ソウルフル・ワールドのレビュー・感想・評価
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「生まれる意味」すらも考えさせる、テーマの射程の広い一作
年齢を重ねること、生きる意義について問い直すこと。ピクサーの作品は個々人の目線でこうした普遍的かつ成熟したテーマを扱うことが少なくありませんが、本作はそうした方向性の作品の、集大成的な作品となっています。
不慮の事故により「死後の世界」に足を踏み入れかけたガードナー(ジェイミー・フォックス)は、ジャズミュージシャンとしてステージに立つという夢をかなえるため、何とか人間の世界に戻る(生き返る)べく奮闘します。
ガードナーと、人間に生まれる前の魂であるソウルの一人、「22番」(ティナ・フェイ)との二人三脚の旅は、ある時はそれぞれの思惑の行き違いから困難を招き寄せてしまい、また別の時は協力と機転で危機を乗り越えていきます。
いわゆる「バディもの」の定番的展開として、面白いんだけど特に独創性を感じないかな、と思ったのは序盤まで。ガードナーが執着する「生きる目的」それ自体の意味を問い直す場面から、物語は大きく転換していきます。誰がガードナーにどのような言葉を投げかけるのか、一連のやり取りにはぜひとも注目してもらいたいところ。
そして手と手を取り合い続けてきたガードナーと22番が終盤に下す一つの決断は、展開自体は予想できるものの、やはり心動かされるものがありました。
生まれる前の魂が集う場所がある、という設定に、『君たちはどう生きるか』との共通性があるという点も興味深いです!
劇場鑑賞出来てよかった
生きる煌めき
映画館で見れる機会を設けてくれて、本っ当にありがとう!!!!!
この映画のためにDisney+に登録したのも、今となってはいい思い出。個人的に「レミーのおいしいレストラン」に並ぶ、ピクサーの最高傑作だと思っている。今回で2回目だったけど、やっぱり凄い。これほどまでに生きることに前向きになれる映画はかつてない。踏んだり蹴ったりな音楽教師が、生死の境を彷徨ってなお、何故生きたいと思うのか。22番の疑問の真理。何度も挫けて、何度も立ち上がっても、また躓いてしまう。人生はそんなことばっかりだけど、それでもやっぱり世界は素晴らしいもので溢れているし、生きるって何より美しい。
人生に大切なのは、安定した生活?いつも変わらない日常?家族を安心させること?いいや、違う。自分自身の生きがい、煌めきを探すことだ。この世には22番のような、何をやってもワクワクしない人だっているだろうし、逆に熱中しすぎたがあまり囚われてしまう人だって多くいることだろう。でもそれは、踏み出す勇気と目の前にある課題に重みを感じているから。悩み事なんて、辛いことなんて、この大きな世界から見ればちっぽけ。それなら、人生楽しんだ者勝ち!浜野謙太と川栄李奈の声と、可愛らしいユーセミナーの世界に聴き見惚れながらも、あと一歩の戸惑いに思いっきり背中を押してくれる、最っ高の映画だった。チャンスは何度だってある!
魂になってわかる“生きる”ということ
音楽教師をしながらジャズピアニストとして成功することを夢見るジョー・ガードナーはついに憧れの舞台に立つチャンスをつかむが、その日不慮の事故に遭いあの世の世界へ。
なんとしても生き返りたい彼は生まれる前の魂の集う場所に迷い込み、そこで生まれる事を拒否する魂「22番」と出会い――
昏睡状態となった自らの肉体に戻ろうと「生きる」ことに執着するジョーの魂と
これから生まれる魂であるはずが「生きる」ことに否定的な22番の2つの魂が
悪戦苦闘する中で互いの立場に思いを巡らせるようになり
「生きる」ということについて自らの答えを見つけていく物語。
あの世でもありそして次の命として生まれる魂の世界の描き方が新鮮で興味深い作品。
やっぱり良作
観た後に味がする、大人向けエンタメ
正直に言うと、観賞直後はあんまりピンと来てなかった。
いつもどおり、エンドロールをボンヤリ眺めながらお話を思い出してみていると、悪役は出てこない、大きな願いが叶うワケでもない。もっと言えば、この後、主人公達が幸せになったかどうかも分からない。
あれ?
「幸せ」って、敵を倒したり、夢が叶って脚光や名声を得たりすることだっけ?それだと、大多数の一般人は幸せじゃないってことになる。
床屋のシーン。
すごく良かった。
別の仕事を目指したけど、いろんな事情で床屋になった。でも、今すごく幸せなんだって。
「何か実績を残さないと存在価値がない。」
「結果が出なければプロセスも無意味。」
「モブ」ではダメ。「メイン」でなきゃ。
「夢は叶えてこそ意味がある。」
大人になっていくと、学校や親・会社といった他者はもちろん、自分自身によって、そんな圧力で追い詰められながら生活する時間がどんどん長くなる。
いつの間にか「チャレンジすることに意味がある」なんてフレーズさえ古臭く感じるようになった。
もう猫も杓子も「結果出してなんぼ」。
でも、世の中の人たちって、みんな何かを叶えたから笑顔でいられてるのかな。
路上でギターをかき鳴らす若者も、道端で看板クルクル回してるおじさんも、「そこにある幸せ」を享受してるんじゃないの?
今の閉塞した日本では、大谷翔平とか藤井聡太とか、何かを成し遂げた人がその人格含めてこれまで以上に一方的に称賛されるけど、成し遂げてない人が不幸せなワケじゃない。
どんなに諭されても「煌めき」を見つけられなかった22番が、人間社会の日常に触れて感じた喜び。
「それ、ただの日常じゃん」
そう、それだ。
煌めきなんて、何か特別なものである必要はない。
夢を追うことも人生なら、それが叶わなかったこともまた人生の一側面。
我々をはじめ、多くの大人が「成し遂げなかった」ことを「恥」や「後悔」といった『呪い』にしてしまってはいないか。
これまで散々「夢を持て」「願いは叶う」と繰り返して来たディズニーが、それによって必然的に発生するストレスをケアしてくれてるのかな。
3年前にコロナでこの劇場公開を見送った事実はどうにも納得しがたいが、ここしばらく「Perfect Days」とか「夜明けのすべて」とか、日常に着眼した傑作が続いた分、この時期の上映は特に良かった。
そしてラスト。
ジョーの
「一日一日を大切に生きるさ」
サイコーな明言でした。
またしても泣いてしまった
ピクサーやっぱ凄いなぁ
【ソウルフルワールド】ついに見れました。
2020年に公開される予定がコロナで中止になってたこれ。
(※以下、若干ネタバレあり)
めちゃくちゃ心に響いた上に
ピクサーの絵の綺麗なことに驚き❗️
まるで実写かのような立体感や質感。
素晴らしいアニメ技術もここまで来たかと感銘。
ストーリーは、プロのジャズピアニストを夢見て頑張ってきた音楽教師が、ついに夢叶い舞台に立つ直前で事故に遭い、死後の世界へ。
そこは、これから生まれようとする魂たちの世界で、主人公は死にきれずに彷徨ううちに、「生まれたがっていない」魂の1人と出会い、一緒に現実世界に向かうことに。
生きることの喜びや
何気ない日々の美しさ。
季節の風を感じながら、空を眺めたり…
初めて食べるピザの美味しさに目を丸くしたり…
「生まれたがっていなかった魂」が初めて経験する世界は、私たちにとっては当たり前のことばかりなんだけど、改めて気付かされる【その素晴らしさ】
何のために生まれるのか?
何のために生きるのか?
普遍のテーマの一つの答えがこの映画にはあるような気がします。
夢を追うことももちろん素晴らしいけど、
たとえ夢がなくたって、生きているだけで、
もう、夢叶ったようなものなんじゃないかって私は思えました。
目くじら立てず、優しく生きていきたいな。
美味しいご飯を「美味しいな」って食べる喜び。
あぁ、桜めっちゃ綺麗やな!って素直に思える心。
暑いな、寒いな、色々あるけど、それも命あるからこそ。
昔、不妊で子供を持つことを諦めた友達が「私は子孫を残せないから、その代わりに何か大きな手柄を立てて名を残したい」と言っていたけど、それももちろん彼女の自由だけど、なんか無理してる感じがして、違和感感じたのを思い出した。
私は普通に生きていけたらそれでいいかなー
日々の小さな楽しみの積み重ねでいいかなー
劇中に出てくる床屋の友人の言葉がすごく響いたなぁ。「若い頃目指してた職業には家庭の事情でつけなかったけど、今こうして誇りと喜びを持って床屋してるよ。俺幸せだよ』みたいな事言うんだけど、スーパー説得力あった。
この映画に出てくる、黄金色の銀杏の葉が眩しいほど美しくて、実にリアルで、「生まれたがっていなかった魂」が『生と死の狭間ゾーン』で目を覚ますきっかけになるキーアイテム。
やっぱり自然美に勝る美しさはないと思うし^ - ^
果たして主人公は生き返ることができるのか?
彼の決意を見てください。
あと、音楽もすごく良かった。
期間限定で公開中。
生きることの素晴らしさ
日常という名のきらめき
コロナ禍で叶わなかった劇場公開の実現で待ちに待った鑑賞
インサイド・ヘッドなどでも見られた擬人化アニメーションで今作のテーマは魂(ソウル)
より人間のディープな部分を可愛らしい映像で描きつつ、観る側への共感も盛り込まられていてさすがPIXARの一言に尽きる
今回は現実世界も半々で映されるのでツッコミ所もあるがご愛嬌の範囲でいやらしさを感じない点も⭕️
ストーリーは人生を懸けてきた音楽(ジャズ)の大舞台を前にメンテナンスホールに落ちてしまい魂と化した音楽教師ジョーと生きる意味が見出せず何百年も現世に出発できない根っからの魂“22番”の視点で動いていく
現世に戻りたくて仕方がないジョーの魂と死んでも(生まれてすらいないが)現世に行きたくない22番が「きらめき」と呼ばれる生きる意味や生きる価値を探しにいくという冒険譚的なお話
最終的に行きつくメッセージの普遍性が心地よくも心に深く刺さる
「人生って輝かしくて素晴らしい!!」と手放しで謳う讃歌という訳でもなく、皮肉めいた表現もあり、これまでのPIXAR味にピリっとスパイスが効いている感じの後味が良かった
それを意味するにこの作品にヴィランは登場しないが、誰の心の中にも暗い部分があると感じさせる
ただそれすらも克服して、人生の主人公は自分だけなんだと思わせる素敵な物語でした
これからも映画を観れる事の幸せを噛み締めたいと思います
ありがとうございました
ユーモアたっぷりで描くソウルフルな世界
ピクサーの映画を劇場で観るのは『トイ・ストーリー3』以来…ジャズをモチーフにしている事と浜野謙太さんが声をやっているという事で気になり劇場に足を運びました。
あの仕事ができたら幸せだろう、大金を手にしたら幸せに違いない…そうではなく毎日の中に心を満たす何かはあるんですね。
ピザの味、気の知れた友人との会話、家族の愛、五感ですべてを感じ楽しんでいた22番の姿がとても良かったです。それに気付くことがとても大切で大事なことだと改めて感じさせられました。
ジョーの回想シーン、本当に良かったなぁ…
こっちの魂が震えましたよ。
生きる意味を模索しながらユーモアもたっぷり入っていてさすがピクサー、粋です。
コロナ禍で劇場公開が延期になっていたという事で、劇場公開となり良かったですね!
きっとこの先もまた観たくなる作品です。
★同時上映の『夢追いうさぎ』もめちゃくーちゃ可愛いです。
百点
いや、良かった。ほんとに良かった‼️
アニメは基本評価が高くないと見ない私。
漫画は大好きなんですけど。
するんだったら実写化にして欲しいと思ってるくらい。
それでもディズニー系列は比較的立体っぽいので好きです。
そんな私が頑張って観ました。(笑)朝早かったの!
のっけ主人公イケメンじゃないじゃーん、やだなぁ。なんて見始めたのに
もう最初からワクワクして、完全に童心に返ってた。遊園地にいる気分。帰りたくないよぉ〜。
一緒に泣き、一緒に笑いました。
でもこれ、パーフェクトデイズと同じテーマ?
ミドルエイジクライシスをずっと引きずってる私にはイマイチあっちは腑に落ちなかったけどこちらは納得?できました。見せ方?
わかってるんだよ、生きてるだけで丸儲けってさ。
でも焦るの。
こちらはさりげなかった。寄り添ってくれた。
ポリアンナみたいによかった探ししてもいいかな、と思えた。
夢を追い求めないことの幸せが心に響く
死んでしまった人間が、生き返るために奮闘する話に、特に目新しさはないのだが、見終わった後に感じるメッセージは、相当にユニークだ。
普通だったら、生前に残してきた未練、すなわち、叶えることができなかった「夢」を実現させてハッピーエンドとなるところだが、この映画は、叶うかどうか分からない「夢」よりも、平凡な「日常」に目を向けろと訴えるのである。
自分自身に、夢を追い続けた経験が無いせいか、夢が叶っても心が満たされないという感覚には、今一つ実感が持てないものの、日常の些細な出来事に嬉しさや楽しさを見い出すことの素晴らしさは、その通りだと納得することができる。
それと同時に、夢を叶えることは、幸せになるという「目的」を達成するための「手段」のはずなのに、夢を叶えること自体が目的化してしまい、かえって不幸になってしまう危険性すら理解できるのである。
確かに、夢が叶わなかった不遇を嘆き続けるよりも、日々の生活に満足し、喜びを感じる方が、間違いなく幸せな人生と言えるだろう。
そこには、ヴィム・ヴェンダースの「PARFECT DAYS」にも合い通じる、ミニマルな人生観を感じ取ることもできる。
映画としては、死者の魂、生まれる前の魂、幽体離脱?した生者の魂が混在する「魂の世界」についての情報量が多過ぎて、なかなか理解が追いつかないのだが、生き返りたい主人公と生まれたくない「22番」の冒険になってからは、バディ・ムービーとして楽しめる。
主人公の体の「22番」と猫の体の主人公とのドタバタ劇はスリルがあって面白いし、ジャズの演奏シーンも、見応え・聴き応えに満ちているが、前述の通り、主人公が夢を叶えただけでは終わらないラストの展開には、正直、驚かされた。
それだけに、「1日1日を大切に生きる」という主人公の言葉が、殊更、心に響くのである。
ピクサーが送る人生讃歌。
大人こそが観るべきアニメ映画
人生とは?夢とは?仕事とは?色々考えささられる映画です。
序盤で主人公が死ぬシーンから始まる驚きの展開でスタートします。
主人公は「生きる意味が無ければ生きている意味がない」という考え方ですが、相棒や周りの人などからの影響を受け人生についての考え方を改めるという内容です。
この映画を観て、人生、生活には気付かないだけで幸せや発見に満ちているのだと思いました。
理髪店でのシーンが特に印象的で、アメリカの黒人社会では理髪店が一種のコミュニティの場所になっており主人公と店員の会話の中で人生観を語るシーンが胸に刺さりました。
主人公がジャズのピアニストということもあり、劇中でのピアノ演奏が物語とマッチしており没入感があります。まさに"ゾーン"に入ったような感じを体験できます。
逆に子どもだと共感出来ない部分も多数あるので子ども向けのアニメーションではないかも知れません。
登場キャラクターのテラーの移動シーン登場シーンがユニークかつ斬新なのでそこにも注目です!
大人向けピクサーの先駆け
生きるってこと自体が素晴らしい
Disney+で配信はされていたものの、今まで未視聴で今回の劇場公開はすごく楽しみにしていました。
主人公ジョーが突然死生を彷徨う状態になり、22番との出会いによって、様々な示唆を得る内容なのですが
実に深い内容だと感じ入った次第です。
ジョーの体に22番が入り込み、ジョーの魂は猫に入りこんでからの
22番の体験・体感が「生きているってそれだけで素晴らしい」的な気づきをあらためて得ることができるんです。
そこがこの映画のメッセージでもあり、伝えたいことだったのだろうと私は思いました。
〜をするために生まれた・・・というフレーズが幾度も出てきますが、そうじゃなくて
生きていること、それ自体の素晴らしさ、初めての体験価値の素晴らしさ、そこに着目し、その素晴らしさに
気づいたときに、この映画の本質を理解でき、心に沁みる映画になりました。
2020年に観ていたら、それはそれで心にぶっ刺さる作品でしょうが、
劇場で観ることに価値を感じる映画でした。
素晴らしいです。是非、たくさんの人に観ていただきたい作品です。
傑作!人生観においては納得する部分ばかり。
ジャズミュージシャンに成る夢を捨てきれずにいる音楽教師のジョーが、ひょんなことから魂の世界に迷い込み、そこで22番という生まれる前のかなり捻くれ者の魂に出会うことから始まるストーリーです。
なんとかして現実世界に戻りせっかく掴んだジャズの世界でチャンスをモノにしたいジョーと、なんだかんだ言い訳しながら有史以来?この世に生まれることを避け続けている魂の22番・・・二つの魂が交わることで生じる化学反応、そして周囲の個性的で愛らしいキャラクターも花を添え、ストーリーを味わい深いものとしています。
特に納得したのは人生観です。普遍的でシンプルなものほどその理由付けは困難極まりないはずなのに、難なくやってのけました!
例えば、理想的な人生を歩むことが出来なかったらそれはまるで無意味である・・・ということを誤りとして全否定する作品はこれまでも沢山ありました。だけど大概それらは説教臭くかつ綺麗事を並べるだけで信憑性が乏しいものばかりでした。
しかし本作は全世代全方位に対し、エンタメの遊び心を十分に利かせながらすんなりと、まるで空から降り注ぐ陽光のように温かみをもって伝えてくれました。
後半、感情的に煽って泣かせようとするシーンなどはほとんど無かったはず。なのに、「あー、こういう魅せ方されたらアカーん」と終始丁寧に紡がれた演出の罠にハマって涙が溢れて止まりませんでしたよ(笑)。
ほんとうに素晴らしい作品です。デズニーの配信だけでしたらまず見る機会がなかった作品でしたので、期間は開きましたが劇場公開してくれたことに心から感謝してます。
ありがとうございました!おすすめです!
生きて行くと言う事は…
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