アトランティス

劇場公開日:2022年6月25日

アトランティス

解説・あらすじ

ウクライナ映画界の俊英バレンチヌ・バシャノビチが、近未来のウクライナを舞台に、PTSDに悩む元兵士とボランティア団体の女性の交流を描いたディストピア映画。2025年、終戦直後の荒廃したウクライナ。元兵士のセルヒーは戦争で深いトラウマを抱え、空虚な毎日を送っていた。そんなある日、戦死者の遺体を掘り起こして身元確認するボランティア活動に参加した彼は、そこで知り合った女性カーチャとの交流を通し、自らの過去と向き合うようになっていく。2019年・第76回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門作品賞、2019年・第32回東京国際映画祭コンペティション部門審査員特別賞受賞。

2019年製作/108分/PG12/ウクライナ
原題または英題:Atlantis
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2022年6月25日

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映画レビュー

4.0 アトランティス~真の「クワイエット・プレイス」

2025年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ロシアとの戦争を終えて1年後の2025年のウクライナの姿を描いた近未来映画でした。

制作はなんと2019年。言うまでもなくロシアがウクライナに本格的に戦争を仕掛けたのが今年2月ですから、ウクライナ側としては現在のような事態に陥ることを2019年の時点である程度予想していたということでしょうか。

直近のウクライナの歴史を振り返ればそれも頷けるところで、2014年の段階で親ロシア派のヤヌコヴィッチ大統領が失脚した直後、クリミア半島の親ロシア派が一方的に独立宣言してロシアに併合され、また現在主戦場となっているウクライナ東部のドンバス地方においても、ロシアの後ろ盾の下で親ロシア派が分離独立を画策し、その後継続的に内戦状態に発展しました。ゼレンスキー大統領が就任した2019年時点では、既にドンバス地方の一部地域は親ロシア派が支配していて、大統領選挙もまともに出来なかったようなので、仮に今年勃発した本格的な戦争がなくても、この映画の物語は空想ではなく、確固たる予測だったのかも知れません。

映画を観た第一印象は、とにかく音が少ない、静かな映画ということ。『クワイエット・プレイス』というホラーがありましたが、真のクワイエット・プレイスと呼べるのは本作という気がしました。それもそのはずで、舞台となったのは戦場となっていた東部ドンバス地方であり、戦争が終わったとは言え街は破壊され、そこここに地雷が埋設されていて危険極まりない状況になっているため、基本的に一般人は住んでいません。そんな中を水の運送をしたり、戦没した兵士達の遺体を検査し、最終的に埋葬したりする業務に従事する登場人物たち。基本的に元兵士だったようで、PTSDに侵されている。そんな彼らの絶望が、手に取るように分かる映画でした。因みにエンドロールの場面は全くの無音でした。こんな映画は多分初めてだったと思います。

ただ、当方としては顔も名も知らぬ役者さん達ばかりで、また登場人物の背景も僅かな会話の中から読み解くしかないほど説明がないため、若干理解しにくいと感じた部分もありました。これはまあ致し方ないことだとは思いますが。。。

いずれにしても、先日ゼレンスキー大統領が、ウクライナの復興に100兆円必要だと発言したと報じられていましたが、仮に戦争が早期に終結しても、ウクライナの人達に平安が訪れるのは大分先のことになるのではないかと予感させる作品でした。

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鶏

4.0 ここが俺の生きる場所

2022年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 シアター・イメージフォーラムでも7月29日に上映が終了してしまうとのことなので、慌ててこの週末に『アトランティス』と『リフレクション』を鑑賞。隔日上映のため、スケジュールの都合上で『リフレクション』を先に鑑賞したが、これはやはり『アトランティス』を先に鑑賞すべき。『リフレクション』についてはまたそのレビューで述べるが、『アトランティス』を観て『リフレクション』の位置づけと意味がようやく理解できた次第。
 ストーリーそのものは複雑なものではないが、色使いと登場人物の心理描写がとてもよい。主役の二人アンドリー・ルィマールクとリュドミラ・ビレカは本当のウクライナ軍兵と看護兵だそうで、今回のロシアによるウクライナ侵略で戦場に戻ったとのこと。海外への移住を勧められた主人公が、(2022年にロシア軍に陥落されることとなる)アゾフスタリ製鉄所で「ここが俺の生きる場所」とヒロインのリュドミラ・ビレカに述べる言葉は現実そのもの。必見。

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けろ教授

3.0 そこに戦争がある限り

2022年7月8日
スマートフォンから投稿

 …親愛なる諸君、今こそ、ナチの手先のファシストから、同胞を守護するのだ。これに勝る正義はない。同志諸君、我らの団結に、不可能はない。君たちなら、あらゆる艱難辛苦を、克服できると断言する!。それが証明できる君たちを、私は誇りに思う。競って歴史にその名を刻め!。立て!。同志よ!。ジーク!、ジオ……ん?
 あ、すみません。凍てつく大地の大統領を、脳内ハッキングしたら、こうなるのかしらと想像していたら、1人で盛り上がっちゃいました。

 件の大統領なら、これくらい言いそうですけど、言ってる当人が、アカの手先のファシ野郎に見えるのが、戦争なんですよね。そこに戦争がある限り、ヒトラーの尻尾は、現れるようです。

 守り抜いた祖国と、汚染された大地。今、そこにあるのは、夥しい死体袋。でもだからこそ、生が煌めく。
 ウクライナ。かつて、米露に次ぐ核保有国だったそうです。ウクライナは核を放棄しました。でも、戦争は、ウクライナを放棄しなかったようです。親ガチャならぬ、国ガチャで、私達があの地にいるとすれば、どうしたらいいの?。
 流石に連日の報道で、感覚が麻痺している自分に、気づかなくなっています。毎日100体程の死体袋が使われているとの報道もあります。それが何ヵ月続いていますか?。立て籠っていた多くの捕虜、及び民間人が国籍を変えさせられ、シベリア送りになったらしいとの報道もありました。民族浄化するつもり?。やはり、あの大統領は、ヒトラーの…。
 私達は、未来を歩んでいるのか、過去に退行しているのか、本作をご覧になった方なら……。

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機動戦士・チャングム

3.0 なにゆえ”Atlantis”だったのか?

2022年7月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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osmt