「必死に泣かそうとしてくる映画」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 しおまるさんの映画レビュー(感想・評価)
必死に泣かそうとしてくる映画
原作未読、テレビシリーズは全て観たうえで映画館で一度鑑賞。
テレビ放送されたので再度鑑賞しての感想です。
映像が綺麗、キャストがしっかりしているのは他にもたくさんの方が書いている通り。そこに異論はありません。
ただ、一本の映画としてはどうなんだろう…
一つは「死」の捉え方。家族の死と再びの別れ、そして煉獄さんの死を泣かせポイントとして必死に泣かせようという演出を盛り込んで来ます。「泣け!おい泣けるだろほら泣け!」と詰め寄って来る印象。
はっきり言って安直。そもそも鬼の存在で死がありふれた世界観において、大した出演機会の無いキャラクターの死で皆さんよく泣けるなと…
ほとんどこの映画が初登場のような煉獄という人物。戦闘ものの作品で、戦うことを生業とするキャラクターが敗れて命を落とすという展開。 その戦いに必然性は無く、ふらっと現れた猗窩座と戦い、刺し違えてでも倒そうとするも及ばず… はっきり言って虚しさしか残りませんでした。
これに対し、「200人の乗客は誰も死ななかった」から偉いと。
これが名探偵コナンなら200人を救った価値は大きいのですが、残念ながらこの世界は鬼滅の刃。日常的に鬼が人を食っている世界。死の重さが全然違う。
構成にも違和感が残ります。
タイトルの「無限列車」で、魘夢との戦いがメインと思わせておいて、結局そのあとの戦いがメイン? 原作に縛られているのかもしれませんが、1本の映画としては構成が中途半端。前述の虚しさと合わせて、後味が悪い…
これはあえてなのかもしれませんが、触手等のCGが安っぽく、絵と異質過ぎて不自然。絵とCGのハイブリッドな表現等、技術的にはもっと凝ったことができたはずが、安上がりな異質感の表現に逃げたように感じました。
総じて、鬼滅の刃が好きで仕方ない人、映画をあまり観ない人にだけウケる映画なのだと思います。ただ、今のご時世その母数自体が膨大であるためヒットしたということなのでしょう。
なんてこった。
投稿者様とハンドル名が似てて、あたかも身内かご本人の別アカウントで書き込んだみたいになってしまって申し訳無いです。
私は、当然投稿者様とは別人です。
全くもって仰る通り。
自分も身内に薦められたので、後追いでTV版を(楽しんで)観て余りの映像美に圧倒され、
一気に観て落ち着いた頃に違和感を覚え、
色々突っ込み所の多さに気付き冷めて行きました。
この作品がきっかけでアニメのファンが増えた、オタクが増えたと称賛する意見も散見しますが、
薄くチョロい層が増えるのが果たして業界の為になるのか甚だ疑問です。
斜陽となった邦画の二の轍を踏んでいるような悪寒が走ります。