「あの椅子に座って、すべてを終える」ランボー ラスト・ブラッド としちゃん(≧∇≦)さんの映画レビュー(感想・評価)
あの椅子に座って、すべてを終える
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今回のランボーは、戦場ではなく「家族」をテーマにした復讐劇。戦士としてではなく、ひとりの父親としての姿が描かれているのがこれまでとは少し違うところです。
物語は、ベトナム帰還兵のランボーが、静かに暮らしていた農場で、義理の娘のように育ててきたガブリエラが突然姿を消すところから始まります。
彼女は実の父に会うためにメキシコへ渡ったものの、麻薬カルテルにさらわれ、薬漬けにされてしまう。命がけで助けに行ったランボーですが、救出後すぐに娘は亡くなってしまいます。
「言うことを聞かなかった娘」「止められなかった自分」――その両方への悔しさと自責の念を抱えながら、ランボーはただ静かに“復讐”に向かっていきます。
敵を1人、また1人と冷徹に追い詰めていくその姿は、いつもの“戦場のランボー”とはまた違う、“私怨”に突き動かされる孤独な男。
ラストの激しい戦闘シーンも見どころですが、そこに至るまでの怒りの静けさがとても印象的でした。
復讐を果たしたあと、満身創痍のまま家の前にある椅子にゆっくり座り込むランボー。かつて父親も座っていたというその椅子に、今は彼自身が座り、何を思うのか――カメラはゆっくりと引いていき、物語は静かに終わります。
“ド派手なアクション”というよりは、“ひとりの父親の悲しみと怒りの物語”。
正直、娘が死んでしまう展開はかなりつらいですが、あの無言の怒りに貫かれたラストは強く印象に残りました。
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