マロナの幻想的な物語りのレビュー・感想・評価
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落書きの様なキャラクターはヒエロニムス・ボス♥をリスペクト
手描き風のCGと手描き風のバックを重ねて撮ったフルCGアニメーションである。
手描きの絵を手描きのバックにテクスチャして、モーションアニメとした創造物ではない。
そんな事をやってるアニメーターが、ロシアにいるので、少し安易さを感じる。確かまだ完成できなくて、資金が底を尽き、この戦争で困窮していると言ったドキュメンタリーをついこないだ鑑賞した。
それは兎も角、このアニメーションは色々な絵画をリスペクトしていると思った。
ゴッホ、モンドリアン、マチス、シャガール、ブリューゲル、そして、ヒエロニムス・ボス♥
もう少し、明るい色を控えめにして、淡い色で描いても良かった様に思う。フランスは印象派の国なのだから。もっとも、フランス語と言うだけで、フランスではない様に思う。多分、ヒエロニムス・ボスを意識的使っているので、ネーデルランドだろう。
犬は人間の幸せを願ってる
メインビジュアルみて、可愛いコアラと思ったら犬だった。やったー、さらに可愛いじゃん。吹き替え版でみたら、なんと能年玲奈の声だった。当たりで嬉しいし、めっちゃこの映画にハマってる。
この映画は犬派でも猫派でも何派でも、大丈夫。観終わった後はペットを大切にする心がより重層された感覚になる。
映像は絵本の世界が動いているみたい。人間の手足や服の模様がヌルヌルと動いたり、車に牙が生えていたり、ユニークな世界観。鮮やかな色彩や優しい絵のタッチとは裏腹にストーリーは胸をチクチクとさせる。
能年玲奈の厭世観のある語り口で、犬は無邪気で元気なものだというのは、思い込みだったと感じさせられる。「犬の幸せとはこういうものだ」と、ちょっと離れた視点で犬の人生を語るのは自分を卑下しているような、していないような。人間を第一にした犬の人生軸が、なんとも切ない。こんなにいつも人間のことを考えているのに、いつも人間に振り回されている。それが愛玩動物の定めかも知れないが、それなら十分に責任を持って可愛がられたい。
のん
2023年7月8日
映画 #マロナの幻想的な物語り (2019年)鑑賞
ハート型の鼻を持つミックス犬マロナの生涯を、手書きをベースとした独特なアニメーション表現で描いた長編アニメ
ナインからのアナからのサラからのマロナとなりました
アートな感じのアニメでした
改めて、愛犬を愛していこうと思えた作品
2年前くらいにテレビでたまたま放送されていて、不思議なアニメーションだなぁ…と何となく見始めたら止まらなかった。
それからしばらくして、また観たいなぁ…と思い出す機会が増えて、DVDを購入。
久々に観たら、やっぱり切ないけど、観るべき作品だったなぁと再確認。
マロナがとても可愛くて、だけど身勝手な人間たちに翻弄される、とても悲しいストーリー。
それでも犬って一緒に過ごした飼い主のことを覚えてるんだなぁ…ラストは涙が止まらなくなる。
我が家にも愛犬がいるから、幸せだったと思える犬生になるように、この子との時間を大事に過ごしていかなければいけないと再認識する作品。
動く絵本
ルーマニアのアンカ・ダミアン監督。
現代アートのよう。
幻想的であったり、
影絵のような夜の闇だったり、
とてもチャーミングな絵の連続。
血統書付きの白い大型犬が恋したミックスのペキニーズがお母さん。
私の名前は、9(ナイン)
9人兄弟の末っ子だからナイン。
生後12日目にお父さんの飼い主に捨てられた。
そして拾ってくれたのが、曲芸師のマノーレ。
とても不思議な姿。
赤い顔に黄色い肌。
体中に赤い縦線が血管のように走っている。
曲芸師なのでメッチャ体が柔らかい。
貧乏な曲芸師のマノーレはある日「月のサーカス」に誘われる。
“お前を捨てたりしないよ“
そういうけれど私は彼の幸せを願って身を引くのだった。
アニメーターさんの頭の中は《イメージの洪水》
顔も手も水色のイシュトヴァン。
塵溜めにいた私を拾ってくれた心優しいイシュトヴァン。
工事現場監督の年老いたお祖母ちゃんは酷かった。
皿を投げつけ、ガラス瓶を割ってひっくり返して、
私は瀕死の重症を追う。
イシュトヴァンの元も去ることになり、
片目パッチの女の子サランジュの家に貰われる。
ここでもお祖父ちゃんに捨てられそうになる。
このお祖父ちゃんのビジュアルが物凄い。
歩き方はクチでは言えないほどカックン、カックンしている。
そう言えばイシュトヴァンのお祖母ちゃんの顔も、
梅干しをクチに含んだように皺くちゃで灰色だったり、
(年寄りを酷く醜く描くのは悪意がある)
やっぱり夜の光景が一番好き。
影絵や切り絵のようでとてもロマンチックで素敵。
宇宙を現す球体や世界観はとても美しい。
ハート型の鼻をした犬の私。
女の子の私は、
9(ナイン)→アナ→サラ→マロナ
と呼び名が飼い主に寄って変わり、
マロナが愛するほど飼い主はマロナを愛してくれない。
好き勝手に飼ったり捨てたり・・・
ラストも切ない。
マロナの消え行く記憶の中に、
長いようで短い犬生(けんせい)が、
走馬燈のように宇宙を巡っただろうか?
犬が暗喩するもの
テレビで視聴。
はじめは退屈だと思って観ていたが、いつのまにかひきこまれて見ていた。
献身的な犬と身勝手な人間たちが切ない。
犬の気持ちや考え方って、庇護されなければ生きていけない立場にある人々、「子供」「女性」「病人」「老人」の暗喩なのではないかと思った。
庇護されているがゆえに強く自己主張することができなかったり、処世術として「耐える」「やり過ごす」という考え方をしていたり、男性原理的な思考では不合理な行動をとったり、進歩や成長より安定や安心を好んだり、といったところで感じた。
そういったいわゆる社会的弱者の、ある種の純粋さ、プライド、矜持、といったものが、歪んで見えたり、もどかしく思えたり、やはり切なく思えたりする。
もちろん究極的な弱者とは、暗喩でもなんでもなく、「犬」に他ならないが。
「子供のとき、こんな風に世界を見ていたな」などとも思った。
おそろしくてわけが分からなくて不安でいっぱいだったが、ギラギラとカラフルで、不思議なものでいっぱいの世界。
アニメーターと撮影方法も凄い
芸術的な元絵や、儚さ溢れるストーリーも素敵だが、動かし方と撮り方が他にない表現で引き込まれた。
手足が曲がって伸びたり、階段を這ったり、幼少期にこんな感じで世界を捉えていたことを思い出した。
アニメーションに加えて、制作側で表現のルールも厳しく課して作られていて、ひとつとして主人公の目線以外での他の人物を描かれることが無かった。
その意図を受けると、描かれる世界が2D→3Dに、より写実的に徐々に変わっていくのも、主人公の成長と繋がったものだと感じた。
ジブリのかぐや姫が独特な手書きのアニメーションの表現に挑戦したように、この作品は別の方法で、手書きを活かした動きが新鮮だった。劇団イヌカレーに少し近い。
イシュトバンのトラックに乗っているときマロナを探してますっていう看...
イシュトバンのトラックに乗っているときマロナを探してますっていう看板がありませんでした?
絵がとても独特でした。
まるでシャガールの絵のよう
軽やかで鮮やかな色彩と映像に目が奪われた。
マロナの表情と仕草が愛らしい。
曲芸師マノーレと過ごした幸せな時を回想するマロナの心情が切ない。
自分本位な人間社会で、懸命に生きるペット達の心を思った。
-犬の人生の特徴
それは常に待たされること
Eテレを録画にて鑑賞 (吹替版)
なんだか自分を投影して居た堪れなくて、哀しい‼️❓
場違いですが、犬死したくない、そう思う。
犬とは無縁の人生ですが、こんな飼い主も多いのでしょうか。
なんだか、世知辛い世の中だと思う。
ノンの声が、無機質のように感じて、余計に苦しいです。
残酷なのかファンタジーなのかよくわからないアニメで熱が出そうです。
元気な時に、どうぞ。
泣いた・・!
何本かまとめて借りたDVDの一本。
予備知識はほとんどなかったが、冒頭から涙、涙!
そりゃ俺、動物好きで最近、涙もろくなってるからって・・、卑怯だろ、こんな展開(笑)。
タイトルは「幻想的な物語り」ってあるけど、話はむしろ現実的。
舞台を日本にしても十分ありうる話。
幻想的なのは絵、アニメーション。
様々な技法で仔犬の見る世界が描かれている。
日本のアニメやディズニーしか見た事ない人にも、是非、体験して欲しい。
時間が短いので何回も繰り返し観る事が出来る。
う、思い出すと、また涙が・・(笑)。
独特のデザインと色彩が、オーソドックスなお話を引っ張っていく、犬の一代記です。
アートな色使いの作品だなと思っていました。
「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」の制作者が
プロデューサーと知り、すごく興味が湧き
駆け込み鑑賞してきました。
絵柄(デザイン・色使い) が独特・特徴的で、
そちらに目が向いてしまうのですが
物語(ストーリー)はすごくノーマルな印象です。
9番目に生まれたワンコ。 すぐに捨てられてしまう あら。
その後何人かとの縁があって一緒に暮らすものの
平和な生活が長くは続かない。 うー
3番目に出会った少女に拾われ
この家では恐らく数年間暮らすことが出来たようなのですが
散歩と思って出かけたら
少女は自分を途中の公園の木につないで
一人でバスに乗ってでかけてしまう (デート…かな?)
少女の乗ったバスを追いかけ、
ようやく追いつくのだが、車に轢かれてしまうという…
少女の目の前で…
…
という、この作品
ストーリーが始まるのもこの場面から。
「人間のように人生を巻き戻してふりかえりたい」
との願いに応えるようにお話が進み
そして、この場面で終わる
まさに 「あるワンコの一生」 なのでした
振り返ると
特に目を引くようなエピソードにあふれた
ストーリーという訳ではないです。
ですが
それをそう感じさせないのが
「絵の表現力」 です。
曲芸師 (2番目の飼い主) の体は
スライムかタコのようにクネクネと動くし
街並み全体の表現自体が
「まどか☆マギカ」 の魔女空間のような色彩
(…見た方には何となくでも伝わるかな と)
色彩に酔ってしまいそうな、
何ともいえない不思議な味わいの作品なのでした。
万人受けする作品ではない
そう思いました。
観る人を選ぶ作品なのかな、と。
◇
余談
のん(能年ちゃん)
可能な限りオリジナル言語で観たいと思っているのですが
今回観たのは吹替え版。
マロナの声は能年ちゃんでした。
飄々とした話し方、いつもと変わらぬのんちゃんでした。
彼女の声を聞くと、和みますねぇ ほっ
次の出演作の予告もやってました。 楽しみ。
こげ茶の犬
マロナ、画面上では
「白と黒」
に見えていたのですが、ときおり出てくる説明では
「こげ茶」
エンドロール中に「こげ茶の犬」の画像が
出てきたのですが
その犬がマロナのモデルなんでしょうか?
(言いにくいですが 似てない …汗)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
切ない絵本
画がサイケデリックというか、、
それはそれなりに新鮮に目に映りますが、
眠たくもなるというか、、
内容もそれほどというか、基本、恵まれないベースのお話で、『僕のワンダフルライフ』のダメ飼い主集みたいな、、
字幕版を観まして、(昔に挨拶程度と数字の100までを覚えたことがあるのですが今は)ヒアリングしてもその意味はほぼ不明な おフランス語特有の耳を撫でられるような独特な節回しの響きが、お洒落でもありまた眠気も誘うのですが、能年ののんさんなら吹替え版でも良かったかも。
産まれた時から哲学者
現代アート+哲学ですもん。犬目線で人間社会を風刺的にチクりと刺しますが、これが切なさのツボを突くと言う、記憶に無い体験でした。
人と一緒でなければ生きられない犬。人の身勝手さや優しさ。ただ、それだけの紙芝居は現代アートとフランス的哲学の大道芸。イシュトヴァンパートの夜の公園や、ソランジュパートの天国への螺旋階段とか、最高に素敵。
のんの淡々としたテンションの吹き替えが、この世界観にドンハマりで、魅力的でした。
切なくて綺麗だった。とっても。
わんこのキラキラな瞳
カラフルでイラストっぽい絵に騙されてはいけない。実はえらくリアルでシニカルな作品。なので、見終わってじわじわと効いてきて、思い出すと泣けてくる。
犬の笑顔、困り顔、諦めた顔、人を見上げる瞳、期待する表情など、犬の仕草や行動をよく描いている。それに、実写だと犬に負担がかかるからアニメにした可能性もある。でも、実写じゃない方がかえって伝わる気がする。スタッフはきっと犬を大好きな人ばかりで、悲しい境遇の犬を減らしたいのかも。「犬を幸せにしてえええ」という叫びが聞こえる。
はっきり言って、この映画に出てくる人間は、ダメな人ばかり。経済的にも精神的にも余裕がないのに、安易に犬を受け入れてしまう。で、結局飼育崩壊。日本中、世界中に、マロナのような犬がいる。目の前の人を100%信じて、裏切られても恨むこともしない。ひたすら待って、少しでも振り返ってもらえば、全身で喜ぶ。犬でも猫でも小鳥でも、みんな安心して暮らしたいし、幸せになりたいと願っている。どうかその願いが叶いますように…。
商業的な作品ではないので、上映館も多くないし、上映期間も短いと思うが、なるべく多くの方に見ていただきたい。
マロナを抱きしめたい
大きな瞳とハートのお鼻のマロナを思うたびに悲しくて悲しくて(電車では思い出さないほうがいいです)
こんなに胸が痛いなら観なければ良かった?…いえいえ、出会えた喜びしかないんだ!
マロナの言うとおり、この世の本質は哀しみで、ひともやはり自分の力ではどうにも抗えないことに押し流され、金の粒のような奇跡的な時間をただむなしく費やしている憐れな存在なのか。
でもそこにある喜びの輝き
帽子の中でマロナがこぼした涙
そこからの宙にも昇る気持ち!
朗々とクレープをこしらえる老婆
ちょっとプレスリーみたいに格好良くなるイシュトヴァン
おじいさんに敬礼!
あやしい猫とは添い寝の仲良しに。
あのひとの匂い
あなたを見守る、追いかける
いとおしい姿
ずいぶん前に、フェリーニの『道』を観たあとの気持ちってこんな感じだったような…。
海外アニメは字幕を選ぶほうですが、今回はまず吹替版を、後に新文芸坐で字幕版を観ました。
どちらも忘れがたい程素敵でしたが、本作は吹替によってより魅力を増していたと思えました。のんさん小野さん良かったです!
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