のトラウマによるものであるというのは、現代社会への警鐘とも言える。

また、娑婆では外れ者の三上だが、そんな彼に何とか手を差し伸べる人がいるのも事実。今度こそ、真っ当な道に導こうとする人々の優しさと思いやりを通して、観る人の心情に訴えかけてくる、ヒューマン・ドラマとしても、西川監督が仕上げている。何度か熱いモノが込み上げてきて、正にタイトル通りの『すばらしき世界』でエンドロールを迎えて欲しかったのだが…(涙)

そして、何んと言っても役所広司の演技は、やはり素晴らしい。瞬間湯沸かし器のような性格の三上の喜怒哀楽を見事に演じている。ヤクザあがりで現代社会には通用しない男のそこはかとない哀愁を、背中で演じることができる役者は、他にはいないだろう。コメディー、ミステリー、任侠…と、何を演じても一流だ。

もう一人、冴えないジャーナリスト役の中野太賀は、最近、あちこちの作品で重要な脇役として顔を見るようになり、父・中野英雄の血を引く演技で、これから楽しみな俳優だ。

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2021年2月20日

中ちゃんさん(^^)初めまして。こちらこそ、フォローありがとうございます😊
レビュー、やめないでくださいね。同じ意見を読んで、「そうそう」と共感できる仲間がいるからこそ、より一層映画を楽しめるとと思います。

bunmei21
2021年2月20日

共感とフォローありがとうございました😊前から拝読していて、似た意見をお持ちだなと、勝手ながら思ってました。拝読した後、ほとんど同じだなと思ってレヴュー書くのやめた映画もあります。

中ちゃん
bunmei21さんのコメント
2021年2月20日

悠々同盟さん(^^)その通り❗️やはり入れ墨のあるその手の人には、関わりたくはないものです。

bunmei21
悠々同盟さんのコメント
2021年2月20日

お返事ありがとうございます。
まさに、そうですよね!映画だから観て楽しめるけどこれが近所の人だったら、怖くて近寄れないと思います。刺青あるだけで恐怖の特別視してしまいます。
なかなかほんま物の方とは実際には接点ないもんねー

悠々同盟
bunmei21さんのコメント
2021年2月20日

悠々同盟さん(^^)ヤクザと家族のレビューも覚えていていただき観劇です。この手の人々を、決して認めてはいけないというのは、誰も同じでしょうね。
あくまで、ヒューマンドラマの映画として、役所さんの演技を楽しむことができました。

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2021年2月20日

talismanさん(^^)いろいろ考えさせられますが、暴力では現代社会においては、通用しない事だと思います。

bunmei21
悠々同盟さんのコメント
2021年2月20日

コメント失礼いたします。
ヤクザと家族にも書いてらっしゃいましたが
ヤクザや、前科者を美化してはいけない、元々ヤクザ映画はお好きでない
全く同意見です!
なので、ヤクザと家族とこの映画は鑑賞いたしましたが、カッコいい部分でない、その後の苦悩が描かれていて観れました。
苦悩は自業自得なんですけどね。。

悠々同盟
talismanさんのコメント
2021年2月20日

激しく同意のレビューです。あとをひく映画でした。

talisman