「皆芝居の密度が凄い」はるヲうるひと 白波さんの映画レビュー(感想・評価)
皆芝居の密度が凄い
今や都市伝説のような、あの島を舞台とした作品。
島という物凄く閉塞感のある、先の見えない暮らしの中で生きる人たちの偶像劇です。
物語の軸となる兄弟3人を始め、皆芝居の密度が凄い。もうそこが見所でしょう。
ボケてない佐藤二朗がすっごい新鮮で、だからか余計に強烈な印象がありました。
芝居のテンポは同じなのですが、笑いの隙が一切ないので見ていて緊張感があります。
そして山田孝之の演技がずば抜けている。
特に山場となる独白のシーンは、瞬きするのを忘れてしまうように魅入っていました。
この作品、二人の芝居で回っているといっても言い過ぎでないでしょう。
終始諦めの中で生きる人々を描いているのですが、これが観ていてちょっとしんどいですね。
そんな本当先の見えないような島の暮らしなのですが、そこにミャンマーが良い風を入れてくれるんです。
そしてこのミャンマーが割と物語のキーになっていて、やっぱり笑顔でいる事って大事なんだなって教えられました。
そして、それを感じ取ったのか最後は笑い合っていましたね。
母が言っていた「笑え」の教えのように。
この作品、とても初監督とは思えない仕上がりで、次作にも大きく期待してしまします。
何というか佐藤二朗という男の、新たな側面をしっかりと目にしました。
やっぱり観る人を選ぶテーマや作風だと思いますが、とても心に残る良い作品でした。
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