「原作に忠実の良し悪しあり。」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 osashimiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0原作に忠実の良し悪しあり。

2020年12月30日
スマートフォンから投稿

TVアニメ、原作漫画とも目を通して鑑賞。

もともと漫画ではあっさりしていたこのエピソード、アニメにする段階で視覚的に内容を深め、大いに化けさせていると感じます。

しかしながらあくまでも原作に忠実なため、2時間の映画作品としては限界があるのも事実かと。

●炭治郎と杏寿郎、主役がふたりいて、それぞれのエピソードのつながりが薄い。
●魘夢の過去エピソードがなく、メインの鬼退治のカタルシスが弱い。

細かいことを言えば、SLなら運転室には機関士と機関助士の2人いるはず。また、雑魚鬼には裂けない設定の隊服なのに、炭治郎が人間からの千枚通し攻撃で大怪我するのはちょっと情けない。猗窩座登場以降のハードロック調のBGMも、それまでのレトロな夜汽車の雰囲気を無遠慮に吹き飛ばして、二部構成感を強調しがち。

なお、動く列車は映画向きの題材と言われますが、主戦場が客車内の本作では、列車の移動感やスピード感はさほどアクションには生きていないと思います。途中、街も停車駅もトンネルも橋もなく、乗客を後方車両に集めて切り離すといった列車ならではのアイデアも出て来ません。

原作に忠実なTV版があっての映画版だったなら、多少のアレンジが効いたかもしれず、少し惜しいと感じました。

しかし、それでもなおこれだけ人を惹きつける『鬼滅の刃』のキャラの力って、ただただスゴいです。実際、伊之助はとても良かった。

コメントする
osashimi