劇場公開日 2020年12月18日

「原作ファンこそ観てもいい作品」約束のネバーランド 芳乃さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0原作ファンこそ観てもいい作品

2020年12月26日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

単純

原作漫画のファンでアニメも何週か観てる者です。
2.5次元舞台などもよく観るので、そういう視点でのレビューです。原作を知らない方や「映画」が好きな方には参考にならないかも、という前提で。

注意したいこと。
アニメでまだ描かれてない部分のネタバレが映画の中であります。かなり重要なことをサクッと出してきますので、物語をネタバレ無しに味わいたい方は原作漫画を読んでからにしてほしい。

主役3人について。
心配してましたが、大丈夫でした。普通にとても良かったです。みなさん原作のキャラクターを大事に研究されていると思います。
3人を並べてみるとレイ役の方だけ若くて違和感がありますが、後半に行くにつれて気にならなくなる。特に、ラスト見せ場の演技は、この人がレイで良かったと思わせるハマり役だなと。若干舌足らずなところも原作の年齢イメージを考えると「らしくて」悪くなかったです。涙を誘ってくれる。

エマとノーマンの方と年齢が離れてるのにギリギリまで2人に合わせて、2人としっかり友人であると違和感のなくみれます。原作ではノーマンが好きなんですが、映画はレイが良かった、好きでした。

エマ役の方は見た目を近づけるのが(年齢的に)難しい中で、ちゃんと天真爛漫な子どもらしい演技ができていて、やはり後半には慣れます。エマらしさを追求してくれていると思いました。
ノーマン役の方はおそらく3人の中では一番、原作に近い。特にアニメと喋り方や声質が一緒なので、安心して聞けますし、演技も上手。再現度が高い。できすぎてて特に書くことが思いつかない、文句無しです。この2.5すぎるところが普通の映画ファンには気味悪く感じたりするのかな?

ストーリーについて
原作とほぼほぼ一緒なので、オリジナルストーリーを出されるのが嫌な自分は良かったです。逆に知ってる話を繰り返されるのは退屈という人は向いてないかも。ストーリーだけで言えば、駆け足で色んなシーンを端折る映画より漫画の方が絶対に面白いですから、ワクワクドキドキはしません。

映像全体
背景、撮影場所、まったく違和感なく素晴らしい。鬼のCGもよくできていて、100点です。ただ戦闘シーンは難しそう…。今作は戦闘シーンほぼありませんが、鬼単体では違和感ないけれど。という感想でした。

惜しいと思った点。
怖さが足りない。北川景子さんの演技は素晴らしいけどビックリ要素やホラー要素を追求した映像ではないです。原作のちょっとゾッとする怖さが凄く美しいと思うんですが、そういうのはなかったかなぁ。
渡辺直美さんのクローネ役もハマり役ですが別に怖くはないし、彼女のエピソードを掘り下げるシーンがないので愉快な愚か者でした、クローネのことが結構好きという方は期待しない方がいい。渡辺直美さんが悪いとかではなく、(むしろハマり役ですが) 単純に出番は多くないです。個人的にはもっとシーンが欲しかったけど尺的に仕方ないんだろうなと。

☆おすすめできる人
原作を知っている=展開のドキドキを楽しむのではなく映像の作り込みや世界観の再現度を見て楽しみたい方。尺的に無い部分は無いですが、お!っとなるようなシーンは随所にあります。

原作を知らない=原作と違ってサクサク事が進むしパッパッと説明してもらえるので、細かいことや深いことを考えなくて済む。気楽に物語を楽しみたい方。

☆おすすめできない人
原作を知らなくて、色々考えるのが好きな方。あらすじや設定を見て、脱獄謎解きドキドキスリルを楽しみたいなと思った方。おそらく置いてけぼりになりますし、原作ファンならわかるのにみたいな部分も多々あるのでストレスになるかも。「映画館で見るほどではなかったな」ってなりそう。

まとめて、原作ファンこそ観て満足感の得られる作品ではないかなと思いました。

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芳乃