悪なき殺人のレビュー・感想・評価
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巧みな脚本と編集による新たな群像劇のフォーマット
失踪した女性と間接的に関わる5人の男女一人一人の視点で物語が進み、時間軸や場所を超えて絡み合い、伏線を回収しながらすべてがぐるりと繋がってくる見事な仕掛け。
そことそこが結びついてくるかと最後まで唸らされた。
事件自体を推理していくというより、登場人物たちそれぞれの歪んだ愛情やすれ違いに観ている人も巻き込まれてはまり込んでいく感覚。
印象に残った言葉は「愛とは無いものを与えること、有るものを与えるのは快楽」。無償の愛というが、欲にまみれると拗れていくということか。
人間の生々しい性を斬新な構成で描いた作品。
タイトルを原題直訳の『動物だけが知っている』から『悪なき殺人』に変えたのは妙。その意味が分かったときさらに物語に深みが増す。
タイトルなし
Filmarksオンライン試写会にて鑑賞
2019年の東京国際映画祭で公開された時から気になっていたので、当選は嬉しい限り。
その時は「動物だけが知っている」という邦題だったが、このままの方が良かったのではないか。
登場人物それぞれの視点で真実が炙り出されていく構成は最近だと「最後の決闘裁判」があるが、この悪なき~の方がより多視点の構成が功を奏している。
有るものを与えるのが快楽
無いものを与えるのが愛
という劇中の言葉がキーワードになっていて、この映画の登場人物それぞれが愛に飢えている。愛を渇望し、誰かが行動を起こすと、連鎖的に偶然が重なり、悲劇が起きる。映画として観ていると悲しいものがあるが、世の中の人間模様も端的に表せばこれと大差ないのではないか。
見応えがあったが目につく部分も少なくない。ポスターにも写っている男性ジョセフの描写は正直イマイチ。病んでいる人という設定の大枠だけしか観客には読み取ることができない。折角魅力的なキャラクターなのに、物語の辻褄を合わせるためだけの存在となってしまっている。
そして肝心の殺人のシーンもなんだかリアリティに欠ける。映画はリアリティが全てな訳ではないが、説得力は大事だ。
果たしてあんな軽率に事を起こすだろうか。
結果オーライ?
2021年11月23日
映画 #悪なき殺人 (2019年)鑑賞
@cinema_cafe さんのオンライン試写会です。ありがとうございます
世界って意外と狭いんだなと思うか、そんな偶然あるわけないやんと思うかはあなた次第
意外な場所と意外な人が、思いもよらぬ関係で繋がってた、よくできた映画です
必見です
動物たちは知っている
六本木で東京国際映画祭で鑑賞しました。
雪国と南国と都会を結ぶ奇想天外なストーリー
とても面白かったです。
もう一度観れて嬉しいです。
日本で公開されて感謝!
しかし、この題名はちょっと違和感があります。
もし僕が付けるなら
ネットワークに騙されて!
かな?笑
愛とは、無いもの与えること
1人の女性の失踪事件を軸に、5人の男女の絡んだサスペンス群像劇。舞台も中盤まではフランス、後半からアフリカと変われば、5人の偶然と運命が交差したりと、『バベル』を思わせるような作り。
5人の中で、ジョセフがアレに執着した理由とか、マリオンが何故ああいった写真や動画をアップしていたのかなど、人物背景の点で不明瞭な部分もあるけど、5人それぞれが抱える秘密が予期せぬ事態へと繋がっていくあたり、目が離せなくなる。
5人の中でも、特にミシェルの情けなさに哀れみを覚えてしまったが(演じるドゥニ・メノーシェが大ハマリ)、彼はあの後どう落とし前を付けたのかが気になる。
インチキ臭さを醸し出す黒魔術師の言葉「愛とは、無いもの与えること。快楽とは、あるものを与える」が実に深い。
邦題について言わせてもらえば、「悪なき殺人」はなんか抽象的すぎてピンと来ず。ここはやっぱり東京国際映画祭で公開された際に付いていた、「動物だけが知っている」で良かったんじゃなかろうか。
個々の瞬間に写る見えなかった闇、辻褄が合ったときの恐ろしさは必見
これが噂の「羅生門」スタイル…。進む度に辻褄が合ってきて、繋がる度に怖くなってしまった。なぜなら全て"偶然"なのだから。
フランスとアフリカ、浮気と百合、そして、殺人と失踪…。幾重に散らばったピースがブワッと繋がっていくときの気味悪さが何とも堪らない。それぞれに抱えられた影の部分が一人の視点で動く時、そのベールが脱げていく。序盤はどうしても虫食いのようなプロローグになるため、引き込まれにくいのだが、そこを潜るとあまりにも恐ろしいモノが見えてくる。
この作品の素晴らしい所は、フランス語圏の物語にあると思う。一見繋がるはずのないアフリカで、フランス語が言語の1つとして使われていることが鍵を握る。単なる事件ではないことを悟った時、思わず溜め息をついてしまった…。ページをめくる事をやめてしまいたくなるような伏線の回収に衝撃。それ以上に突きつけられた作品のテーマがあまりにも重くて苦しい。そして何より、「人間は、『偶然』には勝てないー」のコピーが全てを形容している。邦題も凄く作品を捉えていて余韻に一役買っている。
邦画ばかり観ているので、こういう出会いが出来るのは本当に嬉しい。かなりオススメしたい1本。
見事な組み立て
女性の謎の失踪から始まり、物語は思いもよらぬ繋がりを見せて展開していく。
何度も視点や時間が変わるが混乱することなく気持ちよくエモーショナルに繋がっていく組み立てが見事でメチャクチャ面白かった。
複雑で哀しい偶然の連鎖
東京国際映画祭にて。コンペディション部門。観客賞受賞。
“Only the Animals”というタイトルの意味を少し考えてしまう。「動物だけが知っている」も効いている邦題だと思いつつ、何か隠れている気がして。原作は小説のようで、そのタイトルをそのまま使ってはいるのだが。
あるひとりの女性が行方不明になる事件が発端なのだが、4名(+1名)それぞれの視点から事件が描かれる。
しかしこれが大変複雑かつ巧妙で、最初の推測は簡単に覆されて、視点人物が切り替わる度に謎が解けるようで増える。ミステリーの描き方のお手本のようだ。
そしてそれぞれ、世界が断絶しているのに絡まり合ってしまう人間関係。騙し、誤解、病が、ものすごく離れているのに一本の線でつながっていく様。
その繋がる様を本作では「偶然」と表現する。実際、最終章(という表現で合っているのだろうか...)はラストまで完全に「偶然」に支配されている。あまりにもできすぎた「運命」が悲劇的展開を巻き起こす...。
各章の人物をもっと深く掘り下げればより一層個々の感情、孤独あたりが明らかにできた気もするが、それをやり過ぎると長大になるのは目に見えているので、その辺りは想像で補ってくださいね、という仕掛けなのだろうかと思う。実際、想像で補える程度の伏線の仕掛けは張ってあるので。
ラストがそうくるのか!と余韻深かった...。
ミシェル役のドゥニ・メノーシェさん、絶対何かで観たと思ったら「ジュリアン」の超怖いお父さんじゃないですか。彼は本当に...なんというか哀しい役回りだね。皆ちょっと愚かで、哀しいんだけど、彼の必死さが少し切ないというか。笑い飛ばしても良いけど、笑ってはいけないような、おかしみと哀しみ。
2019 32nd TIFF
非常に現代的なダーク&ファニームービー。とにかく仕掛け満載な交錯するストーリーが面白い。映像も洗練されていた印象で、レベルが違いすぎる。
このタイトルはあまり気にしない方がいいかも。面白い映画の記号。
皮肉満載ながらも、すごく笑え…、でもかなりのレベルで恐ろしい、いや恐るべし!この映画。
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