劇場公開日 2020年12月18日

「キャスト・脚本・演出の全てが「微妙」な映画」約束のネバーランド といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5キャスト・脚本・演出の全てが「微妙」な映画

2020年12月27日
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鑑賞方法:映画館

浜辺美波ちゃんが見たいがために鑑賞いたしました。
原作漫画は未読ですが、有名な作品ですのでざっくりとしたあらすじは知っている状態での鑑賞です。

結論。思っていたよりは楽しめましたが、多分それは「原作が面白いから」であって「映画が面白いから」ではないんだろうという感想です。キャストも脚本も演出も、全てが「微妙」でした。
もちろん、原作を読んだことのない人間が観た感想ですので、原作のファンの方の意見は違うのかもしれません。

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自然豊かな場所に建てられた「グレイス=フィールドハウス孤児院」。血のつながりは無いが、本当の家族のように仲良しな孤児たちと、彼らから「ママ」と慕われる優しいシスターのイザベラ(北川景子)が平穏に暮らしていた。里親が決まり孤児院から巣立つのを子供たちは心待ちにしていた。そんなある日、里親が決まって孤児院から出て行ったコニーが大事にしていたぬいぐるみを忘れて行っていることに気が付いたエマ(浜辺美波)とノーマン(板垣李光人)の二人は、ぬいぐるみを届けに急いで追いかけた。しかし、追いついた彼らが見たのは、変わり果てたコニーの姿。そこで二人は、実は孤児院が鬼の食用肉を育てるための農場であったことを知るのだった。
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上記のストーリーは、予告編を見ればだいたいわかります。予告編映像に結構ラストシーンにも繋がるような場面の映像も含まれてますので、映画観終わってから予告編観たら「このシーン見せても大丈夫なのか?」って感じる部分もあります。映画の予告編がネタバレになってる大問題。予告編作ってる人ってちゃんと映画観てるんですかね。マジで映画の興を削ぐようなセンスのない予告編映像ありますけど、この映画の予告編は「面白そう」と思わせたいがために劇中の名シーンを抜粋し過ぎてるので「映画本編に予告映像以上の展開が無い」って感じですね。以前レビュー書いた「人数の町」もそんな感じでした。

漫画原作の映画にありがちですが、どうしてもストーリーが駆け足になってしまったり、ナレーションでクドクドと説明が入る下りが多くて「映画化にあたっての改変が上手くいってないんだな」と感じました。「監視の目をかいくぐって脱獄計画を~~」っていう会話を大声でイザベラに聞かれてもおかしくない孤児院内でしていたり、渡辺直美演じるシスタークローネが「イザベラを引きずりおろして私がママになる」と独り言で自分の思惑を説明しちゃうなど、キャラクターが自分の考えていることをわざわざ口に出して説明し始めたりするシーンは違和感がバリバリで、「漫画の表現をそのまま持ってきたんだな」と思ってしまいました。

キャストも演技が上手い人と下手な人との差が激しく、主役級のキャラクターでもあるレイを演じる14歳の俳優・城桧吏くんの演技は観ていてキツかったですね。浜辺美波(20)演じるエマと板垣李光人(18)演じるノーマンと15歳で同い年という設定には正直無理があるように感じました。
年齢だけじゃなく演技力も、浜辺さんと板垣さんの演技が上手なだけに城くんの演技が対比でかなり下手に見えます。城くんが頑張っているのは分かるんですが、観ていてキツいです。知的で大人びたキャラクターのレイに城くんをキャスティングした製作スタッフの采配は間違いだったと断言できます。

演出面も微妙で、孤児院を管理するイザベラと脱獄を目論む子供たちの心理戦も微妙ですし、エマやノーマンが鬼に見つかりそうになる緊迫シーンでも、イマイチ恐怖の演出が弱くて何の驚きもありません。更に、シスタークローネから情報を聞き出そうとする駆け引きのシーンでも、渡辺直美さんが顔芸とか変な動きとかするもんだから緊張感が削がれます。真面目なシーンでもお笑いを挟み込もうとするのは福田監督映画だけにしてほしいものです。

とにかく全編を通して目新しい展開もないし、脚本に違和感・キャストに違和感・演出に違和感。
つまらなくはないんだけど…多分これは「映画化にあたって面白さが大部分削ぎ落されたけど辛うじてちょっと面白さ残ってた」って感じだと思います。

浜辺美波ちゃんは可愛かったので、浜辺美波ファンの皆さんは必見です。

といぼ:レビューが長い人