劇場公開日 2021年3月5日

「「麒麟」の次は「龍が来る」。」ラーヤと龍の王国 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「麒麟」の次は「龍が来る」。

2021年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

何か強い目的があって困難な旅に出て、最後にその目的を達成してハッピーエンドになるという、いわゆる「冒険活劇」は、展開を心配せずに安心して見ていられる。設定やパターンを変えれば、割とストーリーは作りやすいだろう。今作の特徴は、舞台が東南アジアのようであること、現代的でユニークな「龍」をメインのキャラクター化したこと、主人公のラーヤに「信じる心を取り戻す」という物語のテーマを具現化する役割を与えたことの3つに集約される。
「龍」は元々、権威の象徴であったり、不思議な霊力を持った聖的な存在とされる。しかしここで登場するシスーは龍のくせに特別な能力は何もなく自分を卑下している。ラーヤは友達だと思っていた少女に裏切られ、人間不信になっている。そんな二人(一人と一匹?)のコンビがとても面白く、クライマックスでトラウマのようなものを乗り越えた瞬間はとても効果的で胸に響くものがある。
壮大なスケールを持った映画なので、2時間余りに集約するのは少し無理があったように感じた。まだ映画に集中できていない冒頭で物語の核心をあっさり説明されても、子供たちは理解できただろうか。始まりが分かっていないと、「信じる心を取り戻す」というテーマがスルーされて、単なるアクション物語になってしまわないか心配だ。

ガバチョ