「万人受けするジョジョ的人間賛歌」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 やっつんさんの映画レビュー(感想・評価)
万人受けするジョジョ的人間賛歌
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アニメ以降、先を知らず鑑賞しました。
僕としてはアニメは一通り観たものの、何がそこまで人を熱狂させているのか分からず、どちらかというとブームを客観視していた方で、同僚等の誘いもあり、付き合いで映画館に向かいました。
ところがこの映画は、まるで無限列車の動力のように、すさまじい勢いでストーリーが展開し、心を揺さぶられるシーンが連続します。
斬っても斬っても再生を繰り返す敵の前で、人はただ無情に傷を負い続け、それでも前を向くことをやめない。
常に敗戦必至の状況の中、気高く命を燃やす若者達の姿は胸を打ち、自分はそんな誇りある生き方が出来ているのか自問自答させられる。
そして強さや誇りだけではない。特筆すべきは主人公竈門炭治郎の深い優しさだ。
鬼への恐怖により、悪に染まってしまった人間に対しては、後ろから刺されても構わないという慈悲深い精神を持ち
鬼の能力で歪曲した竈門家の悪夢を見せられたときは、家族との幸せな記憶を踏みにじられた怒りが爆発して「俺の家族をぉぉ侮辱するなぁぁぁ!!」の言霊とともに斬り捨てた。
家族を食い殺されて全てを失っても、真っ直ぐに生きれる、命を燃やすことのできる人間が、映像の中とはいえ存在していることが素晴らしい。
そしてそんな主人公にも負けない、時には上回る魅力を持つ登場人物が多数、燃え盛る旅の途中で出会い、作品の中で生きている。
本作の終着駅で歌が流れた時どっと疲れるのは、観客がその2時間、確かに命を燃やしたからに違いなく、それからの人生を力強く歩こうと誓うからだろう。
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