ラスト・クリスマス : 特集
映画.com編集部がオススメする、クリスマスシーズンに必見の感動作!
“人生に迷走中”の女性に訪れる奇跡の出会い、隠れていた本当の幸せ…
脚本は「ラブ・アクチュアリー」出演のオスカー女優 人間ドラマにも注目!
大ヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のエミリア・クラーク主演のロマンティックコメディ「ラスト・クリスマス」が、12月6日に封切られる。「ラブ・アクチュアリー」などで知られるオスカー女優エマ・トンプソンが原案・脚本・出演と3役を果たした渾身の一作は、笑って泣けてキュンとする、このシーズンにピッタリの感動作に仕上がった。
クリスマスシーズンに必見な“3つのワケ”
物語、風景、音楽… すべてが最高に素敵でロマンチック!
主人公のケイト(クラーク)は、英ロンドンのクリスマスショップの店員だ。華やかに飾られた店内で小妖精(エルフ)のコスチュームを身にまとうが、ケイトにハッピームードは皆無。家族と仲たがいしたことで、友人の家を転々とする荒れた生活を送り、仕事に身が入らない。そんなとき、窓の外の青年にふと目が留まる。それが、ケイトの運命を変える男性・トムとの出会いだった――。
トム役をヘンリー・ゴールディング、クリスマスショップのオーナー(通称:サンタ)役をミシェル・ヨーが演じ、「クレイジー・リッチ!」の“親子”が再共演! 物語を大きく動かすケイトの母ペトラ役を、原案・脚本のトンプソンが自ら演じている点にも注目したい。
☆ 不思議な魅力を放つ青年トムとの出会い―― 止まっていたケイトの人生が動き始める!
ケイトは、子ども時代に旧ユーゴスラビアからイギリスに逃れてきた移民。本名のカタリナ、母親、自らの過去そのもの……多くを嫌いながら、歌手を夢見てオーディションを受ける日々を送っている。しかし努力不足が露呈して落選し続け、自暴自棄になって友人たちにも自分勝手に振る舞い、さじを投げられてしまう。そんなケイトが出会ったトムは、自分とは正反対の好青年。笑顔で空を見上げ、ケイトの顔に落ちてきた鳥のフンさえ「幸運だ」とあくまでポジティブ。そんなトムに対し、はじめは怪訝な表情を浮かべていたケイトだが、一緒に過ごすうち、頑なだった心は徐々に溶かされていく……。
☆ 誰もが知る「ワム!」の名曲「ラスト・クリスマス」を映画化!
本作は、ジョージ・マイケルとアンドリュー・リッジリーによるポップデュオ「ワム!」の、クリスマスの定番曲「ラスト・クリスマス」にインスパイアされたオリジナルストーリー。歌詞を読み返すと、ケイトに起こるトムとの奇跡の物語のヒントが隠されているかも……? ほかにも、「ワム!」の「恋のかけひき」「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」、マイケルがソロになってからの大ヒット曲「フェイス」「ファザー・フィギュア」などがちりばめられ、クリスマス×恋の予感でワクワクが止まらない! なおオリジナル・サウンドトラックは、すでに販売&デジタル配信中。映画鑑賞前に楽曲を味わえる!
☆ クリスマスムードなロンドンの日常を体験!103分の“ロンドン旅行”気分にトムは誰も気が付かないような街の素敵スポットを見つける達人。いつも下ばかり見て歩いていたケイトに「上を見てごらん」と語りかけ、クリスマスムード漂う冬のロンドンの魅力を紹介してくれる。クラシカルな街並みを辿るふたりと一緒に、石畳の路地や小さな公園に迷い込み、観光地だけではないリアルなロンドンの様子を見られるのも本作の醍醐味。映画館で103分の“ロンドン旅行”を体験しよう!
【ネタバレ厳禁!】
2人が抱える“ある秘密”… そしてケイトが見つける“本当の幸せ”とは?
ケイトがオーディションに失敗して落ち込めば散歩に誘って励まし、友だちの家を追い出されたと聞けば優しさから(?)ホームレスシェルターに連れて行き、次のオーディションのためにスケートリンクに忍び込むというドキドキも提供してくれるトム。
いつしか、荒んでいたケイトにあたたかい光を灯す存在になっていたトムだったが、いつも気まぐれに現れては去ってしまう。一方のケイトも、トムに打ち明けられない秘密を抱えていた。ふたりが近づこうとすればするほどすれ違うのはなぜ……?
☆ ケイトの謎
・クリスマスショップのオーナーは、「昔はいい子だった」と証言
・自分の過去を明かさず否定的
・救急車で運ばれたことがある
☆ トムの謎
・ケイトがピンチに陥ると現れるが、前向きなときには見つからない。
・携帯電話は棚のなかに仕舞ったままで持ち歩かない
・ホームレスシェルターでケイトに新しい仲間を作ろうとする
・ケイトの愚痴に同意も否定もできず、困惑してしまう
☆ クリスマスの夜、2人に奇跡の時が訪れる…
仕事やホームレスシェルターでのボランティアにも精を出し、家族や友人たちとの関係も見つめ直して、ケイトは徐々に“トムに誇れる自分”へと変わっていく。なかなか会えずにいたトムと再会したとき、はじめて自らの過去をさらけ出す。昨年のクリスマスに起こったある出来事、そのことへの複雑な感情、自暴自棄になった理由……やっと真実を伝えられたのに、トムが悲しそうなのはどうして――?
【編集部レビュー】映画ファン必見、ただのロマコメと侮らないで!
オスカー女優E・トンプソンが物語に込めた現代社会へのメッセージと願い
「クリスマスのロマコメか~、もうそんな季節か~」。そんな浮かれた気分で試写室に入った。高揚感とキラキラ感、ハラハラして、キュンキュンして、103分の幸せを楽しんだらそれでおしまい……そうなることを想像していた。だから、まさか、エンドロールで涙を拭いながら、自らの人生観に思いを馳せることになろうとは思いもしなかった。
原案・脚本は、「いつか晴れた日に」で第68回アカデミー賞脚色賞を受賞したトンプソン。女優としてもアカデミー賞、ゴールデングローブ賞をはじめとする、権威ある賞に度々ノミネート・受賞してきた(本作では主人公ケイトの母親役で出演もしている)。そんな実力者が紡いだのは、現代の「クリスマス・キャロル」。そして自分を見つめ直し、償いとともに人生を立て直す女性の姿だ。
ロマコメの幸福感のなかに、貧富の差、難民の生活、セクシュアルマイノリティの立場、薄れゆく家族の絆やアイデンティティと、現代社会が抱える問題を巧みに織り込んだ。すぐ隣で山積するそれらの問題をよそに「自分は不幸だ」と嘆く主人公に、「ねえ、本当に?」と囁きかけるトンプソンの声が聞こえてきそうだ。
映画を見たあと、「持っていないもの」ばかりに目をやるのではなく、「持っているもの」があること自体に感謝した。ケイト、そして私たち皆が必要としているものは、すでにその手に握られているかもしれないから。本作にトンプソンが込めたメッセージに気が付けば、きっと私たちは、自分が思っているよりもずっと幸せだ。(映画.com編集部)