「煉獄さん…」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 にょむさんの映画レビュー(感想・評価)
煉獄さん…
すごい勢いで200億興収達成おめでとうございます!
勿論"流行ったから傑作"という訳ではありません
コロナ御時世、上映タイミングの勝利もあります
原作未読、アニメ未視聴
なので映画ファン視点でレビューします
原作があって完結してて、アニメの続編で、原作にあるエピソードというなら、映像化にあたって改編があるのか?どういう演出・構成になるのか?が影響するのだと思いますが他レビュー読むと大きな改編はなさそうですね
演出・構成に関してはもたつきを感じた人もいるようですが私には軽快に感じました
冒頭数分の"コレまでのあらすじ"がないのは新規ファンを想定していないわけではなくて、原作やアニメで予習可能ですしそもそも興味ない人は観に来ませんからね
そもそもこの作品は"TVアニメの続き"を劇場でやりましたという体裁なので、映画として見るという視点には無理がある
ファンではない私でも流行ってるのは知ってましたがまさか映画がコレ程までに世間から脚光を浴びる事になるとは…
でもここまでウケた理由はわかりません←
この作品が映画として素晴らしいと感じたのは「主人公の成長譚」とした点です
そこら辺のテーマに食傷気味の人には不向きですね
実際、この映画ラストの師弟関係の構図はヒロアカ映画1と同じです
私の大好物、クローズドサークル要素のある走る列車内が基本的な舞台ですが、客は眠らされるのでそもそも逃げようもなく、費用対効果としては敵はあんなに入念な下準備までしたのに色々と残念だねってもやもやします
主人公らも夢に閉じ込められてそこから出られない・出たくないというむしろこのクローズドサークルは興味深いのですがエルム街の悪夢を彷彿させます
それと猪と金髪の夢エピソードが雑で落胆
ここはもっとひろってあげたい
そして妹の存在は知られてなかった?
というか妹は切符切られてないので無賃乗車?
(というか妹は鬼だから隠してたの?)
列車上での「これも夢かも?」のくだりでは、本当に敵が見せるべき夢は、(これは作中でも言ってたけど)主人公が敵を倒す夢じゃないの?
(とは言えこのネタは聖闘士星矢やグラップラー刃牙にもあったので結果的にいわゆる被りネタ回避に)
夢からの目覚め方は過激過ぎるんだけどそこに主人公の覚悟を感じさせたし、序盤はいい夢を見させて後々胸くそな悪夢を見させるという悪趣味さもなるほど性格悪い
死んだ者は生き返らない
ジャンプっぽくないとか思ってる人もいるみたいだけど、"柱"だとか、主人公らの能力のカテゴライズとか、敵のレベルの高低がラベリングされてるとことか完璧にジャンプスメルしかないよ
だから煉獄さんが死ぬくだりで涙ぐみながら思ったもんね
こんな時にドラゴンボールがあればっ…!
いやホントに
強さのインフレに関しては仕方ない
でもそれがメインの話じゃないからドラゴンボールとは違うのもわかる
アカザが突然現れたのは作劇上の御都合主義でしかないが、煉獄さんが逃げずに戦ったのは200人の乗客を守りたかったからだと分かる
煉獄さんが人間なのにあそこまで鬼を追い詰めたのは凄みを感じたし、今回の勝負内容で言えば、再生能力前提の戦い方のアカザは身体を何回もバシバシ斬られててもノーダメージというだけで実際に目を見張るような戦い方はしていなかった(つまり実質的には何回も負けてる)
太陽光を嫌って逃げるブザマな姿や煉獄に負けそうで焦る様などを見ると、生への執着はあっても強さへの探究心は感じない
あくまで体力差のある相手に強さのマウンティングをしているだけにしか見えなかった(この戦いではね
一方、片目を失いみぞおちに穴があいてる煉獄には迷いがなく自分の生き方を"役目"だと言い切り、アカザの「お前も鬼になれ」という誘惑を断り、生に対する未練を見せなかった
この腹を据えた覚悟が鬼との戦いに緊張感を与えたのは間違いない
ここをさ、今の子供達がどう感じたかがこの映画の肝だと思うんだけどね
少なくとも30歳過ぎてこの映画をつまらないとだけ酷評してる大人はアカザみたいな奴だろうね
(つまらないと思うだけならそれは自由)
PG12だからこそこれは子供に見せる為に作った映画でしょう
大人が観たら既視感しかないけど、誰もが通る道であるとしたら、逃げるアカザに叫ぶ主人公の台詞が全てを物語っているよね