トラフィッカー 運び屋の女のレビュー・感想・評価
全7件を表示
実際にありそうな話
アイスランドとデンマークとスウェーデンの合作
この映画を一言でいうと
「麻薬密売に失敗する話」
邦題は内容と合っていません
運び屋の女ソフィアは、特に自分から行動を起こす訳ではなく
麻薬を運ぶ為に移動したり、
大量の麻薬タブレットを飲み込んで気持ちが悪くなったり、
そのせいでアトリから逃げようとしただけで、
密輸に関わる兄弟の話の方がメイン
刑務所帰りのアトリはスキンヘッドで筋肉質、
見た目暴力的に見えるけれど
実際は、お金の為に麻薬の運び屋をやっているシングルマザーの
ソフィアを気遣ったり
悪になりきれない情があったり、状況判断力にやや欠けていて
それゆえ逮捕されるような「ヘマ」をやらかしてしまう
如何にもエリートで頭のきれそうな弁護士の兄のエリックの方が
暴力に躊躇いがなく、人への思いやりに欠けていて、
平然と殺人を犯す、死人に自分の罪をなすりつけて難を逃れる
この対比が、ありがちなのに説得力を持っているのは
役者が役どころをよく理解していて、演技を演技と感じさせない
リアリティが感じられるからでしょう
とても地味な話なのに展開が気になって目が離せない
言葉少なに多くを語るスタイルがいい
それぞれの登場人物の心情がよく伝わってくる中で
麻薬捜査官レナがひとりで危険を冒すのはちょっと
無理があると感じました
結末ありきのような
レナという人物が描き切れていないのか、私が何か
見過ごしたか
映画全体に漂っている、どうしようもない重苦しさや
緊張感や不快感やハラハラ感・・・
麻薬の密売の現場で、「失敗」する場合は結構こんな感じ
なんだろうな・・・
凡ミスや情や思惑が絡んだり・・・とても人間臭い
そして、実は、こういう事が実際に少なからずあるのではと思った
麻薬絡みの映画って、大体組織的に手慣れた感じで
話が展開することが多いじゃないですか、
そこに外部から妨害が入るパターンで
そういう意味では、視点に目新しさを感じた
登場人物を絞り込んだのも良かった
負の感情や場面が多いのでお薦めとは言いにくいのですが、
見て損したとは思わない
二度見ようとは思わないけど一度は観てもいい
映画ではないかと思いました
母親の姿を観て、悲しくなりました。
麻薬ビジネスに手を染める兄弟と、その兄弟に雇われ麻薬を飲み込むことで運搬する女性の逃避行。
サスペンスというよりは、人間の悲しい性を描いた人間ドラマです。
胃の中の麻薬を吐き出せず苦しむ女性。その女性に同情しながらも病院に連れていけない弟。エリートでありながらお金に窮し悪事に頼る兄。そして、高齢にも関わらず、麻薬に溺れる兄弟の母。ラストの救いのなさを含めて、鑑賞していて暗く沈んだ気持ちになります。一度深みにハマるとこのように沈んで行ってしまうのでしょうね。
映画としては地味ですし、サスペンスとしての面白みも感じませんが、観た価値はあるように思いました。
死体はくるんでずらしただけで良いの?
弁護士でありながら多額の借金を抱える兄と、逮捕歴のある弟がシングルマザーの女に麻薬の運び屋をさせるなかで起こる数々のトラブルを描いた物語。
90分くらいの長さは個人的にとても好きなのだけれど、登場人物の背景等の説明にもう少し時間を割いて欲しかったかも。
あと、内容からして仕方ないのだけど、あまりキレイでないシーンが多いのもキツかった(笑)
メインキャラのソフィアはキレイな女性なのだけれども。
弁護士という立派な仕事がありながらも、逮捕歴のある弟よりも兄の方がはるかに危ないやつだったことや、弟とソフィアが少しだけだけど心を通わせるような描写は良かった。
余談ですが、映画はたくさん観るものの、登場人物の顔と名前をしっかり把握するのが苦手なので、キャストが少ないのは助かるのだけど、兄の仕事のパートナーと、弟の見た目が凄い似ていたので途中かなり混乱してしまった(笑)
何で残した?
事務所の金を使い込んだ弁護士の兄のと刑務所から出所したばかりの弟というアイスランド人兄弟が、ポーランド人シングルマザーの若い女性にラッピングしたコカインを飲ませて密輸するも、なかなか出てこず巻き起こる話。
機内で気分を悪くした女がトイレで嘔吐。
アイスランド入国後、ホテルに入った後も体調異常は継続し2日が経過する中で、機内で嘔吐した際に紛失した1個が発見されたことから警察に追われることになっていくストーリー。
弁護士という肩書きから一見マジメそうな兄貴が荒ぶり、前科者の弟が気遣いや情をみせるの面白い。
だからこそ前科者になったのかも知れないが。
それにしても邦題と作品のイメージが全然一致しない…。
少しテンポがだるめなものの終始緊迫感のある展開で、救われなさも良かったけれど、優秀な感じの刑事が妙に突っ走ったラストへの流れや、その状況での女のリアクションがしっくり来ず。
結果そうであってもそこへの理由付けがもうちょいあったらね。
悪くはないけれど響かず刺さらずだった。
この映画には”希望・優しさ”という言葉は、存在しない。
何と例えたらいいのか?分からない程に冷め切った映画作りが成されていて、ただ変化のないシナリオに腹を立てる訳ではなくて、かえって潔さも感じる。運び屋のシングルマザーの女性がいかにも飲み辛そうな麻薬入りのカプセルを飲む場面から始まり、終始、えずいたり、今度は吐き出そうにも吐き出せない不快感からだんだんと顔色も悪くなっていく様子を見ていると映画を見ている立場の方が、憤りや不快感がず~ッと続く感じがして、終いにはどうにかしてほしくなる。
人物の描き方も刑務所から出所したての弟のほうが、人間的には、最後の砦の人道というものをわきまえていて、それが小悪党とされる所以か?その反面、同じ兄弟なのに弁護士である兄のエリックのほうが後先や人の命なんかを何とも考えない知的・自己中人間に映ってしまっている。
そんな二人を追うのがマリヤーナ・ヤンコビッチ演じるリナ特別捜査官。彼女の存在がこの映画を何とも言えない憂欝感に縛り付けるもう一つの要因で、彼女の徹底した言葉をそぎ落としたような演技が、彼ら兄弟をジリジリと追い詰めていく過程を見ているだけで映画から目を背けることのできないものにしている。
ちょっとしたほころびから、兄弟の麻薬の密輸計画やお互いの妻や子供との家族のつながりさえも破綻していく殺伐とした様子がアイスランドの風景や太陽が昇っているのかわからないような暗い雰囲気が、この映画の肝と言えるものかもしれない。それとアイスランドの捜査官はトランクに小さな金庫を備え付けて、そこに拳銃を保管しているシーンも出てきていました。余談として。
全7件を表示